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(2)人口推計のひとり歩きを防ぐため、より科学的な提示を
初回質問・初回答弁
小平市は、市の計画を立てる際や市民への説明をする際など、さまざまな場面で人口推計を提示している。その推計によると、小平市は5年後である令和7年に人口ピークを迎え、その後は人口が減少し続けるとされている。なお、3年前の平成29年2月の報告書においては、人口ピークは本年、令和2年に迎えると見込まれていた。しかし、市への転入者数が予想より多かったことなどから、今回、5年後に修正されている。
一方、人口が5年後から減少に転じ、そのまま減り続けるという推計に疑問の声もある。なぜなら、今後は地方の過疎化が加速し、環境の整った都市へ移り住む人が多くなることが予想されているため、都市から適度な距離にあり、交通の便もよく、地価もそれほど高くなく、目立った災害も少なく、かつ生産緑地が急速に宅地化されている小平市のような自治体は、最適な移転先候補になるからである。実際、平成30年には、全市町村のうち、小平市の転入超過数が全国で16位になった。
小平市が人口推計に用いているコーホート要因法では、5年間のデータをもとに次の5年間の数値を推計し、さらに、その推計で出た5年間の数値を次の5年間の推計で用いるとしており、将来的な数値がどこまで意味をもつのか不明である。また、通常、科学的な推計を行う場合、将来的な数値は、その算出に用いるパラメータの変動などから、幅(上限値、下限値等)や確率をもって示されるものだが、小平市が通常提示している人口推計は、転入、転出数といったパラメータの変動が大きいにもかかわらず、1本の線で示され、単純化され過ぎている。
財政運営の観点からは最悪のケースに備えることが欠かせないが、経済は人々の想像力の上にある。人口が減るため、あれも諦め、これも諦めなければやっていけないといった発想を市民に浸透させることは、人々の想像力を制限し、必要以上の経済活動抑制につながるおそれがあり、慎重にならなければならない。
そこで、小平市の人口推計について、その妥当性と提示方法について問う。
Q1. 市の人口のピークは、これまで何度、どのように修正されてきたか。
これまで公表されてきた人口推計の推移を次にまとめました。 平成24年の公表から7年2ヵ月間で、人口ピーク時期は10年後ろにずれ、ピーク人口は8,399人増える変更になっています。かなりのズレだと思います。人口推計が7年で8,000人以上も増える場合、保育所の数はすぐにどれだけ追加すればよいのでしょうか。計算方法の見直しや、幅を持たせた数値の公表などが必要です。
根拠 | 公表時期 | 人口ピーク 時期推計 | ← 前回公表 値との差 | ピーク人口 推計(人) | ← 前回公表 値との差 |
---|---|---|---|---|---|
平成22年 国勢調査結果 | 平成24年 6月 | 平成27年 | 188,832 | ||
平成27年 国勢調査結果 | 平成29年 12月 | 令和2年 | +5年 | 191,443 | +2,611人 |
平成27年 国勢調査補足版 | 令和元年 8月 | 令和7年 | +5年 | 197,231 | +5,788人 |
Q2. 市は、変動が大きく、一定の確率内でしか予測できないはずの人口推計を、さも確定しているかのように1本の線で示し、その人口ピークと急激に人口が減少する様子を印象づけることで、抑制的な施策が進めやすいように世論を誘導しようとする意図はないか、市の見解を伺う。
Q3. 複数の推計方法の結果も合わせて、少なくとも幅を持たせた、より科学的に正確な人口推計情報の提示を行うことで、上記のような経済活動抑制につながる懸念を減らせると思うが、市の見解を伺う。
再質問・答弁
時間がないので、また今後、機会を見つけ詳しく質問したいが、1点だけ。
これまで国勢調査の結果が示される5年ごとのタイミングで実施してきた小平市の人口推計が、2回分すべて人口ピークの予想が外れていて、毎回5年ずつ後ろにシフトし、ピークの時期も約9年から10年後ろにずれて、人数は約1万人増える。
結局いまだピークは来ていない。さらに、今回推計値と実数の乖離がずいぶん大きくなったので、国勢調査の結果が出る5年目を待たずに、4年目で後ろにずらしたということ。
人口推計は市のさまざまな計画のベースになっている。保育園の数もこれを根拠にしているはずだが、さすがに外れ続けていて、このままだとまずい。9年間で1万人も増えたら、保育所をどれぐらい増やせばよいのかという話になる。本当にまずいよね、ということで、意見を伺う。
以上