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(1)市民のため、そして職員のためにも、自らを律する仕組みを

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まとめ

令和4年3月4日に行った3件の一般質問のうちの1件目です。

市民の方からご相談を受け、12月定例会で緊急質問を行いました。質問のタイトルは「新型コロナワクチン副反応の救済申請を市が抑制している疑いについて」です。ご相談くださった方は、新型コロナワクチン接種後に、重い副反応が出ました。そのため、健康被害救済制度の申請をしに、相談窓口である市の健康センターへ行かれました。しかし、その窓口では、健康被害救済制度とは関係のない「副反応疑い報告」の案内がされただけでした。それだけではなく、間違った説明もされたり、不必要に要配慮個人情報を聞き取らたりするなど、さまざまな市の問題行為がありました。

その方が、これはおかしいと感じ、再度調べてみると、やはり市の大きな誤りでした。その誤りを担当課に指摘しても、改善に向けた動きはありません。そこで、私のところへご相談に来られました。私も情報をいただいて調べたところ、すぐに改善が必要な重大な問題だと認識し、緊急質問をするに至りました。

この緊急質問を受け、市は、庁内調査を実施しました。調査を担当した職員の方は真摯に対応し、口頭でのやり取りでも、問題をよく理解していることは明らかでした。また、一定の改善もなされました。しかし、最終的にまとめられた調査報告書の内容は、口頭でのやり取りと乖離していました。また、調査結果についても、議会での報告がなされませんでした。

そこで、一般質問で市の姿勢を問い正しました。市が内部統制の検討を進めているという話もあり、それも絡めて質問しました。

答弁からは、市民へきちんと報告するという重要な観点が欠落していることが分かりました。内部統制を進める上で、いきなりつまずく形となっていることは、とても残念です。


質問答弁
市が検討を進めている内部統制について説明を他市と同様なしくみの説明
総務省が求めている調査結果の議会報告は一定の報告はしたと捉えている
今後の内部統制の報告も会議録に残さないスタンスか今後検討する
今回のように市民の相談が軽視されたことも内部統制の対象か該当部分はある

主な質疑

以下の質疑は要約です

正確な質疑内容は会議録をご参照ください。
なお実際は理事者側の答弁すべてが敬語表現でなされています。ここでは簡略化のため敬語表現を省いています。

①質問する理由

緊急質問を受けて調査が行われ、報告書がつくられた

12月定例会で私が行った緊急質問「新型コロナワクチン副反応の救済申請を市が抑制している疑いについて」を受け、市は庁内調査を実施した。また、その調査結果を、相談者と私に口頭で説明し、全議員にも報告書を配付した。

同僚職員に対する調査であり追求の甘さを感じざるを得ないものの、口頭の説明では、調査担当者が真摯に調査を行って問題を理解し、また、一定の改善もなされたことが伺えた。

しかし、内部報告用として作成された報告書には、不十分な部分が複数ある。問題はどこにあったか、本質的原因は何か、再発防止のためにどうするか等の記載が不足していたり、分かりにくい表記や構成になっている。

これを読んだだけでは、市民や議員は状況を正しく把握できないだろう。

問題が起きた際に、組織の外部(今回は市民や議員)から指摘を受けることは、改善に向けて外部の協力が得られる絶好の機会だ。その際、情報が正しく伝わらなければ、正しい協力は得られない。

情報が正しく伝わらなければ、担当職員の真摯な取り組み(尽力)も、徒労に終わってしまう部分がある。

調査報告書は、組織外の人に正確に情報を伝えることを大きな目的とすべき

そのため、調査報告書をつくる際は、内部報告用としてだけではなく、市民や議員など、組織外の人に正確に情報を伝えることも大きな目的とするべきだ。

緊急質問を受け、2度(実際は複数回)の調査を行ってもらい、報告書が作成された。調査した職員は、何が間違いだったか、何が問題だったかをよく理解していた。相談者と私への報告もちゃんと行い、真蟄に対応してくれた。

緊急質問がなければ、市民の訴えが軽視され、調査もなかったことも大問題

ただ、今回、議員(私)がこうして緊急質問しなければ、調査は行われなかった。相談者が相談に行っても、実質的に軽く扱われ、調査をしなかったところは非常に問題。

報告書の内容は口頭説明とかなり異なり、問題点が分からない。また、議会での報告もない

さらに、報告書になったとたん、かなり異なる内容になった。また、この報告書は議員に配られたが、議会では報告されていない。

報告書の見出しは次のとおり。

  1. 調査方法
  2. 調査結果
  3. 予防接種法に基づく副反応疑い報告制度と救済制度
  4. 予防接種後の副反応に関する市の対応
  5. 本事案の経緯
  6. 本事案の背景と原因及び改善策
  7. 今後の取組

何が問題だったのかを示すタイトルもなく、中にもはっきり書かれていない。全体がぼやけている。

私が報告書を書くならこうする

もし私が報告書を書くなら、どういう問題が起きたのかというのをまず最初に明示するだろう。例えば(冒頭は)次のようになると思う。

備考

主に、次に示す6項目の誤りがありました。

  1. 「健康被害救済制度」の申請を求めてきた人に、関係のない「副反応疑い報告制度」の案内を行っていました。国が示すとおり、健康被害救済制度の案内だけをするべきでした。
  2. 「健康被害救済制度が申請できるのは、副反応疑い報告がPMDAで承認されてから」という誤った説明を行っていました。
  3. 本人の病歴などの要配慮個人情報を、必要のないところで聞き取っていました。聞き取りが必要な際は事前に了承を得るとしている個人情報保護法に違反する行為でした。
  4. 副反応に関する電話相談が毎日たくさんかかって来ているのに、その相談件数すらカウントしていませんでした。
  5. これらの誤った対応を、市民から指摘があっても調査を行うことなく、議員から指摘されるまで続けてきました。その間、健康被害救済制度の申請を諦めてしまった人数は分かりません。担当課は相談者に利益があると思ってやっていたようですが、結果として健康被害救済制度の申請が抑制されていた事態になっていました。
  6. 個人番号の記入が必要のない書類について、記入が不要だという説明をしっかり行わず、記入不要と記載された見本も渡していませんでした。

こう書けば、どんな問題が起きたか分かりやすい。

どんな間違いがあったかを報告書に明記しないのは、責任問題になるからなのか

間違いを明確にしないのは、訴訟を恐れているからなのか。または責任を取ってくれる人がいないからなのか。つまり、間違いを認めると、その職員の責任になってしまうから、認めず、抽象的な表現にしておこうということか。

本来は、市長が「私が責任を取るから、正直ベースで報告してください」と、そういう文化が育たなくてはならない。

間違いを明確にしないと改善につながらない

間違いを明確にしないと改善につながらない。問題が起きたら、正直な態度で臨む必要がある。問題を抽象的な表現で捉えていると、改善されず積み重なっていき、自分の首も絞める。

また、原因については、組織文化に踏み込んだところまでの深掘りが必要。分析が足りていない。

とにかく、報告書は、正直な態度で、

  • 起きた問題
  • 何が原因だったか
  • 改善と再発防止はどうするか

を明確にし、冒頭に書き、必要に応じて詳細は後のほうに書けばよい。

何度も指摘してきた誤りがそのまま報告書に残っている

また、報告書の冒頭で、一緒にしてはいけないとずっと指摘してきた「予防接種法に基づく副反応疑い報告制度」と「救済制度」が併記され、両者の違いが示されていない。普通に読むと、混乱し、両者に関連があると捉えてしまう。

以上、要は対応はしっかりやったが、報告書にはいくつもの問題がある。指摘しても直さず、最終版としてフィックスしてしまった。

職員が職員を調査する場合、同僚の責任になってしまうので「指摘しない、深掘りしない」という心理があるのは人間としてしょうがないことだと思う。なので私は、できれば第三者委員会に調査してもらいたいと言った。

ただ、第三者委員会にも、組織の中に設けると、なれ合いで甘くなるところがあるなどさまざまな課題がある。第三者委員会が隠れみのに使われる場合が多いという話もある。

そういった背景から、市を律する仕組みに関して、以下質問する。

市や市教委の、第三者委員会や内部統制の導入検討状況は

市や市教育委員会が抱えるさまざまな問題改善に向け、第三者委員会や内部統制の導入検討状況は。

第1期小平市経営方針推進プログラムでは、事務処理におけるリスクへの対応を検討プログラムに掲げ、不正や誤りを防止し、業務を適切かつ効率的に行うための仕組みである地方自治法上の内部統制を念頭に置き、検討を進めている。

現在、本市におけるリスク事案の整理を行っており、来年度以降、内部統制の要素を一部取り入れた試行運用に全庁的に取り組んでいく予定。第三者委員会については、事案の重大さや影響度等により、設置について適切に判断する必要があると考えている。

緊急質問の事案も含め、市民の皆様に御迷惑をおかけした場合には、ただちに内部で調査をし、改善を図っていくことが重要であると考えており、第三者委員会を常設的に設置することは検討していない。

いじめ問題への対応や防止等のための対策を審議するため、教育委員会の附属機関として、学識経験者や法律、心理、福祉の専門家等の専門的な知識を有する者、関係行政機関の職員から構成されるいじめ問題対策委員会を設置している。

内部統制については、現在、市において、地方自治法上の内部統制を念頭に置いた検討が進められており、教育委員会としても、リスク事案の整理を行うとともに、来年度以降、内部統制の要素を一部取り入れた試行運用に取り組んでいく予定。

小平市が現在検討している内部統制について説明を

議会で具体的にこういう話が出てきたのは初めてだと思う。ちょうどよい機会なので、リスク事案の整理とは何かや、試行運用というところも含め、小平市が現在検討している内部統制について解説を願う。

まず、内部統制とは、職員に間違いを起こさせない、万一不正が起こっても最小限に食い止めるための仕組みづくり。そのため、組織としての体制を整えていこうという考えの下に行われる。

平成29年の法改正により、地方自治法上の制度として位置づけられている。都道府県及び政令指定都市以外の地方公共団体においては、内部統制制度の導入が努力義務とされている。

これを背景に、令和3年5月に作成した小平市経営方針プログラムの中で、今後、リスク管理とその対応の在り方について検討するという項目が設けられている。それを根拠に、内部統制制度を念頭に置いた試行的な取組を進めている。

具体的には、リスクの発生した事案や、トラブルになった事案等を庁内から集め、今、内部で整理をしている。

今回の事案は、内部統制検討の流れの中で捉えているか

今回の健康被害救済制度の事案は、この流れの中で捉えているか。

今回の事案についても、今後も発生し得るリスクのひとつとして、内部統制の検討においてすべきものと考えている。

今回のような事案が起きたとき、内部統制にどう組み込まれていくか

例えば今回のような事案が起きたとき、内部統制にどう組み込まれていくか。

具体的なことについては検討中で、この段階で詳しくは述べられないが、まず事由のひとつとして、こういう事由があった場合の対処方法等をマニュアル等に作成していくというようなことが考えられる。

総務省が求めている、議会に対する適切な報告は、今回しないのか

今回の事案も内部統制の仕組みの中でひとつの象徴的な事例になると思う。

平成31年3月に総務省から出ている『地方公共団体における内部統制制度の導入・実施ガイドライン』の1ページ目に次の記載がある。

『議会は、長から独立した立場で、内部統制の整備状況および運用状況について監視を行うため、統制環境に一定の影響を与えることとなる。したがって、議会に対しても適切な報告を行うことが求められる』

要は、内部統制の中で考えている今回の事案については、議会に報告をしなければならない。議員に報告書を配付したことで、議会に報告したことにするのか。

今回の事案については、市長答弁で、議会に対して報告すると市長が約束した。その内容について内部で検討したうえで、このような形を取った。このことにより、一定の報告はしたと考えている。

議員への配付をもって議会へ報告したとすると、話が会議録に残らない。それでよいのか。今後の内部統制は、会議録に残さない形で報告を行っていくというスタンスでいるという理解でよいか。

本事案については、文書の報告という形で報告したが、今後、このような事案があった際の報告については、これから内部統制等の中で検討していきたい。

今回の事案を、会議録に残らない形の報告で終わらせるのは、内部統制をつくる姿勢として間違えている

今回のことは、試行に先立つせっかくのよい機会。それなのに、議員への報告書の配付だけで終わるというのは、内部統制制度を進めようとしている姿勢に非常に疑問を感じる。いきなりつまずくことになる。

今からでもよいので、議会の諸報告のところででも、ちゃんと報告してほしい。どうか。

今回の件については、内部で決裁を取った上、市議会議長のほうにも対応を相談し、このような形を取った。今回のものについては以上で報告は終わっていると考えている。

試行に先立つ象徴的な事例なのに、いきなりつまずいた形になる。それでよいのか。市の文化や姿勢を非常に疑う。これは市長の問題だが、そんなやり方をしていて本当によいのか。

せっかく職員が頑張ってやろうとしていて、最初からしっかりしていない。職員の頑張りを無駄にするようなこと、市長がそういったことをやってはいけない。公開が原則というころも分かっていない。

議会運営委員会で話し中で、どうなるか分からないが、議会運営委員会からも議会での報告を求めないという結論になったら非常に残念だが、そういう姿勢はよくない。市民の福祉に深く関わることだ。

今回のように市民の相談が軽視されたことも内部統制の対象になるか

今回、市民が訴え、何回も相談に行っても、真面目に受け取ってもらえず、緊急質問になってやっと調べてもらうことになった。このことに関しては内部統制の対象になるか。つまり、市民の相談が市を律することにつながらなかったことに関しては、内部統制の対象になるのか。

今回の原因については、初期の対応がお互い思った方向に行かなかったというのが原因と思う。そういうリスクもあるということなので、リスクに対する対応が内部統制のひとつなので、該当する部分はあると思う。

では、そういったところもしっかり詰めていただき、報告は、議会に対してちゃんと会議録に残る形で報告していただきたい。

対外的文書のあり方を、市と市教育委員会はどう捉えているか

内部統制を進める上で文書のあり方は重要だ。市民や議員等、外部の協力で改善を図るためにも

  • 市民に分かりやすく
  • 不足がなく
  • 取り繕わないこと
  • そして常に文書をベースにしたコミュニケーションが重要

になると考える。

そういった観点も含め、対外的文書のあり方を、市と市教育委員会はどう捉えているか。

市役所外に向けて発信する文書については、相手方に伝えるべき情報を分かりやすく正確に記すことが重要であると認識している。

市における具体的な文書の作成の仕方については、小平市公文書作成要領において、文章の構成や文体、漢字やかなの使い方など詳細に定めており、これにしたがって簡潔かつ明瞭に記載するよう努めている。

今後も、相手方に伝えるべき情報を分かりやすく正確に伝えられるよう、的確な文書の作成に努めていく。

教育委員会においても、具体的な公文書の作成については、小平市公文書作成要領の定めに従い、簡潔かつ明瞭に記載することとしているが、対外的文書につきましては、読み手が内容を十分に理解できるよう、平易な表現を用いることも必要となる。

今後も、相手方に伝えるべき情報を分かりやすく正確に伝えられるよう、的確な文書の作成に努めていく。

今回は時間がなく、文書作成要領のところを深掘りできなかったが、また機会を改めて確認する。構成や文体の作成要領に問題があるのではと感じる。

よく使われる「誤解を招く表現だった」は、「私は間違えていません」という意味にもなる

文体に関わるかもしれないが、相談者の方からなるほどという御指摘をいただいた。

行政の謝罪文で、よく「誤解を招く表現だった」と書かれている。これだと「私は間違えていません」という意味にもなる。

正直に、誤解を招く表現だったと言わず、「表現を間違えていました」と認めることから改善が始まる。これは常々、当会派の伊藤議員も言っているように、言葉の使い方というのはとても重要だ。言葉の使い方で組織の在り方が変わってくる。

調査報告書には当事者の意見も付けるよう検討を

また、こういう事例があったときには、報告書が出た段階で、当事者にその内容も確認してもらい、報告書に意見を付してもらうことも、とてもよい方法だと思う。

当事者がその報告書に対してどう思っているのか、何が不足しているか等を補足してもらうことは、本当によい方法だと思うので、そのあたりも検討していただきたい。

以上