×外国人/外国法人等からの寄附
・寄附金には年間の上限額が決められている
・寄附は基本的に政治団体(後援会)が受ける
・後援会ではなく政治家個人に対する寄附は(選挙運動以外だと)金銭等×、物品等なら〇
普通に政治活動をしようとすると、どうしてもお金がかかってきます。
- 理念をまとめたチラシ・パンフレット・ポスター・名刺などの印刷費用
- 集会を行うための会場費
- 街頭宣伝用の設備・拡声器(マイク、スピーカー)
- 事務所を借りる人は事務所費、スタッフを雇う人は人件費等
など。印刷費用も最近はプリントパックなど安くなってはいるものの、A4で1万枚も刷れば1万円を超えますから、定期的に機関紙などを発行している場合、金額が積みあがっていきます。集会場を借りる場合も会場費がかかります。
ですので、カンパ(寄附)を頂けると活動しやすくなり、大変助かります。
寄附して頂くための仕組みを整えるため、政治資金規正法について調べてみました。
- 寄附は「金銭」の他に、物品その他の財産上の利益等も該当する
- 第四条三項
この法律において「寄附」とは、金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付で、党費又は会費その他債務の履行としてされるもの以外のものをいう。
- 物品の場合は時価で計上するのだろうか?
- 「寄付」と「寄附」は漢字が違うが意味は全く同じ。公的な文書では寄附が使われることがある。ここでは統一して寄附とする。
- 第四条三項
- 政治団体として届け出しなければ、寄附を受けてはならない
- 第八条
政治団体は、第六条第一項の規定による届出がされた後でなければ、政治活動(選挙運動を含む。)のために、いかなる名義をもつてするを問わず、寄附を受け、又は支出をすることができない。
- 第八条
- 寄附は特定の方法以外では運用してはならない
- 第八条の三
政治団体はその有する金銭等を、公職の候補者はその者が政党から受けた政治活動に関する寄附その他の政治資金に係る金銭等を、次に掲げる方法以外の方法により運用してはならない。
一 銀行その他の金融機関への預金又は貯金
二 国債証券、地方債証券、政府保証債券(略)又は銀行、農林中央金庫、株式会社商工組合中央金庫若しくは全国を地区とする信用金庫連合会の発行する債券(略)の取得
三 金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)第一条第一項の認可を受けた金融機関への金銭信託で元本補てんの契約のあるもの - 国債など安定した債券での運用は許されているということ
- 第八条の三
- 会計帳簿に、収入・支出・運用をしっかり記載しなければならない
- 第九条
政治団体の会計責任者(略)(略)は、会計帳簿を備え、これに当該政治団体に係る次に掲げる事項を記載しなければならない。一 すべての収入及びこれに関する次に掲げる事項イ 個人が負担する党費又は会費については、その件数、金額及び納入年月日ロ 寄附(略)については、その寄附をした者の氏名、住所及び職業(略)、当該寄附の金額(金銭以外の財産上の利益については、時価に見積もつた金額。略)及び年月日並びに当該寄附をした者が第二十二条の五第一項本文に規定する者であつて同項ただし書に規定するものであるときはその旨ハ 寄附のうち次条第二項の寄附のあつせんをされたものについては、その寄附のあつせんをした者の氏名、住所及び職業(略)並びに当該寄附のあつせんに係る寄附の金額、これを集めた期間及びこれが当該政治団体に提供された年月日ニ 第二十二条の六第二項に規定する寄附については、同一の日に同一の場所で受けた寄附ごとに、その金額の合計額並びに当該年月日及び場所ホ 機関紙誌の発行その他の事業による収入については、その事業の種類並びに当該種類ごとの金額及び収入年月日チ 借入金については、その借入先、当該借入先ごとの金額及び借入年月日リ その他の収入については、その基因となつた事実並びにその金額及び年月日二 すべての支出(略)並びに支出を受けた者の氏名及び住所(略)並びにその支出の目的、金額及び年月日三 金銭等の運用に関する次に掲げる事項イ 預金(略)又は貯金(略)については、これを預け入れたときは当該預金又は貯金の種類、預け入れた金融機関の名称及び所在地並びに預入れの金額及び年月日、これの払戻しを受けたときは当該預金又は貯金の種類、払戻しを受けた金融機関の名称及び所在地並びに払戻しの金額及び年月日2 前項の会計帳簿の種類、様式及び記載要領は、総務省令で定める。 - やはり物品の場合は時価計上。
- 第九条
- 五万円以上の支出は領収書を得なければならない(事情によりなくても可)
- 振込みの場合は振込み明細書で良い
- 第十一条
政治団体の会計責任者又は政治団体の代表者若しくは会計責任者と意思を通じて当該政治団体のために支出をした者は、一件五万円以上のすべての支出について、当該支出の目的、金額及び年月日を記載した領収書その他の支出を証すべき書面(以下「領収書等」という。)を徴さなければならない。ただし、これを徴し難い事情があるときは、この限りでない。2 政治団体の代表者又は会計責任者と意思を通じて当該政治団体のために一件五万円以上の支出をした者は、領収書等(振込みの方法により支出したときにあつては、金融機関が作成した振込みの明細書であつて当該支出の金額及び年月日を記載したもの(以下「振込明細書」という。))を直ちに会計責任者に送付しなければならない。
- 第十一条
- 収入・支出・運用に関する報告書を、3月以内に選挙管理委員会に提出しなければならない
- 年間5万円を超える額の献金を受けた場合は、その方の氏名・住所・職業・金額・年月日・(ただし書きに該当する場合はその旨)
- 第十二条
政治団体の会計責任者(略)は、毎年十二月三十一日現在で、当該政治団体に係るその年における収入、支出その他の事項で次に掲げるもの(これらの事項がないときは、その旨)を記載した報告書を、その日の翌日から三月以内(略)に、[略] 選挙管理委員会又は総務大臣に提出しなければならない。一 すべての収入について、その総額及び総務省令で定める項目別の金額並びに次に掲げる事項イ 個人が負担する党費又は会費については、その金額及びこれを納入した者の数ロ 同一の者からの寄附で、その金額の合計額が年間五万円を超えるものについては、その寄附をした者の氏名、住所及び職業、当該寄附の金額及び年月日並びに当該寄附をした者が第二十二条の五第一項本文に規定する者であつて同項ただし書に規定するものであるときはその旨ハ 同一の者によつて寄附のあつせんをされた寄附で、その金額の合計額が年間五万円を超えるものについては、その寄附のあつせんをした者の氏名、住所及び職業並びに当該寄附のあつせんに係る寄附の金額、これを集めた期間及びこれが当該政治団体に提供された年月日ニ 第二十二条の六第二項に規定する寄附については、同一の日に同一の場所で受けた寄附ごとに、その金額の合計額並びに当該年月日及び場所ホ 機関紙誌の発行その他の事業による収入については、その事業の種類及び当該種類ごとの金額リ 借入金については、借入先及び当該借入先ごとの金額ヌ その他の収入(寄附並びにイ、ホ及びリの収入以外の収入で一件当たりの金額(数回にわたつてされたときは、その合計金額)が十万円以上のものに限る。)については、その基因となつた事実並びにその金額及び年月日二 すべての支出について、その総額及び総務省令で定める項目別の金額並びに人件費、光熱水費その他の総務省令で定める経費以外の経費の支出(一件当たりの金額(数回にわたつてされたときは、その合計金額)が五万円以上のものに限る。)について、その支出を受けた者の氏名及び住所並びに当該支出の目的、金額及び年月日三 十二月三十一日において有する資産等(次に掲げる資産及び借入金をいう。以下この号及び第十七条第一項において同じ。)について、当該資産等の区分に応じ、次に掲げる事項ニ 取得の価額が百万円を超える動産 品目及び数量並びに取得の価額及び年月日ホ 預金又は貯金 預金又は貯金の残高2 政治団体の会計責任者は、前項の報告書を提出するときは、同項第二号に規定する経費の支出について、総務省令で定めるところにより、領収書等の写し(略)(領収書等を徴し難い事情があつたときは、その旨並びに当該支出の目的、金額及び年月日を記載した書面(略)又は当該支出の目的を記載した書面及び振込明細書の写し(略)。以下同じ。)を併せて提出しなければならない。4 第一項の報告書の様式及び記載要領は、総務省令で定める
- 第十二条
- 会計帳簿、明細書、領収書、振込明細書は三年間以上保管しなければならない
- 第十六条
政治団体の会計責任者(政治団体が次条第一項の規定に該当する場合にあつては、当該政治団体の会計責任者であつた者。次項において同じ。)は、会計帳簿、明細書、領収書等及び振込明細書を、第二十条第一項の規定によりこれらに係る報告書の要旨が公表された日から三年を経過する日まで保存しなければならない。
- 第十六条
- 政治家個人は、選挙に関する寄附(陣中見舞いの類)以外は、金銭等(金銭及び有価証券)で寄附を受けてはならない。ただし政党からの寄附、政治団体に対する寄附は可能
- 第二十一条の二
何人も、公職の候補者の政治活動(選挙運動を除く。)に関して寄附(金銭等によるものに限るものとし、政治団体に対するものを除く。)をしてはならない。2 前項の規定は、政党がする寄附については、適用しない。 - つまり政治活動に関して、金銭等の寄附は、政党以外は個人に対して行うことができず、政治団体に対して行わなければならないということ。なお、物品については禁止していない。
- 第二十一条の二
- 一寄附者が行える政党及び政治資金団体に対しての年間寄附金総額上限
- 第二十一条の三(寄附の総額の制限)
政党及び政治資金団体に対してされる政治活動に関する寄附は、各年中において、次の各号の区分に応じ、当該各号に掲げる額を超えることができない。
一 個人のする寄附 二千万円二 会社のする寄附次の表の上欄に掲げる会社の資本金の額又は出資の金額の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる額五十億円以上三千万円十億円以上五十億円未満千五百万円十億円未満七百五十万円三 労働組合又は職員団体のする寄附次の表の上欄に掲げる労働組合の組合員又は職員団体の構成員(次項において「組合員等」という。)の数の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる額十万人以上三千万円五万人以上十万人未満千五百万円五万人未満七百五十万円四 前二号の団体以外の団体(政治団体を除く。)のする寄附次の表の上欄に掲げる団体の前年における年間の経費の額の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる額六千万円以上三千万円二千万円以上六千万円未満千五百万円二千万円未満七百五十万円 - 総額制限とは、ある寄附者が年間に寄附することができる「総額」の制限。つまりAとBとCに寄附したとして、その寄附金の合計額に制限がかかるということ。後述する個別制限とは、ある寄附者が年間に「同一」の者に対して行う寄附金の制限。つまりAとBとCそれぞれに寄附金上限が設定されているということ。
- 一個人が政党及び政治資金団体に対して献金できる総額は年間二千万円まで。企業や団体が寄附できる額と比べると大きめに設定されている印象ですね。
- 第二十一条の三(寄附の総額の制限)
- 一寄附者が個人へ行える寄附金総額は年間で千万円まで
- 第二十一条の三
3 個人のする政治活動に関する寄附で政党及び政治資金団体以外の者に対してされるものは、各年中において、千万円を超えることができない。
- たとえば、一個人からの寄附として、政治団体(政党及び政治資金団体以外に該当)AとBとCに寄附する場合、合計で年間千万円までしか寄附できませんよ、ということ。
- 第二十一条の三
- 政治家個人からの資金管理団体への寄附と、遺贈の寄附は上記制限に該当しない
- 第二十一条の三
4 第一項及び前項の規定は、特定寄附及び遺贈によつてする寄附については、適用しない。
- 特定寄附は『資金管理団体の届出をした公職の候補者が前条第一項の規定により当該資金管理団体に対してする寄附をいう。(第十九条の四)』のこと。このあたりは青天井なのかな?税額控除はどうなるんだろう。政治家の節税に使われていたりして。
- 第二十一条の三
- 政治団体(政党および政治資金団体以外)が他の政治団体(同左)にする寄附金の上限は、一つの政治団体につき年間5千万円。
- 個人が個人もしくは政治団体(政党および政治団体以外)にする寄附金の上限は、一つの個人もしくは政治団体につき年間150万円。
- 自分で設立した政治団体に対する寄附は上記150万円の制限はない。
- 第二十二条
政党及び政治資金団体以外の政治団体のする政治活動に関する寄附は、各年中において、政党及び政治資金団体以外の同一の政治団体に対しては、五千万円を超えることができない。2 個人のする政治活動に関する寄附は、各年中において、政党及び政治資金団体以外の同一の者に対しては、百五十万円を超えることができない。3 前項の規定は、資金管理団体の届出をした公職の候補者が当該資金管理団体に対してする寄附及び遺贈によつてする寄附については、適用しない。
- 第二十二条
- 以上をまとめると以下の表になる
- 外国人、外国法人、組織(構成員の大部分が外国人もしくは外国法人)は献金できない
- 本人以外の名義または匿名で寄附を受けてはならない
- 政党または政治資金団体に限って、一人千円以下であれば匿名で受け取れる
- 以上に違反して得た募金は没収される
- 第二十二条の六
何人も、本人の名義以外の名義又は匿名で、政治活動に関する寄附をしてはならない。2 前項及び第四項の規定(匿名寄附の禁止に係る部分に限る。)は、街頭又は一般に公開される演説会若しくは集会の会場において政党又は政治資金団体に対してする寄附でその金額が千円以下のものについては、適用しない。3 何人も、第一項の規定に違反してされる寄附を受けてはならない。4 第一項の寄附に係る金銭又は物品の提供があつたときは、当該金銭又は物品の所有権は、国庫に帰属するものとし、その保管者は、政令で定めるところにより、速やかにこれを国庫に納付する手続をとらなければならない。
- 第二十二条の六
以上が政治資金規正法の主要な部分でした。
ということで、寄附して頂く際に必要な注意事項をまとめると、この記事の最初でポイントにまとめた内容になります。