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(1)いじめ被害者を継続的に保護するために

まとめ

令和5年12月1日に行った5件の一般質問のうちの1件目です。

🏷️タグ「いじめ重大事態」のついた記事

いじめの被害者は、進級、進学、転学などにおいていじめの悪影響から保護されている必要があります。そのためには保護する立場である教員や学校、教育委員会が、いじめの背景情報を理解して共有しなければなりません。しかし小平市の市立学校において、これらの対応が適切になされていない事実があるため質問しました。

保護者の方々や議会での一連の指摘により、小平市のいじめ防止基本方針は改善されました。しかし各学校に浸透している状況ではないようです。各学校においても明文化することが重要と考えます。

これまでの酷い答弁と比べると今回は比較的前向きな答弁と感じました。今後実態が伴うかどうかが重要です。

質問答弁概要(クリックで詳細)
① 小平市いじめ防止基本方針と学校いじめ防止基本方針の関係性は?小平市の基本方針を基に、学校の実情に応じ基本的方針や実践的内容を加え、学校方針を作成している。
なぜ参酌ではなく参照?反省すべき点、ただし学校には伝えている。
② 引継ぎや情報提供のことが基本方針に書かれていない学校があるのは?学校の実情に応じて作成、全市立小学校で進学先には必要に応じ適切な情報提供している。
基本方針の取組に「適切な引継ぎや情報共有」を入れるべきでは?改善の余地がまだあり、次の改定では意見も踏まえて見直す。
③ 花小のいじめ防止基本方針から進学先へ情報提供の記述が消えたのは?被害児童及び関係児童が円滑な学校生活を送ることができる配慮を第一に中学校へ引継ぎしているため基本方針に特段明記する必要はないと判断し記載していないが、改定の際に見直す予定。
④ 市の基本方針にあれば学校基本方針に書かなくてよい?小平市の基本方針を基に、学校の実情に応じ具体的な方策や実践的な内容を加え作成している。

通告書

主な質疑

以下の質疑は要約です

正確な質疑内容は会議録をご参照ください。なお実際は理事者側の答弁すべてが敬語表現でなされています。ここでは簡略化のため敬語表現を省いています。また、分かりやすくするために、ここではすべて一問一答に見えるよう順番を並べ替えています。実際は、初回質疑は一括質問・一括答弁方式です。

質問する理由

市立学校で起きたいじめを当該学校や市教育委員会が認知している場面を考える。

いじめの被害者は、少なくとも市立学校を卒業するまでの間、いじめの悪影響から保護されなければならない。そのためには保護する立場の人々が、背景情報の共有と理解をしている必要がある。

また長期的にどのようなイベントが起きても、「関係者間で情報共有が行われ、いじめ被害者が保護されている状態」は保持されなければならない。特に、進級、進学、転学、教職員や校長の交代などの保護する立場にある人々の入れ替わるようなイベントが起きる際は最も注意が必要だ。

情報や対応の継続性が非常に重要であることをすべての関係者が十分に認識できるよう、基本方針や具体的方針の中で明文化しておく必要がある。

いじめに関する文書としては、小平市教育委員会による小平市いじめ防止基本方針と各市立学校における学校いじめ防止基本方針がある。しかし両者の関係性等に疑問があるため質問する。

昨年12月に改定された小平市いじめ防止基本方針をあらためて見た。一般質問で改善を求めてきた重大事態のこと等が詳しく書かれている。

いじめ重大事態認定の3要件もきちんと掲載している。対応フローもまだまだ改善できるところはあるが掲載している。

さらによいのは、学校におけるいじめの防止等に関する取組の中に、次のような子どもたちへのいじめにならないよう、教員の正しい理解を促進し周知してくださいというようなことも書いてある。

  • 発達障害を含む障害のある児童・生徒
  • アレルギーや心身の状況等の理由によりマスクを着用できない児童・生徒や常時マスクを着用することについて不安や不調等を感じる児童・生徒
  • 身体的な理由やさまざまな理由によりワクチン等を接種できない児童・生徒や接種を望まない児童・生徒

逆に考えると、これらの状況がいじめの原因、きっかけにもなっていたのかなと。

改善できるところはまだまだあるが、ここまでまとめるのは大変だったと想像する。ありがとうございます。

ほかの市と比べてもかなり先進的な内容になっている。ただこれが実践されていかないと、せっかくよいものをつくっても意味がない。

情報の継続性や対応の継続性は重要な問題。

情報や対応が途絶してしまうという問題は、いじめ問題に限ったことではなく、たとえばさまざまな障害をもつ児童・生徒への支援についても共通することで課題になっている。

① 小平市いじめ防止基本方針と学校いじめ防止基本方針の関係性は?

小平市いじめ防止基本方針と学校いじめ防止基本方針の関係性は。

市立学校いじめ防止基本方針は、小平市いじめ防止基本方針を基に、学校の実情に応じて基本的な方針や実践的な内容を加え、作成している。

なぜ参酌ではなく参照?

その関係性はたしかに小平市いじめ防止基本方針の中にも書かれている。

小平市いじめ防止基本方針(令和4年12月改定版)

6 学校における取組
(1)学校いじめ防止基本方針の策定
学校は、「いじめの防止等のための基本的な方針」の改定及び「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」の策定について(通知)(平成29年3月16日文部科学省)、「東京都いじめ防止対策推進基本方針」及び本基本方針を参照し、学校の実情に応じ、「学校いじめ防止基本方針」を定める。(法第13条)

一方、いじめ防止対策推進法の第13条には、地方自治体のいじめ基本方針に基づいて参酌してと書いてある。

いじめ防止対策推進法・第13条

(学校いじめ防止基本方針)
第十三条 学校は、いじめ防止基本方針又は地方いじめ防止基本方針を参酌し、その学校の実情に応じ、当該学校におけるいじめの防止等のための対策に関する基本的な方針を定めるものとする。

参酌は「よいところを取り入れる」という意味で「参照」とは意味が違うが、なぜ参酌の代わりに参照という言葉をここで使ったのか。

学校は市の方針に基づいて作成するというところは理解している。

参酌を参照にしたことの意識を持って言葉を使っていなかったところは反省すべき点だが、参考にしてつくる、よいところは取り入れてつくる、工夫してつくるということは伝えている。

② 引継ぎや情報提供のことが基本方針に書かれていない学校があるのは?

進級、進学、転学など、いじめ被害者を保護する立場の人々が入れ替わる際は、いじめ被害者を保護するための適切な情報共有と適切な対応が必要だ。

市立小学校の学校いじめ防止基本方針では19校中13校が「いじめの問題に関する指導記録等について適切に引継ぎや情報提供する」と書かれている。一方で残り6校はそういった記載が見当たらないことについて見解は。

学校の実情に応じて具体的な方策や実践的な内容を加え作成していると認識している。

小学校から中学校への進学に際して行う引継ぎは、いわゆる中1ギャップを低減し円滑な学校生活を送ることができるよう実施している。学習面や生活面の成果や学級編制上の配慮事項等について指導要録等の文書を用いて実施している。

また全市立小学校において、進学先には必要に応じて適切な情報提供をしている。

基本方針の取組に「適切な引継ぎや情報共有」を入れるべきでは?

小平市いじめ防止基本方針の「(3)学校におけるいじめの防止等に関する取組」は次の構成。

ア)未然防止
イ)早期発見
ウ)早期対応

エ)として、「適切な引継ぎや情報共有」を入れるべきでは。

この基本方針は改善の余地がまだあると捉えており、次の改定の際は、ご意見も踏まえて新たな視点で見直したい。

③ 花小のいじめ防止基本方針から進学先へ情報提供の記述が消えたのは?

花小金井小学校の学校いじめ防止基本方針には、令和4年度時点で「被害の児童、加害の児童について進学先である中学校に情報を提供することで、いじめが繰り返されることのないようにする」という記載があった。しかし現在の同方針ではこの記述がなくなっている。理由は何か。また見解は。

当該小学校においては、進学先において同種の事案が繰り返されることがなく、被害児童及び関係児童が円滑な学校生活を送ることができるよう配慮することを第一に中学校へ引継ぎしていることから、基本方針に特段明記する必要はないと判断し、記載していない。

教育委員会としては、各学校が小平市いじめ防止基本方針を基に、学校や地域の状況に応じて、いじめ防止基本方針を考えることが重要だと認識している。

配慮を第一に引継ぎしているので特段明記していないというが、それ以外のことはよく書いてある。ではそれ以外のことは第一にしていないかというと、そうではないだろう。

何らかの理由によって消すことになったと推測するが、

「子どもが中学校に進学する際ちゃんと情報を引継ぎしてほしい」という思いをもつ保護者の方から指摘を受けた後に、情報や対応の引継ぎという重要なところが消されてしまった。

客観的に考えて、保護者の方々の心情を考えれば「なんで?!」となる。学校からいじめられているような印象も受けるが見解は。

当該小学校は令和4年度から5年度に見直す際、大きくレイアウト等も変更し、より実効性のあるものに改定した。

ただ、議員指摘のとおり、保護者からの御指摘の後にというところは、心情を考えたときに適切な対応だったかというところはこちらからも指導した。

また当該学校は記載をしなかったということで、引継ぎをしていないことでは決してないが、誤解を招くのであれば改めたいというふうに申している。

改定の際に見直す予定としている。

エ)の項に適切な引継ぎや情報共有と書いてあれば学校としても判断しやすいはず。そのあたりも含めて検討を。

④ 市の基本方針にあれば学校基本方針に書かなくてよい?

小平市いじめ防止基本方針に次のとおり記載がある。

小平市いじめ防止基本方針(令和4年12月改定版)

6 学校における取組
(1)学校いじめ防止基本方針の策定
~略~
なお、日常的、定期的に「学校いじめ対策委員会」を核として児童・生徒の情報を共有し、いじめの問題等に関する指導内容を記録するとともに、児童・生徒の進学・進級や転学に当たっては、 適切に引き継ぎや情報共有を行うなど、組織的に対応する。

このように市の基本方針に書かれていることについては、各校の学校いじめ防止基本方針には同趣旨の文言を書かなくてもよいといった考え方があるのか。見解は。

第1点目で答弁したとおり、学校の基本方針は、小平市の基本方針を基に学校の実情に応じて具体的な方策や実践的な内容を加え作成している。

せっかくこれだけよい小平市いじめ防止基本方針をつくっている。

皆に参酌してもらわないといけない。

ぜひ上で述べたことの修正を。

以上