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デイジー図書・デイジー教科書について
デイジーとは
デイジー(DAISY: Digital Accessible Information SYstem)は、日本語では「アクセシブルな情報システム」と訳されている国際標準規格のことです。次のような特徴があります。
- 視覚障害者のためのデジタル録音図書や、ディスレクシア・学習障害者等のためのデジタル図書作成に使われる
- 音声、テキスト、画像などのデジタルコンテンツを含められる
- 音声やテキストは、読みたい場所からすぐ再生できるように構造化され、見出しによってアクセスが可能
- 音声、テキスト、画像などのデータが含まれている場合、それらを同時(同期的)に再生できる(テキスト等の再生部分は、通常ハイライト表示される)
- バージョンアップを重ね、DAISY 1.0, 2.0. 2.02. 3.0, 4.0 の5つの規格があり、2012年に承認された最新のDAISY 4.0は、EPUB3に内包されている
- デイジー規格の公式保守機関は、The DAISY Consortiumであり、日本からはNPO法人 支援技術開発機構(ATDO)の河村宏氏が理事として参加している
- 日本では 日本DAISYコンソーシアムが中心的役割を担っている(と思われる)
デイジー図書
デイジー規格に基づいて作成された図書のことをデイジー図書といいます。デイジー図書には大きく分けて、音声デイジー図書、テキストデイジー図書、マルチメディアデイジー図書の3種類があります。
構造化された 録音音声 |
構造化された テキスト |
その他 画像など |
|
---|---|---|---|
音声デイジー図書 | 〇 | × | × |
テキストデイジー図書 | × | 〇 | オプション |
マルチメディアデイジー図書 | 〇 | 〇 | オプション |
〇:図書のデータとして含まれる、×:図書のデータとして含まれない
1. 音声デイジー図書
文章や図などは含まれず、録音音声だけで構成されたデイジー図書です。朗読CDなど通常の録音図書との違いは、デイジー規格に基づいて作成されている点です。音声データは圧縮されたmp3形式で保存されており、通常のCD(wav形式)録音と比べると、長時間の音声が収録可能となっています。また、読みたい場所から再生できるように音声データが構造化されており、見出しなどから選択して再生できるようになっています。
2. テキストデイジー図書
録音音声のデータは含まれず、文章や図などで構成されたデイジー図書です。容量の大きい音声データが含まれないため、ファイルサイズが小さいという特徴があります。デイジー再生ソフトウェアによっては、文章から合成音声を生成し、テキストをハイライトすると同時に読み上げてくれるものもあります。ただし、自動的に合成音声を生成する方式では、漢字の読み間違えが起きたり、アクセントやイントネーションが不正確になるという難点もあります。日本では著作権上の問題があり、平成22年からようやくテキストデイジー図書の作成が可能になりました。欧米ではもっと早くから著作権上の問題がクリアされていたことや、合成音声再生時の漢字読み間違えがないこと、発音・イントネーション問題が起きにくいことなどが原因でしょうか、普及が進んでいるようです。
3. マルチメディアデイジー図書
録音音声のデータ、文章、図などがすべて含まれたデイジー図書です。正確な録音音声データが含まれることで、リアルタイムに合成音声する際の漢字読み間違えや、アクセント・イントネーションの問題がクリアされています。そのため、教科書でも使われる図書形式となっています。
マルチメディアデイジー教科書(デイジー教科書)とは
通常の教科書を、マルチメディアデイジー図書として作成した(作り直した)ものです。「マルチメディア」を省略して単にデイジー教科書ということもあります。ボランティア団体により作成されているもので、日本国内のデイジー教科書は(公財)日本障害者リハビリテーション協会のDAISY研究センターが中心となってとりまとめを行っています。
デイジー教科書のサンプル
デイジー図書・デイジー教科書の問題点
デイジー規格のバージョンが複数あり、それぞれ仕様の異なる部分があるため、再生機材や再生用ソフトウェアが既存のデイジー図書に対応していない場合もあります。また、ボランティアとして製作された再生用ソフトウェアはアップデートされていないものも多いです。製作ソフトも同様です。今後はDAISY4規格に基づいて製作され、EPUB3のMedia Overlays規格にのっとった形式でのデイジー図書配布が主流になるはずです。
DAISY図書が抱える技術的な問題点については、こちらによくまとめられています。