平成24年12月の文部科学省調査

平成24年に、発達障害の可能性がある児童・生徒の状況を調べるため、文科省が全国的に大規模な調査をしました。その結果、知的発達に遅れはないものの「読む」または「書く」に著しい困難を示す児童・生徒の割合が約2.4%であると明らかになりました。母数は5万2千人以上と十分に大きく、この調査の約10年前に行われた平成14年の大規模な調査でも同様の割合(約2.5%)であったことから、信頼性の高い数値といえます。

小平市の教育委員会も、この数値をもとに、読み書きに困難さを抱える児童・生徒数を見積もる必要があると思います。小平市立の小・中学校に通う児童・生徒数で計算すると440人以上にもなります。しかし残念ながら、小平市の教育委員会は潜在数を見積もることを拒否しています。その理由を聞いても答えません。残念極まりなく、子どもたちの将来をつぶさないために、小平市は早急に考えを改める必要があります。

通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について(平成24年12月5日・文部科学省初等中等教育局特別支援教育課)

調査結果によると、

担任教員が記入し、特別支援教育コーディネーターまたは教頭(副校長)による確認を経て提出した回答に基づく

使用している調査項目が学習面の困難についての本質的な困難を調べることを主眼とし、小学校3、4年生までに表面化する困難を強く意識して作成されたため、学年が上がるにつれ、該当する行動が観察されなくなってきた

ということですから、表面化していない(何らかの方法で回避できている、もしくは本人のやる気の問題などにされている)ケースが存在する可能性も大いにあります。2.4%という数値は「最低限の割合」ととらえるのが妥当です。より正確に把握するためには、統一したアセスメント(試験などによる、漏れる可能性の少ない確認方法による把握)が必要です。

調査結果概要

集計結果:「読む」または「書く」に著しい困難を示す:2.4%(2.3%~2.6%:95%信頼区間)

  • 質問項目

    1. 児童・生徒の困難の状況
      1. 学習面(「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」)
        「LDI-R LD診断のための調査票」(日本文化科学社)を参考に作成。
        参考スライド
      2. 行動面(「不注意」「多動性-衝動性」)
        「ADHD評価スケール」((株)明石書店)を使用。
      3. 行動面(「対人関係やこだわり等」)
        スウェーデンの研究者によって作成された、高機能自閉症に関するスクリーニング質問紙(ASSQ)を参考にして作成。
    2. 児童・生徒の受けている支援の状況
  • 調査時期:平成24年2月から3月にかけて実施

  • 調査対象(母集団)
    全国(岩手、宮城、福島の3県を除く)の公立の小・中学校の通常の学級に在籍する児童・生徒

  • 標本児童・生徒数:53,882人(小学校35,892人、中学校17,990人)

  • 回答数:52,272人

  • 留意事項
    本調査における「Ⅰ.児童・生徒の困難の状況」については、担任教員が記入し、特別支援教育コーディネーターまたは教頭(副校長)による確認を経て提出した回答にもとづくもので、発達障害の専門家チームによる判断や、医師による診断によるものではない。したがって、本調査の結果は、発達障害のある児童・生徒数の割合を示すものではなく、発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童・生徒の割合を示すことに留意する必要がある。

  • 質問項目に対して担任教員が回答した内容から、知的発達に遅れはないものの学習面、行動面の各領域で著しい困難を示すとされた児童・生徒の割合:「読む」または「書く」に著しい困難を示す2.4%(2.3%~2.6%:95%信頼区間)

  • 協力者会議における本調査結果に対する考察

    学年が上がるにつれて著しい困難を示すとされた児童・生徒の割合が小さくなる傾向が学習面においてもっとも顕著であることについては、使用している調査項目が学習面の困難についての本質的な困難を調べることを主眼とし、小学校3、4年生までに表面化する困難を強く意識して作成されたため、学年が上がるにつれ、該当する行動が観察されなくなってきたと考えられる。学年進行とともに学習面の困難自体が解消していくことを示してはいないことに留意する必要がある。なお、学習面については、より正確に把握しようとすれば、各学年の学習状況に応じた質問項目を大幅に増やすとともに、学年毎に基準を設ける必要があるが、今回の調査は、学習面の本質的な困難を把握することが主目的であることから、項目数を増やして実施し、教員に著しい負担を課すことは適切ではないと考えられたため、項目を増やすことは行わなかった。学年が上がるにつれて、学習面、各行動面で著しい困難を示すとされた児童・生徒の割合が小さくなる傾向について、協力者会議においては、次の指摘があった。これらについては今後の調査研究に委ねる必要がある。

    • 周囲の教員や児童・生徒の理解が深まり、そのことが適切な対応につながり、当該児童・生徒が落ち着く可能性がある
    • 学年が上がるにつれ、学校においての生活経験を積む、友人関係ができる、あるいは、部活動にやりがいを見いだすなどにより、当該児童・生徒が学校に適応できるようになる可能性がある
    • 低学年では、学習面や行動面の問題は見えやすいが、高学年になるにつれてさまざまな問題が錯綜し見えにくくなる可能性がある