デイジー教科書以外の音声教材

マルチメディアデイジー教科書以外にも、ディスレクシアの児童・生徒が学習に利用できる教材があります。

文部科学省の調査研究事業

文部科学省の「音声教材の効率的な制作方法等の在り方に関する調査研究事業」には2019年時点で以下6つの団体が参加しており、それぞれ独自の教材を無償で提供しています。

文部科学省 音声教材

それぞれの特徴を表にまとめてみました。

教材 媒体 音声 再生ソフト・機材 同期
読み上げ
現状の
提供教科書
製作コスト
(主観です)
デイジー zip,EPUB等の
電子ファイル

録音された
人の声/合成音声

デイジー図書専用
もしくはEPUB3 MOの
再生ソフト/機材
Apple Booksは
フォーマット限定
全教科
AccessReading docx, EPUBの
電子ファイル

リアルタイム
合成音声

MS Word+アドイン
Apple Books
全教科
副読本、地図、
書写以外

BEAM 通常の教科書
録音された
合成音声

MP3が再生できれば
なんでも良い
× 国語等
一部教科
ペンでタッチ
すると読める
音声付教科書
通常の教科書と
同じ見た目の
専用教科書

録音された
合成音声

音声ペン
1本5,000円
現在国語のみ
e-Pat 通常の教科書と
同じ内容PDFと
HTML,CSS等の
電子ファイル

リアルタイム
合成音声

iPhone,iPad,iPod
UNLOCK テキスト(txt)と
音声(形式不明)の
電子ファイル

録音された
音声(形式不明)

Ex-Word推奨
英語、数学等
高校の教材
が多い

現在の課題

全体に共通する課題として、校長や教育委員会がどう理解を示すか、ということがあります。タブレットやPCを教室に持ち込むことすら、校長に理解がない場合は非常に難しいということを保護者の方から伺いました。GIGAスクール構想で、PCやタブレットが「授業中に使う普通のもの」になるとよいのですが、それまではタブレットやPCを使った教材の利用が難しい場合もあります。

この問題に関しては、全国的に急遽展開されるGIGAスクール構想(1人1台タブレット端末を整備)にて解消する可能性が高くなりました。しかし学校によっては「特定の授業でのみタブレット端末の使用を許可する」など制限を設ける可能性もあります。

今後はデジタル教科書に統合?

デジタル黒板にデジタル教科書を使っている学校も増えてきました。今後はデジタル教科書に、デフォルトでさまざまなケースのディスレクシアに対応した機能が搭載されていく可能性はあります。ただしデジタル教科書は有償のため、予算の少ない地方公共団体(小平市も含む)においては、無償のデイジー教科書が優先的に使われる状況は続くでしょう。