議案第21-36号 小平市農業委員会委員の任命につき同意を求めることについて

即決

ポイント

農業委員会委員が7月19日に任期満了を迎える

定数16名中、引き続き任命が6名、新規任命が10名

任期は令和2年7月20日~令和5年7月19日(3年間)

私(安竹洋平)の判断:賛成

特に問題となるようなことがない

概要

7月19日に任期満了を迎える農業委員に、継続6名、新規10名の16名を任命。

個人推薦(3名以上の推薦で)10名、団体推薦(JAなど)5名、一般応募自薦4名、合計19名のうち、選考の結果16名。一般応募の3名が落選。

任命される方

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議案 氏名(敬称略) 職業 職歴 継続・新規 任期経歴
第21号 宮寺 達藏 農業従事者 農業等 継続 1期現任
第21号 小林 幸夫 農業従事者 東大和市役所等 継続 1期現任
第23号 竹内 博行 農業従事者 小平市役所等 継続 2期現任
第24号 小野 久枝 農業従事者 農業等 継続 1期現任
第25号 梅室 義之 農業従事者 農業等 継続 1期現任
第26号 深谷 俊幸 農業従事者 社会福祉法人等 継続 1期現任
第27号 加藤 政一 農業従事者 農業等 新規 新規
第28号 吉沢 美智男 農業従事者 農業等 新規 新規
第29号 荒井 和夫 農業従事者 小平市役所等 新規 新規
第30号 井上 幸雄 農業従事者 農業等 新規 新規
第31号 川島 敏明 農業従事者 不動産会社等 新規 新規
第32号 高橋 晶夫 農業従事者 農業等 新規 新規
第33号 中島 仁 農業従事者 農業等 新規 新規
第34号 宮奈 初子 農業従事者 病院勤務等 新規 新規
第35号 當間 隆 農業従事者 農業等 新規 新規
第36号 竹川 敏雄 体験農園12年 市役所等 新規 新規

解説

農業委員会は、国の農業委員会等に関する法律で定められているもので、その中では以下のような目的が定められています。

農業委員会等に関する法律 第一条
農業生産力の増進及び農業経営の合理化を図るため、農業委員会の組織及び運営並びに農業委員会ネットワーク機構の指定等について定め、もつて農業の健全な発展に寄与することを目的とする。

非常に抽象的な表現ですが、農業委員会の目的は「農業の健全な発展に寄与すること」とされています。今回の質疑で明らかになりましたが、農業委員会は主に生産者側の会となります。

利用者も含めた農のあり方を考えることに関しては「農のあるまちづくり推進会議」に任せているようです。このあたりの詳細は参考に記載しました。

なお、農業委員会委員の年代構成を以下に示しました。農業従事者の年齢を反映したものか、60代が多く、40代は1名です。若い世代をもっと、という意見もありました。その意見には一部賛成します。一方で、70代の方も、豊富な経験と同時に、若者に負けない意欲をお持ちの方も多くいらっしゃいます。一概に年齢だけでの判断はできないと思います。

主な質疑(会派説明時)

質疑について(ここをクリック)

以下は要約ですので、正確な質疑内容は会議録をご参照ください。分かりやすくするため、括弧書きの部分は、実際の質問内容にかなり修正を加えたところもあります。また、簡略化のため、理事者側(市役所側)の答弁から敬語表現を省いている場合があります。実際は理事者側のすべての答弁において、市民に対する敬語表現で回答がなされています。

私(安竹)の質問=、意見=
一人会派の会 その他議員の質問=、意見=
その他 議員の質問=:、意見=

これからの農業についてどう考えているか(橋本 久雄)

農業生産、経営の改善向上、農の担い手の育成確保が課題。(余語 地域振興部長)


委員が農業関係者だけになっている問題をどう考えているか。農業は作る人だけでは成り立たない。作る人、運ぶ人、食べる人、生協の職員、学校給食の栄養士、家庭で食している人なども参加しないのか。地産地消、地域循環型社会を目指す中で、都市農業をどうするかの観点で推薦して頂きたかったが。(橋本 久雄)

農業委員会は農業者自身が主体となり、自主的な組織を構成して、農業者自身が農地の利用管理を行うことが最も効率的効果的という考え方に基づいており、農業者が多くなるのはある意味当然の結果。(余語)

農業委員会法の枠内でやらざるを得ないところがひとつ。女性が(以前と同様に)二人、小野氏は女性農業者として、農業指導に関わっている、宮奈氏は家族全員で農業従事。60歳は働き盛り。40代の方がいて非常に意欲的。従来型の耐え忍ぶではなく先端的なバイオ等々を使い、周辺市場の地産地消をどうするか積極的に考えている。都市農業は環境面で意義がある。子どもたちが恵まれた畑を目にする。そういったところを期待されている。(市長)

自ら答弁することが非常に少ない市長ですが、今回は農業委員の選任に関わったということでコメントされていました。しかし、イマイチ伝わってきません。農業委員になられた方のご実績も、答弁を事前に用意しておき、もっと明瞭に答えた方がいいと思います。「女性が前回は一人だったが今回二人になった」という誤答弁もありました(実際は前回も二人でした)。
残念です。


多様な農地が求められている。地域循環を考えるなら流通やマーケティングの専門家の力が必要。防災や環境の観点からそういった専門家の意見も重要。入れていくべきでは。農業委員会法で不可能なのか。(伊藤 央)

利害関係を有しない方に入って頂くという要件がある、基本的には農業に対する執権を有しているところがある、他の方を大幅に入れていくのは今の方に基づくと困難。(余語)


給食に関して、かつての栄養補給という意味から、教育の一環、食育という意味を持つようになっている。地産地消、伝統的な郷土料理を知る、学童農園の取り組みなどを行っている。教育委員会が農業政策全般について意見をう言う場があるか。また、教育委員会と農業委員が意見交換する場は。教育委員会の意見は農業委員の選定に関して反映されているのか。(伊藤 央)

農業委員の選任そのものについてはかかわりはない。献立の検討、作付けをお願いする場において、農業従事者の方とお会いする場面はあるのでそういう場で教育に関わって頂いている。(川上教育長)


執権を有する方は学者でも良い。農業の流通マーケティングに精通の方、防災と農地に関して研究している方、そういう方を入れるべきでは。(伊藤 央)

農業委員の中に一名学識経験者、執権を有するという意味では資格があるかと。基本はご自身の農地についての利用管理を行う、届け出の事務を行ったり、経営改善の指導助言を行ったりという事務的な作業が主となるということもあり、農業者が多くなるという実態。(余語)


教育委員会も地域の農業と密接な関わりをもっている、教育委員会と農業をどう結び付けていくか、選定にあたってもう少し考えていくべきでは。(伊藤 央)

地元農家とのかかわりは重要、各学校で農業との関わりについて校内で給食の際に説明しているケースがある。農業の方との接点を十分にもって食育の推進に努めていきたい。(川上)


農業従事者以外は1名しかなれないという枠が決まっているのか。

特に枠を設けていない。(余語)


選考の手続きは。

応募があった19名について、小平市農業委員会委員候補者評価委員会を実施して選定。(余語)


上記評価委員会の構成メンバーは。

以下の5名:

  • 東京都中央農業改良普及センター所長
  • 東京都農業界専務理事
  • 小平市副市長
  • 小平市農業委員会事務局長
  • 小平市地域振興部長
    (余語)

国分寺市は農業委員会に消費者の代表が加わっていた。農業値を保全するには農業者以外の市民も協力していく必要がある。農業従事者以外の委員を増やすことはできないか、そのために必要な手続きは。

農のあり方を考える組織では「農のあるまちづくり推進会議」に市民公募の方に入って頂き、小平市の農について話を頂いている。(余語)

参考

「農のあるまちづくり推進会議」の方には以下のように設置要綱があります。

小平市農のあるまちづくり推進会議設置要綱 第1条(設置)
小平市農業振興計画の諸施策の着実な推進を図り、都市に農業や農地が定着した農のあるまちづくりを進めるために、小平市農のあるまちづくり推進会議を設置する。

しかし農業委員会の方に関しては、小平市の規約集に設置要綱が見当たりません。

国の「農業委員会等に関する法律」には、その目的が記載されています。

農業委員会等に関する法律 第一条(この法律の目的)
この法律は、農業生産力の増進及び農業経営の合理化を図るため、農業委員会の組織及び運営並びに農業委員会ネットワーク機構の指定等について定め、もつて農業の健全な発展に寄与することを目的とする。

つまり、農業委員会というのは、国の方から「農業生産力の増進及び農業経営の合理化を図るため」に設置が要請されているものと考えられます。今回の市の答弁の通り「生産者サイド」の委員会なのですね。農業委員が関わる具体的な処理事項は、第六条に記載されています。

第六条 農業委員会は、その区域内の次に掲げる事項を処理する。

(略)農地等の利用関係の調整に関する事項並びに農業経営基盤強化促進法、(略)特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律(略)、農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律(略)及び農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律(略)によりその権限に属させられた事項

 (略)農地等の交換分合及びこれに付随する事項

 農業委員会は、前項各号に掲げる事項を処理するほか、その区域内の農地等の利用の最適化の推進(略)に関する事項に関する事務を行う。

 農業委員会は、その区域内の次に掲げる事項に関する事務を行うことができる。
 法人化その他農業経営の合理化に関する事項
 農業一般に関する調査及び情報の提供

つまり、まとめると、農業委員会は以下のような事項を主に処理することになります。

  1. 農地等の利用関係の調整に関する事項
  2. 農業経営基盤強化促進
  3. 特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進
  4. 農山漁村の活性化のための定住及び地域間交流の促進
  5. 農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進
  6. 農地等の交換及びこれに付随する事項
  7. 法人化その他農業経営の合理化に関する事項
  8. 農業一般に関する調査及び情報の提供

このうち、3の特定農山村地域は小平市にはなく、4と5の対象となる農山漁村にも該当しないため、小平市の場合は以下の事項が該当するものと思われます。

  • 農地等の利用関係の調整に関する事項
  • 農業経営基盤強化促進
  • 農地等の交換及びこれに付随する事項
  • 法人化その他農業経営の合理化に関する事項
  • 農業一般に関する調査及び情報の提供

すべて「生産者サイド」の事項となります。強いて言うなら、農業経営基盤強化促進は利用者サイドの協力も必要となる事項に思えますが、「農業経営基盤強化促進法」を確認する限りは、そのような内容ではありませんでした。

また、第八条には、委員の資質に関する記述があります。

第八条 委員は、農業に関する識見を有し、農地等の利用の最適化の推進に関する事項その他の農業委員会の所掌に属する事項に関しその職務を適切に行うことができる者のうちから、市町村長が、議会の同意を得て、任命する。

これによると、委員は農業に関する識見があり、農業委員会の扱う事項に関しその職務を適切に行うことができる者のうちから選ぶとされています。農業委員会の扱う事項は、生産者サイドの事項ですから、結果として農業従事者から選ぶことになるというわけです。

一方の、農のあるまちづくり推進会議の方は、その設置要綱第3条

推進会議は、農業に関する識見を有する者、農業団体の代表者、商業団体の代表者、消費者団体に属する者及び市民のうち市長が依頼する委員12人以内をもって構成する。

とありますので、質疑にあった、利用者も含めた農のあり方に関してはこちらの会議で検討するということになるようです。

農業委員会

農業委員会等に関する法律

小平市:農業委員会

農のあるまちづくり推進会議設置要綱

農のあるまちづくり推進会議設置要綱

小平市農のあるまちづくり推進会議 議事録