幹事長会議の問題点とこのサイトでの公開範囲

ついに、当会派で主張してきたことが採用され、令和2年6月本会議において、以降の幹事長会議が公開されることになりました!伊藤央幹事長の主張が通りました。以下の問題点の多くは解消されるはずです。ただし「会議」に該当しない点は変わらないため、名称は「幹事長会」とするべきです。

幹事長会議について

幹事長会議というものがあります。非公開・非公式とされていますが、そのことも含めて、この会議の根拠等について明文化されたものはありません。各会派の幹事長が集まり、実質的にここで議会に関する重要な判断がなされています。それなのに、市民は内容を知ることができない、非公開・非公式という非常におかしな会議です。

この会議は、市役所の会議室を利用し、議会事務局の職員が常駐しており、印刷物など費用も相当かかっています。すべて税金で賄われています。それなのに、市民に対して公開されていないのは、大きな問題といわざるを得ません。

私は幹事長ではないため参加できず、傍聴もできません。幹事長からの報告で、どのような会議であったかを計り知るだけです。幸い、伊藤央幹事長は詳細に報告してくれるし、私の意見も伝えてくれる状況です。

私も含めて一人会派の会の議員はすべて、幹事長会議の内容をすべて市民に公開すべきものと、かねてより主張しています。

なお、幹事長会議について明記されている唯一のものは、議員必携という冊子に掲載されている「申し合わせ」です。ここには、非公式・非公開であるとは記載されていません。次の「申し合わせ」と「先例」が記載されているのみです。

申し合わせ

  1. 会派の構成は、2人以上の議員を構成要件とする
  2. 幹事長会議への代理出席は、副幹事長に限り認める
  3. 世話人会議の座長は多数会派から選出する

先例

  1. 幹事長会議は、定例会招集告示日の前日および定例会最終日の4日前に開くほか、必要に応じて随時開催する。
  2. 幹事長会議の座長は議長がつとめるのが例である。
  3. 一般選挙後、会派結成届が提出されるまでの間は、世話人会議の名称で会議を開催するのが例である。

幹事長会議の問題点

問題点1: 小平市議会基本条例の公開原則に違反している

小平市議会基本条例には次のように記されています。

小平市議会基本条例 第5条
議会は、全ての会議を原則として公開する。

しかし、この幹事長会議は公開されていないため、この第5条に違反しています。公開しなくてもよい「秘密会」という会議が法律で定められていますが、幹事長会議はその要件を満たさないため、秘密会ではありません。

問題点1-2:そもそも会議ではない

幹事長「会議」という名称ですが、そもそもこれは法律上定義されている「会議」ではありません。次の理由によります。

会議は公開しなければなならい

小平市議会基本条例だけではなく、地方自治法第百十五条に、次のようにあります。

第百十五条
普通地方公共団体の議会の会議は、これを公開する。但し、議長又は議員三人以上の発議により、出席議員の三分の二以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる。

○2 前項但書の議長又は議員の発議は、討論を行わないでその可否を決しなければならない。

つまり、会議は公開しなければなりません。しかし、幹事長会議は公開されていません。秘密会でもありません。そうなると、幹事長会議が違法であるか、もしくは「会議」ではないか、のどちらかです。

会議は議員定数の半数以上が出席しなければならない

第百十三条
普通地方公共団体の議会は、議員の定数の半数以上の議員が出席しなければ、会議を開くことができない。但し、第百十七条の規定による除斥のため半数に達しないとき、同一の事件につき再度招集してもなお半数に達しないとき、又は招集に応じても出席議員が定数を欠き議長において出席を催告してもなお半数に達しないとき若しくは半数に達してもその後半数に達しなくなつたときは、この限りでない。

これも満たしていません。

会議とは

では、会議とは何か。明確な用語の定義はありません。「委員会」との対比として「本会議」を指す、と一般的には解釈されているようです。

第百三十二条
普通地方公共団体の議会の会議又は委員会においては、議員は、無礼の言葉を使用し、又は他人の私生活にわたる言論をしてはならない。

第百三十三条
普通地方公共団体の議会の会議又は委員会において、侮辱を受けた議員は、これを議会に訴えて処分を求めることができる。

「会議又は委員会」と書いてあることから、委員会は地方自治法上、会議という用語に含まれないとされています。だから名称が委員「会」であり、委員「会議」ではないのでしょう。

幹事長会議は上記のとおり、地方自治法上の会議ではありません。もし委員会と同様な扱いであるならば、法律上不明瞭で誤解を招く表現は改め、幹事長会などとする必要があります。

問題点2:重要な事項が決定されるのに非公式・非公開

このサイトの幹事長会議まとめをご覧頂くと分かりますが、幹事長会議においては、議会に関する様々な重要事項が決定されます。それなのに非公式・非公開というのはいったいどういうことでしょうか。市税を使いながら活動している私たち議員の立場として、市民に対し納得のできる説明ができないことだと思います。

幹事長会議において決定される重要事項等(その他諸々あります):

  • 議会に提出される議案等は、あらかじめ幹事長会議に説明する。(小平市議会 会議規則 第3章 先例1)
  • 意見書案、決議案が提出されたときは、幹事長会議に諮った後、本会議に付すのが例である。(小平市議会 会議規則 第3章 申し合わせ5)
  • 一部事務組合議会議員の選挙は、あらかじめ幹事長会議で協議、調整し、指名推薦の方法によるのが例である。(小平市議会 会議規則 第4章 先例4)
  • 対外委員等の推薦または選出については、あらかじめ幹事長会議で協議、調整し、その結果を印刷物として議席に配布し、議長が本会議に報告するのが例である。(小平市議会 会議規則 第4章 先例5)
  • 諸外国において核実験(未臨界を含む)が実施された場合は、小平市比較都市宣言の趣旨に則り、幹事長会議に諮り核実験に抗議する声明を発表する。(小平市議会 会議規則 第3章 申し合わせ4)

問題点3:明文化されたルールがない

百歩譲って(百万歩ほど譲って)、幹事長会議を非公式・非公開にすることで「市民にとって良い影響がある」なら納得できます。しかし、そのような論を聞いたことも、見たこともありません。もし市民に良い影響があり、議会基本条例に反しても良いというのであれば、きちんとその根拠を明文化するべきです。どこにも全く記載されていません。

問題点4:非公開・非公式を良しとしている議員の意識を疑う

市民の税金で活動している議員が、議会の公開に積極的ではないことには大きな疑問を感じざるを得ません。多くの事例で、市民ではなく自らが所属する組織(会派)のことを最優先に考えている姿を目にしているため、特に驚くことはありません。しかし、残念と言わざるを得ません。

このサイトでの公開範囲

6月定例会において幹事長会議が公開されることが決まりましたので、今後の幹事長会議については詳細を記載します。それ以前の非公開扱いだったものに関しては、情報の裏付けが、公開された情報から取れるものを中心とした記載となります。