議案第53号 小平市高齢者デイサービスセンター条例を廃止する条例

(作成中)

厚生委員会付託

ポイント

✔ 小平市の公設公営・高齢者デイサービスセンターを廃止するための、条例廃止

✔ 平成14年の設立当初から運営を担ってきた、唯一の公募参加指定管理者が継続を断念

✔ 施設は狭く、設備も使いづらいなど、これまでも難が指摘されていた

✔ 市内のデイサービス施設は60か所で稼働率は約6割程度と、需要は満たされている

✔ 設立当初は民間のデイサービス施設は少なく、目的は十分に果たしてきた

✔ 職員については、指定管理業者が東久留米市内の施設で継続雇用を確約している

⭕️ 私(安竹洋平)の判断:賛成

以下の理由などにより、賛成です。「他に選択肢がない」というのが大きいです。

⭕️ 唯一手を挙げ運営してくれていた事業者が辞退のため、今後続ける選択肢がない

⭕️ 職員の雇用は東久留米市の職場で守られることを事業者が確約している

⭕️ 施設の広さ、設備に難があり、修繕を行う場合は大規模改修になる

⭕️ 小平市内のデイサービス稼働率から考えて需要は満たされていると考えられる

⭕️ 早期に利用者と職員に知らせる必要があり、条例が廃止されないと混乱を招く

⚠️ 利用者と職員に環境変化の負担を強いることになる

概要

市長報告(クリックで開きます)

本案は、小平市高齢者デイサービスセンターの廃止に伴い、条例を廃止するものです。
小平市高齢者デイサービスセンターは、平成14年4月に、花小金井4丁目の都営住宅の建て替えに伴い、さわやか館に併設され、指定管理者制度により通所介護事業を実施しておりますが、現在の指定管理期間の本年度末での終了に当たり、指定管理者に更新の意向がないことや、市内の通所介護事業所の整備状況などを踏まえ、本年度末をもって廃止するものです。
施行期日につきましては、来年4月1日を予定いたしております。

解説

小平市の唯一の公設公営・高齢者デイサービスセンターは、これまで事業を担ってくれていた指定管理事業者が、次回以降は更新をしないとの意向を示したことから廃止し、そのため関連の条例を廃止するものです。指定管理者制度で運営事業者を公募するわけですが、唯一手を挙げていたのが現在の事業者である社会福祉法人竹恵会です。

過去の議事録を参照すると分かりますが、これまでもこの施設はデイサービスセンターとして使いにくいという指摘が出ていました。また設立時には市内で8か所しかなかったデイサービスの施設も現在は60か所に増えており、需要は満たせている状況になっています。逆に言えばそれだけ経営が厳しくなっている状況でもあり、それでも市の意向を汲んで事業を担ってくれていたのが竹恵会です。そこが断念するということなので、今後新たな指定管理者が現れる可能性も非常に低く、ある意味仕方のないことと思います。

詳細

デイサービスセンターの概要

  1. 開設時期:平成14年4月
  2. 床面積:199.51㎡ 鉄筋コンクリート造地上5階建の1階(都営住宅内)
  3. 利用定員:25名
  4. 事業内容:
    1. 通所事業
    2. 第1号通所事業(介護予防・日常生活支援総合事業)平成28年3月追加
    3. 市長が必要と認める事業

デイサービスセンターの管理運営

  1. 平成14年4月の開設当初から現在まで社会福祉法人竹恵会により運営されている。
  2. 平成14年度から平成17年度までは業務委託、平成18年度から令和2年度までは指定管理者制度を導入している。
  3. 地方自治法第244条の2に規定する利用料金方式により、介護報酬及び利用者負担金を収入として運営しているため、市からの指定管理料の支出はない。

デイサービスセンターの状況(令和元年度実績)

登録者数:53名、稼働日:309日
1日当たりの利用者数:18.3名
介護度別人数:

要支援・要介護度人数
要支援17
要支援26
要介護112
要介護211
要介護38
要介護47
要介護52
市内48名、市外5名(東久留米市)

介護度の高い方も利用していることが分かります。介護者のレスパイトのために活用されていた、ということでしょう。厚生委員会の質疑で答弁があったように、レスパイト目的であればショートステイが用意されています。

デイサービスセンター利用者への対応

廃止に伴う利用者の通所先の変更については、現在の指定管理者がケアマネジャーと連携し、利用者の意向を聞きながら確実に移行する。また、利用者及び家族に対する説明については、指定管理者及び市が連携して行う。

市内の通所介護事業所の整備状況の推移(年度末)

H14 H16 H17 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 R1
通所介護 8 16 16 24 33 40 49 56 61 30 31 32 33
地域密着 - - - - - - - - - 31 30 28 27
合計 8 16 16 24 33 40 49 56 61 61 60 60 60

デイサービスセンター廃止後の施設利用

センター廃止後の施設利用については、来年度は「たいよう福祉センター」において児童発達支援センターの改修工事が予定されているため、工事期間中の代替え施設として利用する予定である。
なお、令和4年度以降については、現在庁内で検討しているところである。

施行期日

令和3年4月1日

主な質疑(発言順)

質疑について(ここをクリック)

以下は要約ですので、正確な質疑内容は会議録をご参照ください。分かりやすくするため、括弧書きの部分は、実際の質問内容にかなり修正を加えたところもあります。また、簡略化のため、理事者側(市役所側)の答弁から敬語表現を省いている場合があります。実際は理事者側のすべての答弁において、市民に対する敬語表現で回答がなされています。

私(安竹)の質問=、意見=
一人会派の会 その他議員の質問=、意見=
その他 議員の質問=:、意見=

@ 本会議

条例廃止の必要性は。

平成14年4月の開所当時は介護保険制度ができて2年目で、通所介護事業所も少ない状況だった。それから20年経過し、市内民間事業者のデイサービスセンター開設が進んでいることから、当初の役割は果たしたと考えている。(滝澤 健康福祉部長)


なぜこのタイミングか。

3月までは事業を行うが、現在の利用者にこれからの行先を考えてもらうため、この時期に条例を廃止。(滝澤)

@ 厚生委員会

厚生委員会には、一人会派の会から私、安竹洋平議員が委員として参加しています。


指定管理者募集要項の業務に関わる実施条件に「本施設が公営民設の市内唯一のデイサービスであることから、ほかの福祉施設等で様々な理由等で入所が困難なケースについて、できる限り受入れを行うこと」とある。こうした入所が困難なケースは何人くらいいるか。

年間大体2~3人くらい困難ケースという方がいると聞いている。困難ケースは重度の方や医療的ケアが必要な方であり、ほかの事業所で受入れが難しい方を積極的に出来る限り入所が出来るようにして欲しいという特徴がある。(島田 地域包括ケア推進担当)


市内に受入れ困難な方を積極的に受け入れている事業所はどれくらいかるか。

まず通所介護事業所は、基本的には自宅で日常生活を送ることができるような生活上の支援や機能訓練、そういうレクリエーションなどを目的としているサービス。困難ケースといっても色々ある。医療的ケアが必要な方を受け入れているかどうかは、市が発行している介護事業所ガイドブックに掲載されているものだと4施設ほどあると捉えている。(赤坂 高齢者支援課長補佐)

令和元年度版 介護保険サービス事業所ガイドブック

医療的ケアは看護師がいる場合には行えるが、特徴として行っているのが4施設。東地区が3か所、西地区が1か所。(島田)

補足をすると、ケアマネージャーに伺うと、デイサービスは医療的ケアの方を受け入れることがメインではない。医療的ケアが必要な方は訪問看護が必要で、訪問看護だと訪問診療や訪問リハビリテーション、こういったサービスを組み合わせながら、ただ介護者の方のレスパイトという意味では市内のショートステイ、老人保健施設のショートステイを使っていると捉えている。市としては、こういった医療的ケアについては、介護と医療の連携推進ということで、医師会等とも連携して計っており、今後もそういう形で進んでいく。医療的ケアの施設ということでは、小川東町に看護小規模多機能型居宅介護ということで、医療的ケアが必要な方が通所介護を受けながら、通所介護と訪問介護と訪問看護とショートステイ、この4つを組み合わせながらやっている施設も新たに整備されてきているので、そういったことにも十分対応できるものと捉えている。(赤坂)


公設民営であるところのメリット・デメリットは。

公設民営の意義というものが大きかった。ただし開設当時の介護施設不足の状況から、安定的で良好な介護サービスがほかの事業所によって今は提供されていること、民間んお事業所がその経験や創意工夫により多様な介護サービスを提供している。例えば医療的ケアも事業所によってはもう行っている。また入浴施設が完備されているとか、あたたかい食事の提供がされているような施設も多く設置されている。このデイサービスセンターの近くにも2か所ほど、歩いてすぐのところに介護事業所ができているようなことを検討し、廃止したいというところ。(島田)


市としてもう公募をしないと決めた理由は。

内部で検討した結果。また近くの介護事業所等にも話を聞いており、立地の問題や面積、設備の課題があるということで、ここの公募に応募するのは難しいと聞いている。(島田)


近くの介護事業所とはどこか。近隣だけじゃなく市内全体に、こういう公募があると知らせた方が良いのでは。

聞いたのは、鈴木町にある小平健成苑。他の地区といっても西の方になると場所が遠いため手を挙げることが難しいと考えており、東地区を中心に検討した。(島田)


改めて、市内全域の事業所なり、他に周知して公募をし直すことは検討できないか。

市内唯一の公設民営の施設だが、開設当時の状況、介護施設の不足だとか重度の医療ケアが必要な方の受け入れ先等について、ほかの事業所等も受け入れる状況があるため、新たに公募することは考えていない。(島田)

ほかの事業者について、立地と設備等を考えると、なかなか手を挙げる事業所、自分たちが介護事業でやりたいような事業が、あの場所ではなかなかできない状況が見受けられるところがあり、ほかの事業所には声をかけていない。(島田)


市として、2025年以降、介護施設の数や介護職員の人数はどうなると考えているか。

介護保険制度は3年間でやるものなので、2025年の介護施設の整備数や介護職員の人数といものは捉えていない。ただし特別養護老人ホームについては、2025年までに現在の計画から300人ほど増やすということで、施設としては4施設、現在3施設あるので最後の施設を2025年に向けて整備を進める。(赤坂)


今回デイサービスセンターを廃止しても、市内の需要は満たせているのか。

一つの目安として稼働率がある。令和2年7月の通所介護事業所稼働率は大体6割越え程度で定員に余裕があり、今後増えたとしても十分に足りている。また他市と比べた場合も、通所介護の事業者数、利用定員を第一号被保険者で割ると、26市中小平市が1番になることからも、十分充足していると考えている。(赤坂)


施設の修繕費は市が負担するのか、指定管理業者が負担するのか。

これまで大きな修繕はしていない。ただし今年の5月に空調設備が故障し、8月に入替を行った。修繕費で軽微なものは指定管理者が行い、大規模のもの、例えば空調など大きな修繕は市が行うという形になっている。(島田)


職員からは修繕の要望は出ていたのか。

要望はいくつもあり

  • 静養室が狭い
  • 入浴施設が一般浴になっているので介護者の負担が高い
  • 入浴施設が離れたところにあるので利用しにくい
  • 天井が高く、暖房・冷房の効率が悪い
  • 温水が出ない
  • 活動場所と静養場所は分けて運営したいが、199平米だとちょっと狭い

など様々ある(島田)


今回の廃止は、修繕費が大きいことが関わっているのではないか。

大きな要因になっているとは理解していない。(島田)

現在の指定管理者から、時期の更新の意向の話を受けたときに、いろいろ話を伺った。その中で、現在の施設で何か要望等はありますかという話も当然続けて頂くためにこちらの方としては伺っている。ただし話を聞くと、どうしても大規模な改修が必要ということを要望される。市としてそこまでして続けて頂くことが本当に必要かというところも検討していく中で、今、民間事業者が創意工夫でいろいろな設備を整えたり、いろいろなサービスを提供している。そのため、ここでお金をかけてデイサービスセンターを改修するよりも、そういった部分については民間事業にお任せしていこうと判断した。(滝澤 健康福祉部長)


働いている職員の方々は今後どうなると聞いているか。(安竹 洋平)

廃止後は社会福祉法人の方が引き続き雇用を行うと聞いている。(島田)


他市からの受入れ状況について、利用書のうち10%くらいが東久留米市から。この、全利用者に占める他市利用書の割合には制限を設けているのか。市の施設を使っている以上、受益者負担という観点が良く持ち出される中で、どういう扱いになっているか。(安竹 洋平)

他市からの受け入れ制限は特に設けていない。(島田)


資料6番に記載の整備状況の推移のところで、令和元年度が通所介護と地域密着型通所介護の合計が60か所という話だが、他市からの利用者はどれくらいの割合でいるか。(安竹 洋平)

通所介護事業所の方は、他市の利用者の人数は把握していない。基本的に小平市の方が多いと捉えている。場所によって市境のところは他市の方も一定程度通われていると捉えている。現在27事業所あり定員301人だが、原則的にほぼ小平市民。もう一つの地域密着型通所介護は原則として小平市民のみが利用できる。(赤坂)


小平市は通所介護の施設が他市と比べて多い状況という話だったが、その理由は。補助金が手厚いなどあるのか。(安竹 洋平)

デイサービスを申請するにあたって補助金等は出ていないため、どうして多いかは特段捉えていないが、事業者がそれなりに人数を見越して市内に参入したものと捉えている。ただし平成27年度以降は60箇所くらいで推移しており、事業者の方でも市場調査を行って検討していることを考えると、小平市としては充足しているものと捉えている。(赤坂)


先ほど通所介護事業所の稼働率は、大体6割越え程度という答弁があったが、それは普通の通所介護の割合なのか、地域密着型の割合なのか。地域密着型の施設数が平成28年度から10%程度減っているので、稼働率の差があると思うが。(安竹 洋平)

令和2年7月時点で、通所介護事業所の稼働率は66%、地域密着型通所介護の稼働率は62%。(赤坂)


53人の利用者の行き先はすでに決まっているか。利用者は廃止を知っているか。

議決後、職員と利用者に説明するため、現在行先が決まっている方はいない。利用者は廃止についてはまだ知らない。(島田)


全員の行先を決めてから廃止でもいいのではないか。

条例の廃止が先か、説明が先かという話だと、利用者に説明するには、条例の廃止を前提に、決まらないうちに説明するのはいかがなものかと考えており、この時期に上程している。(島田)


他市の状況はどうか。

近隣市の公設民営の状況は、小平市外に14施設が公設民営で介護サービスを行っている。ただ近年、通所介護などを中心に廃止をしたり民間に譲渡している状況。運営の方法としては指定管者理制度を取っているところが10市、業務委託の方法を取っているところが4市。八王子市は平成28年度に通所介護を1か所廃止、三鷹市も令和元年度末に特別養護老人ホームを1か所廃止している。


竹恵会がもう続けられないという具体的な理由は。

何度かヒアリングした中で出てきた理由としては、小平市内の居宅事業所とのつながりが薄かったため、新規利用者の獲得に苦慮していたこと。また、小平市内に介護事業所が60か所もあるということもあり、理事会からは今期の更新の時期にも(前回の契約更新時に)断念するよう勧められていたものの、施設側の職員が継続を望んでいたこともあって続けてきた。最終的に今後もこの場所で同様のサービスを継続することは断念した。(島田)


通常の契約更新の時期はいつごろか。

本来であれば令和2年7月に、次期指定管理の募集をかけるところ。(島田)


竹恵会からはいつごろ次の更新はしないという打診があったか。

令和元年11月頃に竹恵会の経営会議で議題になり、12月に市に相談があった。最終的に令和2年1月に竹恵会の理事会で決定したことを受け、市としても辞退の確認を取った。竹恵会は、現在の指定管理を取ったときのいきさつなどもよくご存じで、この法人が手を挙げなければこのデイサービスを続けるのは難しいのではという思いを持っていらっしゃる。そうした状況に配慮して頂いた先に打診を頂いている状況。法人としての大きな方向性として、もう十分に社会福祉法人としての社会貢献もできたという判断で今回は見送らせて頂いたということ、そういった意思を十分尊重しながら次は市として考えたという経緯がある。(滝澤)


市として監督指導はどう行っているか。

小平市は保険者として通所介護事業所に限らず市内の全ての事業所を指導、監督する立場。指定の期間は6年間で、6年間のうち一度は実地指導ということで、市の職員が現場に出向いて実際にサービスを確かめている。苦情は市で受け、市内に事業所にフィードバックする取り組みもしている。(赤坂)

厚生委員会での賛否

継続の提案

政和会より「継続」、公明党から「採決」の提案がありました。

会派継続への賛否
一人会派の会⭕ 賛成
政和会⭕ 賛成
公明党❌ 反対
フォーラム小平❌ 反対
共産党⭕ 賛成
生活者ネット❌ 反対

可否同数ということで、小平市議会 委員会条例 第16条第1項の規定に基づいて、委員長裁決により「採決」になりました。

🤔 討論で明確に理由を述べましたが、私の判断は「採決(この場で賛否を決める)」でした。継続(継続審議 → 次回の委員会で再度審議)になると、決定が3か月先になります。利用者と職員のことを考えれば、早めに結論を出すべきだと考えていたからです。しかし会派内で「継続」という意見が強かったため継続の方で手を挙げました。結果として採決となって良かったです。

賛否
会派賛否
一人会派の会⭕ 賛成
政和会⭕ 賛成
公明党⭕ 賛成
フォーラム小平⭕ 賛成
共産党❌ 反対

本会議でのやり取り

討論

*概要ですので、実際の討論は会議録等をご参照ください。

⭐賛成(一人会派の会:安竹 洋平)
賛成(政和会)
賛成(公明党)
賛成(フォーラム小平)
反対(共産党)
反対(まちづくり市民こだいら:水口議員)

原案に対する賛否

賛否一覧はこちらをご覧ください。