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ディスレクシア(読み書き障害)対応の軌跡

文部科学省の調査では、読むことまたは書くことに著しい困難を示す児童生徒は約2.4%(平成24年時点)にのぼります。小平市立小・中学校の児童生徒数で計算すると、約330人が潜在的に読み書きの困難さを抱えていることになります。しかし実際に把握できていたのはわずか56人——見えない障害ゆえに、大多数の子どもが「自分は頑張ってもできない」と誤解し、不登校やうつ病に至るリスクにさらされていました。

安竹洋平は令和元年度から令和2年度にかけて3回の一般質問を行い、全国で急速に進んでいたGIGAスクール構想(1人1台端末)を、最も恩恵を受けるディスレクシアや不登校の子どもたちのために最大限活用するよう訴えました。


年月出来事
令和2年2月26日一般質問「ディスレクシアの子どもをひとりも見過ごさず成長できる環境整備を、いますぐに」 — 保護者からの相談をきっかけに、網羅的に質問。潜在数約330人中56人しか把握されていない実態が判明。教員の気付き頼みのアセスメント方針を批判
令和2年6月4日一般質問「不登校やディスレクシアの子どもたちも活用できるGIGAスクール構想を」 — 国の方針で1人1台端末の予算が急遽決定。最も恩恵を受ける不登校・ディスレクシアの子に役立つ活用を訴え。デイジー教科書の一括ダウンロード申請や意見反映の必要性を提案
令和2年9月11日一般質問「タブレットはそろった。デジタル教科書と教材へ投資の英断を」 — デジタル教科書の全教科購入費用約1.7億円、国語1教科で約1,700万円と試算。無償コンテンツの積極活用や臨時交付金の活用を提案
令和2年10月決算特別委員会で、市報の一部にユニバーサルデザインフォントを採用するよう提案
令和2年12月生活文教委員会で、iPadの優位性(学習障害児童への対応アプリの豊富さ、性能)を指摘し端末選定に注文
令和3年度以降一連の質問を受け、市教委の職員研修に読み書き障害の内容が組み込まれる。保護者が特別支援教育推進委員会の委員として参加し、現場の声が届くように
令和4年9月ディスレクシア周知を兼ねた議員レポートを、徒歩と自転車で市内6万世帯超へ配布 — 見た目では分からない困難を周知するため、診断名を示したチラシを全戸配布。これをきっかけに多くの相談が寄せられ、発達障害への理解が深まる

ディスレクシアとは — 見えない障害

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ディスレクシア(読み書き障害)は、学習障害(LD)のひとつで、知的な遅れや視聴覚の障害がないにもかかわらず、文字の読み書きに著しい困難を抱える状態です。全人口の約5〜10%が該当すると言われ、決して珍しいものではありません。

主な特徴:

  • 音韻処理の自動化がうまくいかず、一文字を読むのに時間がかかる
  • 読むだけで疲れてしまい、意味を理解できない
  • 文字が足りない、入れ替わる、左右逆になる
  • 漢字の部首が入れ替わる

最大の問題は、周囲からも自分自身からも気付かれにくいことです。 当事者の子どもたちは「自分は頑張っても勉強ができない」と誤解し、周りから「勉強が足りない」と誤解を受け、不登校やうつ病に至る場合もあります。


令和元年度 — 問題の端緒:330人中56人しか把握されていなかった

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令和2年2月「ディスレクシアの子どもをひとりも見過ごさず成長できる環境整備を、いますぐに」

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保護者からの相談を受けて、安竹はディスレクシアについて初めての網羅的な一般質問を行いました。質問に先立つ調査で、市職員の部課長レベルですら、この障害や問題があることを把握している人は少ない状況でした。そこで 「職員や議員への周知」 そのものを質問の目的のひとつに据えました。

項目実態
潜在的な該当児童・生徒数約330人(文科省調査の約2.4%から試算)
実際に把握している人数56人(特別支援教室利用48人+巡回相談8人)
統一的なアセスメント未実施
発見の方法教員の気付き頼み
巡回相談員の巡回頻度回答できない(データなし)
行動観察結果の保護者への説明基本的に行っていない
  • 全体的なアセスメントの計画すら存在しないことを指摘
  • 稲垣教授(ディスレクシア研究の第一人者)に協力を仰ぎ、統一アセスメント構築チームを作るよう提案
  • 保護者と共同で特別支援教育のガイドラインを作成するよう提案
  • デイジー教科書やデジタル教科書を再生するタブレットの無償支給を提案
  • 市の研修資料作成に当事者を含めるよう提案

市の答弁は総じて「研究課題」「検討を進める」という消極的なものでしたが、この質問をきっかけに、職員研修に読み書き障害の内容が組み込まれることになりました

この質問以降、安竹は学んできたことをまとめたディスレクシアに関する情報ページを公開し、市民への周知に努めました。

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令和2年度 — GIGAスクール:1人1台端末をディスレクシア支援に

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令和2年6月「不登校やディスレクシアの子どもたちも活用できるGIGAスクール構想を」

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国が突如としてGIGAスクール構想を打ち出し、小平市にも全校児童・生徒に1人1台のタブレット端末を購入する予算(国の補助金)がつきました。しかし小平市教育委員会はそれまで教育のICT化に向けた準備をほとんど進めておらず、突貫的な導入が懸念される状況でした。

安竹は、準備不足の状況下でも最も恩恵を受ける不登校児やディスレクシアの子どもに役立つことを中心に考えれば有効に活用できると訴え、以下の点を提案しました。

  • ディスレクシアや不登校の子どもの意見を反映させること — 特別支援学級の教員を通じて聞くだけでは不十分であり、当事者や保護者の意見を直接反映する仕組みが必要
  • デイジー教科書の一括ダウンロード申請 — 全児童・生徒が利用できるようにすることで、個別申請の手間を省き、必要な子が確実に利用できる環境を
  • 利用者負担の明確化 — 家庭に持ち帰って学習する際の通信費負担をどうするか

教育委員会の答弁は「重要と認識」「検討を進める」というものでしたが、人的・発想・予算のリソース不足が露呈しました。

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令和2年9月「タブレットはそろった。デジタル教科書と教材へ投資の英断を」

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端末整備の目途が立った段階で、安竹は次のステップとしてデジタル教科書・教材の導入を訴えました。

「タブレットがあっても中身のないまま時間が過ぎるようでは、あまりにもお粗末だ」

項目金額
デジタル教科書 全教科分(全市立小・中学校)約1.7億円
デジタル教科書 国語1教科分約1,700万円
  • 無償コンテンツを積極的に活用しながら、試験的導入から始める
  • 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の活用
  • 多くの私立校ではすでにICT活用が進んでおり、収入による教育格差を広げないためにも早期の導入が必要
  • 教員の働き方改革の観点からも、デジタル化による採点等の手間軽減効果への期待

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端末選定への注文 — iPadを推す

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令和2年12月の生活文教委員会で、安竹は端末選定に関してiPadの優位性を指摘しました。

  • iPad(第8世代)は教育機関用に税抜32,800円で販売されており、Apple Pencilやキーボードを含めても45,000円に収まり、GIGAスクール構想の補助金(45,000円/台)内で調達可能
  • ChromeBookの約6倍の性能を持ち、機械学習にも強いチップを搭載
  • 学習障害(LD)の子どもたちにとっても使いやすい
  • 対応アプリが豊富で、ディスレクシア支援アプリも充実

令和4年度 — 市内6万世帯への周知

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ディスレクシア周知を兼ねた議員レポートの全戸配布(令和4年9月)

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見た目では分からない困難については、二次障害を防ぐためにも診断名を示した周知が不可欠です。安竹は、ディスレクシアの周知を兼ねた議員レポートを、徒歩と自転車で市内6万世帯超へ配布しました。

このレポートをきっかけに、多くの市民から相談が寄せられ、発達障害についての理解が深まりました。見えない障害を可視化し、必要な支援につなげる——そのための土台となる取り組みです。


成果時期
市教委職員研修に読み書き障害(ディスレクシア)の内容を組み込み令和2年度〜
GIGAスクール構想での1人1台端末導入を、ディスレクシア・不登校支援の観点から推進令和2年度
デジタル教科書・教材導入に向けた費用試算と政策的提案令和2年9月
ディスレクシア周知の議員レポートを市内6万世帯超に配布令和4年9月
ディスレクシアに関する情報ページを独自に公開し、市民への周知を推進令和2年度〜

  • 統一アセスメントの導入 — 教員の気付き頼みではなく、入学時等に全児童を対象としたアセスメントを実施し、早期発見・早期支援につなげること
  • デジタル教科書の本格導入 — 全教科・全児童への拡大と、無償化に向けた国への働きかけ
  • タブレットの個別最適化 — ディスレクシアの子どもが使いやすいアプリや設定を標準搭載すること
  • 教員研修の継続的充実 — 読み書き障害への理解を深め、授業での合理的配慮を徹底すること
  • 保護者・当事者との協働 — ガイドラインや教材選定に当事者の声を反映する仕組みの構築

ディスレクシアを含む発達障害全般については、以下のページもご参照ください。

→ 発達関連のまとめ


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