(1)公文書管理の様々な問題について
令和7年11月28日に行った3件の一般質問のうちの1件目です。
公文書等の管理は刑事罰の対象となる重大な法的責任を伴う職務であるとの認識を示した上で、公文書管理規則の解釈、職員の私物使用、公開文書の無償交付、電子決裁率、黒塗り作業、審議会会議録の掲載、学校いじめ対策委員会の記録不存在・改ざん疑いなど、公文書管理に関する13項目にわたる広範な問題を追及しました。答弁からは公文書管理のずさんさが明らかになり、中には公用文書等毀棄罪や公文書偽造・変造罪といった刑事罰のリスクに直結する懸念も浮き彫りになりました。
| 質問 | 答弁概要(クリックで詳細) |
|---|---|
| ① 保存年限1年未満の定めがない理由は。 | 1年未満の公文書はシステム登録不要であり規則違反ではない。ただし解釈について分析中。 |
| ② 私物使用禁止で記録すべきものが記録できない想定事例は。 | 現場確認時の偶発的事案や緊急時における上司報告や意思決定の根拠資料の撮影。 |
| ③ CD-R等無償交付の会計処理と再発防止は。 | CD-Rは交換交付を拒否されたため追加交付。会計上の特段対応不要。記録内容の確認と記録化を徹底。 |
| ④ メール・クラウド交付の課題とメリットは。 | 紙原本との照合や脱漏・見読性確認の事務作業が必要。メリット大とは捉えず。総合的に判断。 |
| ⑤ 文書総合管理システムのメモ・コメント等が非公開の理由は。 | システム上の全情報が公文書に該当せず。収受・起案文書等は公開対象。それ以外は公文書の要件を備えていない。 |
| ⑥ 全文書電子化・永年保存より期限管理コストが大きいのでは。 | コスト増大や行政運営の効率性・利便性阻害につながるため、全永年保存は考えていない。 |
| ⑦ 電子決裁率向上の阻害要因は。 | 媒体区分欄の選択漏れ、紙添付文書欄の入力漏れ、電子データの紙出力決裁など。 |
| ⑧ 指導課の電子決裁率を非公開にする理由は。 | 事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれと、誤解を生じさせるおそれがあるため。 |
| ⑨ 黒塗り作業の速やかさは求められているか。 | 明記はないが速やかに行うべき。要綱への規定追加は他市事例も含め研究中。 |
| ⑩ 審議会会議録の掲載期限を設けず掲載すべきでは。 | アクセス数低下や情報膨大化の弊害を考慮。現行運用を変更する考えはない。 |
| ⑪ 学校いじめ対策委員会協議録の保存期間の定めがない理由は。 | 各学校における保存期間を定めた文書の作成状況を把握していない。校長が定めることになっている。 |
| ⑫ いじめ対策委員会記録を残していない事例数と対応は。 | 1校で平成29年度から昨年度まで未作成。今年度は全校で作成確認。引き続き周知。 |
| ⑬ 保存年限超過文書の公開決定取消しの経緯は。 | 誤った認識で公開対象外と説明→指摘受け取消し。文書特定に時間を要し再決定まで5か月以上。取消しの期限規定なし。 |
質問する理由
Section titled “質問する理由”公文書管理の刑事罰リスク
Section titled “公文書管理の刑事罰リスク”公文書等の管理は地方公務員にとって単なる事務作業ではなく、刑事罰の対象となる重大な法的責任を伴う職務だ。刑法第258条の公用文書等毀棄罪(7年以下の拘禁刑)、刑法第155条・第156条の公文書偽造・変造罪(10年以下の拘禁刑)など、いずれも拘禁刑が定められている。公文書の適正な管理は「できればきちんとしたほうがよい」ではなく、刑事罰もあり得る法的義務だ。
実際は住民福祉の増進のためだが、きちんとやれば刑事責任を問われることも起きないので、職員福祉の増進のためにも公文書管理はきちんとすべきだ。前回の一般質問で私物カメラの業務使用禁止を提案した直後に、職員が生活保護申請者の写真を無断撮影し停職処分となる事件が発生した。公文書管理のずさんさは現実のリスクだ。
① 保存年限が1年未満の定めがない理由
Section titled “① 保存年限が1年未満の定めがない理由”小平市公文書管理規則第10条第1項の定めに関する文書の公開請求で、簿冊名と保存年限が記されたファイル情報が公開された。しかし6月定例会で指摘した1年未満で廃棄したとする鷹の台駅前広場整備工事に関する協議書等についての定めがない。なぜか。規則違反ではないか。
保存期間が1年未満の公文書は、同条第2項の規定及び公文書管理運用ガイドラインにより、文書総合管理システムへの登録を不要としている。したがって、それらの公文書を格納するファイルについても1年未満のものをシステム上で作成することを必要としておらず、規則に反する点はない。
第10条第1項の解釈
Section titled “第10条第1項の解釈”小平市公文書管理規則第10条第1項には、1年未満の公文書についても名称、保存期間、満了時の措置を定めと書いてある。これは1年未満の文書にも適用される。第2項で1年未満のものを除きとわざわざ書いてあるということは、第1項は1年未満のものにも適用されるという意味だ。定めるというのは意思決定で公文書に残さなければならないはずだが、どこに残っているか。
1年未満の文書については、適宜廃棄してよいことになっており、ファイルの保管を経由することなく廃棄することもある。ガイドラインは規則に沿って作成したもので、第10条第2項の取扱いによる。今後、細かいところを分析し、法令に沿って対応することを検討する。
これは根幹のところだ。道路課が1年未満の文書を勝手に随時廃棄している。公用文書等毀棄罪にも該当する可能性がある。1年未満で捨ててはいけないものを無視して廃棄していたら刑事罰に問われる。この一番根幹となる規則をちゃんとやっていないのは驚きだ。
② 私物使用で記録すべきものが記録できない具体的想定事例
Section titled “② 私物使用で記録すべきものが記録できない具体的想定事例”9月定例会で、私物カメラ等の業務使用禁止を提案したところ、「完全に禁止した場合、記録すべきものが記録できないなどの弊害が生じることが予想される」との答弁だった。記録すべきものが記録できない具体的な想定事例は何か。
現場確認の際などに偶発的に発生した事案や緊急性を要する事態において、上司への報告のための資料や意思決定の根拠資料などとするために、写真または動画を撮影する場合がある。
私物カメラの盗撮事件と処分根拠
Section titled “私物カメラの盗撮事件と処分根拠”11月13日、業務中に生活保護の申請者の写真を無断で撮影して友人に送信したとして、健康福祉部の男性主事が停職2か月の懲戒処分になったと報道があった。この職員の処分根拠は何か。私物を業務に使ったから処分されたのか。
職務専念義務違反として地方公務員法に該当する。この職員は業務で私物を使ったのではなく、通常の外出時にスマートフォンを持っていったもの。人権侵害やプライバシーの観点も含め、弁護士にも確認して処分した。
職務専念義務違反につながることから、特に私物の携帯電話やカメラについては緊急時以外は業務で使ってはならないといったルールを設ける必要があると思うが、いかがか。
情報セキュリティポリシーで原則禁止としつつ、使用する場合には上司等の許可を受けることとしている。
道路課でカメラを使用したときに上司の許可を受けていたか。その許可は意思決定なので公文書で公開されるべきだが、公開されていないようだ。
道路課では情報セキュリティ実施手順を定めており、事前に使用目的等を明確にし情報セキュリティ管理者に申請して承認を得ることになっている。意思決定を毎年行っており、各職員で情報周知されている。
個別の職員の私物カメラでの撮影に関する承認の意思決定が公開文書として出ていないのはなぜか。
情報公開請求をいただいた内容に従って公開させていただいている。
③ CD-R等無償交付の会計処理と再発防止
Section titled “③ CD-R等無償交付の会計処理と再発防止”公開文書の写しについて、公開漏れの修正分としてCD-R100円分や紙10円分を無償交付した事例がある。いずれも市の損失と考えるが、会計上どう処理しているか。運用の反省や再発防止の取組はしたか。
CD-Rについて:公開請求者から、交付されたCD-Rのデータが不足しているとの申出があったが、交付から長期間経過しており理由確認が困難であったため再交付。交換交付を依頼したが拒否されたため不足データのみ追加交付した。情報公開請求に基づくもので請求のない公文書の無償提供ではないため、会計上の特段対応は不要。担当部署ではCD-Rに記録した内容の再確認と記録内容の記録化を徹底することとした。
紙10円分について:開示請求者から交付された開示文書に漏れがあるとの指摘があったため、開示決定を変更し差し替えを行った。個人情報開示請求に基づくもので請求のない文書の無償提供ではないため、特段対応不要。開示請求事務では遺漏がないよう丁寧かつ慎重に取り組む。
④ メール・クラウド交付の事務量増加要因
Section titled “④ メール・クラウド交付の事務量増加要因”9月定例会で、公開文書の写しをメールやクラウドで交付することについて、紙媒体が多く一部公開文書の電子化は事務量の増加が課題と答弁した。しかし実務として、黒塗り後にスキャンしてファイル送信するだけではないか。ほかに事務量増加の要因があるのか。CD-R無償交付の問題も減り、メリットのほうが大きいと思うが見解は。
スキャンした電子データについて紙媒体の原本と照合し、脱漏がないことや見読性が損なわれていないことなどを確認する事務作業が必要。メリットのほうが大きいとは捉えていない。システム整備や事務運用ルールの課題分析が必要であり、引き続き研究を進め、原本性確保、公開請求者の利便性、事務の効率性向上、職員の負担増などの面も含めて総合的に判断する。
⑤ 文書総合管理システム上の情報が非公開の理由
Section titled “⑤ 文書総合管理システム上の情報が非公開の理由”文書総合管理システム(公開羅針盤V4)には文書作成、メモ作成、掲示板、コメント付与、更新者や更新日時の表示、PDFに手書きできる機能がある。これらの機能によりシステム上に作成・表示される文書も公文書の公開対象になると考えるが、通常公開されていない。なぜか。
公開の対象となる公文書とは、職員が職務上作成しまたは取得した文書や図画などであり、システム上に作成または表示される情報の全てが公文書に該当するものではない。システムにより収受または起案をした文書や、出力したデータについては公文書に該当するが、それ以外の情報は公文書の要件を備えていない場合には公開請求の対象とはならない。
システム情報の公開実績
Section titled “システム情報の公開実績”一応要件を満たしているものについては公文書として公開対象になるという理解でよいか。今まで一度もこの情報が出てきたことがない。公開請求すれば本当に出てくる情報なのか。公開した実績はあるか。
システムで管理している文書のうち、該当するものであれば公開する。実績については把握していない。
多分ゼロだろう。コメントやメモはもちろん、資料の作成日や更新日時は公文書に書かれていないことが多い。システムだけに登録されているこれらの情報は非常に重要で、本来は出さなければならないものだ。
⑥ 全文書電子化・永年保存と期限管理のコスト比較
Section titled “⑥ 全文書電子化・永年保存と期限管理のコスト比較”9月定例会で公文書の全スキャン・電子化・永年保存の提案に対し、公文書の保存期間はその効力、重要度、利用度、資料価値等を考慮して定め、業務に利用しない不必要な文書を理由なく保有することは考えていないと答弁した。しかし、全文書を電子化・保有するコストより、効力等を一つ一つ検討し期限管理するコストのほうが著しく大きいと考えるが見解は。
全ての文書を保存年限を設定せず管理した場合、保存のためのコストも増大するほか、業務に利用しなくなった公文書をいつまでも保存することになり、行政運営の効率性や市民の利用のしやすさを阻害することにもつながる。全永年保存は考えていない。
保存コストと法的制約
Section titled “保存コストと法的制約”保存コストとはどういうことか。電子化するとコストはほぼゼロに近くなるのではないか。また、小平市が全ての公文書を電子化して永遠に保存しても、法律に触れることはあるか。
電子化したものをサーバー等に蓄積することになるので、サーバー等の増強が必要になることも想定される。公文書の管理は国の公文書管理法の考え方に準じており、歴史的価値の有無を見ながら効率的に保存する。
⑦ 電子決裁率が向上しない主因
Section titled “⑦ 電子決裁率が向上しない主因”電子決裁率は現時点で約74%と答弁した。ここ数年、電子決裁率が向上しない主因は何か。
文書総合管理システムへの登録の際に、媒体区分欄の選択や紙媒体の添付文書欄の入力が行われていないことや、電子データで収受した文書を紙に出力して決裁を行っていることなどがある。
小平市第2期経営方針推進プログラムの進捗について、令和7年度第1回経営方針推進委員会でも副委員長から、進捗遅れの分析が書かれていないとの指摘があった。ボトルネックの解消に向けて動いていないのではないか。
⑧ 指導課の電子決裁率を非公開にする理由
Section titled “⑧ 指導課の電子決裁率を非公開にする理由”教育委員会指導課の電子決裁率は市として積極的に公開していないと聞く。その理由は何か。
業務の改善や検討のために用いる資料として課ごとの数値を集計・把握しているが、公にすることにより事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあることから、積極的な公開は行っていない。また、電子決裁が進んでいない理由には様々な要因が存在するため、数値のみを公にした場合、誤解を生じさせるおそれもある。
非公開の法的根拠
Section titled “非公開の法的根拠”具体的にどのような支障や誤解が生じるのか。最高裁の判例(名古屋高裁 平成25年9月20日)では、「事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」とは、実質的・具体的に当該事務の適正な遂行に支障が生じる蓋然性が存することが必要とされている。この蓋然性がどこにあるのか教えてほしい。また、この答弁は顧問弁護士に確認した上でのものか。
指導課では教職員の人事情報など様々な要素がある。電子決裁率の数値だけを取って様々な指摘をいただくことも想定されるため、公表していない。顧問弁護士はいないため特に確認はしていない。判例があるのであれば情報収集し分析する。
最高裁の判例に反したことをしてはいけない。蓋然性をきちんと示してほしい。毎回「おそれがある」で非公開にするが、蓋然性を示さなければならないと判例で出ている。
⑨ 黒塗り作業の速やかさと要綱規定
Section titled “⑨ 黒塗り作業の速やかさと要綱規定”公開決定等の期限は原則14日以内だが、一部公開時の黒塗り作業等に要する時間はその期限に含まれていないことが条例や取扱要綱からは分からない。黒塗りに2週間程度かかった事例もある。公開決定の速やかさは求められているのに、黒塗りについての速やかさは求められていないのか。また、小平市情報公開事務取扱要綱第8条に黒塗り作業等に別途時間を要する場合がある旨を追加すべきではないか。
黒塗り作業を速やかに行うことを明記しているものはないが、公開決定を速やかに行うことを考慮すると、黒塗り作業等の実務も速やかに行うことが求められているものと認識している。要綱への規定追加については、今後、他市の事例も含め研究する。
黒塗りと白塗りの並存
Section titled “黒塗りと白塗りの並存”一部公開時のマスキングは黒塗りが基本か。黒塗りと白塗りが並存する資料を見たが、そういったことも許されるか。
黒塗りが基本ということではない。マスキングした場所が分からなくなることについて、具体的にどのようなイメージか想定できないので、今後考えていく。
⑩ 審議会会議録の掲載期限
Section titled “⑩ 審議会会議録の掲載期限”小平市情報公開・個人情報保護・公文書管理審議会の会議録は過去3年分程度を市ホームページで公表する運用としている。しかし同審議会は情報公開の総合的な推進のためにある。期限を設けず掲載してはどうか。
年数の経過に伴いアクセス数が低下することや、ホームページ上の情報が膨大になることによる弊害を考慮し現行の運用としている。掲載しなくなった分は、保存期間中は情報公開請求により、保存期間経過後は特定歴史公文書の利用請求により確認手段が確保されているため、現行運用を変更する考えはない。
⑪ 学校いじめ対策委員会協議録の保存期間
Section titled “⑪ 学校いじめ対策委員会協議録の保存期間”市民が市教育委員会に学校いじめ対策委員会協議録の保存期間に関する公文書を請求したところ、個別に定めていないため作成しておらず不存在と非公開決定された。しかし小平市立学校公文書管理規則第18条に「校長は、文書保存期間表に従い、公文書の保存期間を定め、保存期間が満了する日までの間、当該公文書を保存するものとする」とある。保存期間の定めは意思決定で、公文書に残るはずだ。なぜないのか。
学校いじめ対策委員会協議録の保存期間は、小平市立学校公文書管理規則に基づき校長が定めている。各学校における保存期間を定めた文書の作成状況については、現在のところ把握していない。
⑫ いじめ対策委員会記録を残していない事例数と対応
Section titled “⑫ いじめ対策委員会記録を残していない事例数と対応”学校いじめ対策委員会で協議録や会議録などの記録を公文書として残していない事例があると聞く。市教育委員会は記録を残すよう指導しているというが、実際に記録を残していない事例数と対応策は。
市立学校1校において、平成29年度から昨年度までの記録を作成していなかったことを確認している。今年度は小・中学校全校において委員会の記録を作成していることを確認。対応策としては、記録を作成・保存することの重要性について、引き続き機会を捉えて繰り返し周知する。
⑬ 保存年限超過文書の公開決定取消し
Section titled “⑬ 保存年限超過文書の公開決定取消し”保存年限を過ぎていても文書が残っていれば公開対象になる。しかし市教育委員会の公開請求で「保存年限を過ぎたものは公開対象ではない」として別の文書が公開される事例があった(本年1月14日公開決定通知)。その後、取消し後に改めて公開決定通知が出されたのが本年6月23日だった。14日や60日のルールは適用されないのか。状況の説明を求める。
公開請求者に対して、保存年限が経過した公文書について誤った認識から公開対象外である旨を説明したが、公開決定後に当該請求者から指摘があったため、改めて条例等を確認し公開決定を取り消した。公開決定が遅れた理由は、公文書の範囲等について請求者の意向を確認しながら慎重に公文書の特定を進めたため。取消しに伴う公開決定の期限については規定がない。