(1)市はときわ会虐待通報職員の解雇撤回・和解を事実確認せよ
令和8年2月27日に行った3件の一般質問のうちの1件目です。
社会福祉法人ときわ会で、別の職員による障害者虐待の疑いを通報した職員が懲戒解雇され、公益通報者保護法違反の報復解雇として地位確認を求めた訴訟が、解雇の撤回と解決金480万円の支払いで和解しました。原告側は実質的勝訴と受け止めています。市は裁判に無関係を装っていますが、障害者虐待防止と公益通報者保護の観点から、所轄庁として事実確認や対応が必要であると追及しました。
| 質問 | 答弁概要(クリックで詳細) |
|---|---|
| ① 和解を踏まえた事実関係の確認は必要か。 | 裁判の結果を受けて事実確認は予定していない。相談があれば国の手引きに基づき対応。 |
| ② 公益通報者保護法に関わる不利益取扱いの疑いが生じた場合の対応手順は。 | 相談があれば労働基準監督署などの相談先を案内。障害者虐待に起因するものは①と同様の対応。 |
| ③ 対応手順は明文化されているか。 | 公益通報の手順は明文化していない。障害者虐待に起因するものは法律及び国の手引きに基づき対応。 |
質問する理由
Section titled “質問する理由”報道によると、社会福祉法人ときわ会において、別の職員による障害者虐待の疑いを見つけ、利用者家族と市に通報した職員が懲戒解雇され、公益通報者保護法違反の報復解雇という主張で地位確認などを求めた訴訟について、昨年11月に和解が成立した。和解内容は解雇の撤回と解決金480万円の支払いであり、原告側は実質的に勝訴と受け止めている。
市はこの裁判に関して無関係を装っているように見えるが、障害者虐待防止と公益通報者保護の観点から、所轄庁である小平市長としても重要な問題が含まれているため、以下質問する。
① 和解を踏まえた事実関係の確認は必要か
Section titled “① 和解を踏まえた事実関係の確認は必要か”通報者への不利益取扱いが争点の裁判が和解で決着したことを踏まえ、所轄庁として事実関係の確認がまず必要と考えるが、見解は。
市において裁判の結果を受けて事実関係の確認は予定しておりませんが、基本的には、障害者虐待に起因する公益通報により、通報者が事業所から不利益な取扱いを受けたと相談があった場合には、国の市町村・都道府県における障害者虐待の防止と対応の手引きに基づき、当該事業所に対して内容を確認するとともに、通報等による不利益取扱いの禁止について説明するほか、通報者には労働基準監督署などの相談先を案内いたします。
② 公益通報者保護法に関わる不利益取扱いの疑いが生じた場合の対応手順は
Section titled “② 公益通報者保護法に関わる不利益取扱いの疑いが生じた場合の対応手順は”所轄庁である市長が、社会福祉法人で公益通報者保護法に関わる不利益取扱いの疑いが生じた場合の対応手順を伺う。
社会福祉法人にかかわらず、どのような事業所の事案であっても、相談があった場合には労働基準監督署などの相談先を案内いたします。また、障害者虐待に起因する公益通報により不利益取扱いの疑いが生じた場合の対応につきましては、第1点目で答弁申し上げた対応と同様でございます。
③ 対応手順は明文化されているか
Section titled “③ 対応手順は明文化されているか”②の対応手順は明文化されているか。
公益通報により不利益取扱い等を受けた際の手順を明文化したものはございませんが、障害者虐待に起因するものについては、障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律及び国の手引きに基づいて対応しております。
和解を受けた事実確認の必要性
Section titled “和解を受けた事実確認の必要性”報道を見ると、事業者が原告の主張(公益通報者保護法違反)を覆せなかったと考えて和解に至った可能性が考えられる。もしそうであれば、市として公益通報者保護法違反を見逃すわけにはいかない。そうでなければ、事業者にとって誤解が晴れることでもある。
つまり市として、現時点で改めて、公益通報者保護法の違反が起きている可能性がある。起きているか、もしくは起きていなかったか、それを確認するための事実確認が少なくとも必要だと思うが、御見解を伺う。
ときわ会の件については、令和5年度以降、アンケート調査やヒアリングを行うなど、細部にわたり一つ一つ丁寧に、慎重に事項を確認してきた。その中で改善すべきところ、指導すべきところにその都度対応してきた。それは今も続いており、今後も同様の対応をしていくので、特に今回の裁判の和解を受けて、何か事実確認等の対応をすることは考えていない。
裁判記録の第三者閲覧
Section titled “裁判記録の第三者閲覧”裁判記録の第三者閲覧は、職員の方は行かれたか。
特に閲覧は行っておらず、今後もその予定はない。
裁判所に行けば誰でも閲覧できる。私も行って第三者閲覧をした。資料提示する。東京地方裁判所立川支部で第三者閲覧した資料からメモしてきたものだ。閲覧するだけなら収入印紙150円分でできる。
内容は、ときわ会の虐待防止委員会が作成して職員向けに配布したと思われる文書(乙第24号証)で、約4年前に各職員に配られたものだ。タイトルは「施設名からの市への通報に関して」。この文書がときわ会内で配られていたことを市として把握しているか。これまでの説明では目にしていなかったが。
個別具体の案件に対するお答えは差し控えさせていただくが、令和5年度以降、ときわ会の資料等、発言等について、丁寧に確認して対応してきた。
通報者特定情報の漏洩
Section titled “通報者特定情報の漏洩”資料を再度提示する。この文書には、通報があった日付を市が事業者に伝えていること、利用者が転倒した事実や夕方の打合せでの報告状況など、通報者を特定できる情報が書かれている。これらはいずれも通報者を特定する内容で、障害者虐待防止法第18条(通報者を特定させるものを漏らしてはならない)に明確に違反している。
市はこれまで通報者名を漏洩していないとしていたが、少なくとも通報者を特定する情報を事業者に提供していたことがこの証拠から明らかだ。この明らかな違法行為について、小平市から議会に報告はなかったと思うが、その理解でよいか。
以前から答弁申し上げているとおり、事実確認は必要なので通報内容を事業者に確認はするが、通報者が特定できるような情報を事業者に伝えることはない。
事業者文書の真偽
Section titled “事業者文書の真偽”市はそのような情報を漏らしていないのに、ときわ会の虐待防止委員会は漏洩したと書いているという認識か。
事業者のほうが市から通報者が特定できるような情報が入ったと認識しているとは認識していない。
これを読めば、特定につながる不必要な情報を伝えている。「何月何日に情報提供があった」「利用者への対応を行わず転倒し、夕方の打ち合わせで報告していない」など、虐待があったかどうかの確認に必要な情報ではない。誰が通報したのかを特定することにつながるだけの情報だ。もう一度認識を確認したい。
虐待通報があった際には、その内容を事業者に確認する必要があり、どういう虐待・疑いがあったかの事実確認に必要な範囲内で情報共有を行ったというのが一般的な対応だ。
これは裁判所に持っていかないとらちが明かない。もし情報漏洩があったなら、法律違反で担当者の処分が必要になるから言えないのだろう。本当に小平市は明らかな違法行為でも職員を処分しない自治体なのか。
続いて文書の後段を読む。虐待防止委員会は事実確認のため関係職員に聞き取りを行い、「通報者と被通報者が言う当日の事実関係にはやや曖昧な部分があった」と書かれている。市から連絡があった後に通報者を特定して聞き取りをしている。なぜ通報者と被通報者の両方を特定できたのか。
可能性は2つしかない。小平市が事業者に情報漏洩したか、事業者が市から聞いた話に基づいて通報者と被通報者を類推・断定して聞き取りを行ったか。いずれにしても重大な違反が起きている可能性が非常に高い。
さらに文書の最後には、「市は虐待と判断していない」「今回の通報事案は班内で言及すべきこと、解決すべきことであった」と書かれている。全体として、通報したら施設内でつるし上げられるという明確なメッセージだ。ホイッスルブロワー・ハンティング、決してやってはいけない行為だ。
虐待防止委員会の役割
Section titled “虐待防止委員会の役割”虐待防止委員会の役割は、利用者の保護と再発防止であり、通報手段の是非を論じる場ではないという認識で正しいか。
基本的な一般的な考え方はそのようなものと認識している。
改正公益通報者保護法を踏まえた対応
Section titled “改正公益通報者保護法を踏まえた対応”今年12月から施行される改正公益通報者保護法では、通報妨害の禁止(第11条の2)、通報者探索の禁止(第11条の3)、通報窓口職員の罰則(第12条、30万円以下の罰金)、解雇・懲戒処分の推定規定(第3条、6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金、企業には3,000万円以下の罰金)などが厳格化されている。
これまで把握していなかった新事実と課題が裁判記録で明らかになり、改正法に照らせば拘禁刑や罰金刑に該当する可能性が非常に高い問題を含んでいる。それでも事業者に事実確認したり、指導・改善を要求するなどのアクションを何も起こさないということでよいか。
今までも丁寧に事実確認を行っており、今後も一つ一つ確認を行っていく。特に今回の裁判に向けて対応を行うということではなく、今までと同様に虐待防止に向けて対応を行っていく。
処分したくないからだ。保身だ。市の使命は住民の福祉の増進だ。障害者虐待は非常にひどいもので、新しい事実が出ていて議会にも報告していない問題が明らかなのに、どうして対応しないのか。
障害者虐待防止法や公益通報者保護法を軽んじる態度については、国に報告するしかない。
マニュアルの充実
Section titled “マニュアルの充実”今回作成された小平市障がい者虐待防止マニュアルには、今話した問題や再発防止策がほとんど書かれていない。今後マニュアル改正の際に、改正公益通報者保護法に関連して、通報者を特定する行為やつるし上げ行為が違法であること、刑事罰が伴うことについて、具体的な事例を交えて記載してもらえるか。
市の独自マニュアルは、これで全て完成ということではなく、都度見直しを行っていくので、今後の見直しの内容については検討の状態にある。
事業者の虐待防止委員会の役割は利用者保護と再発防止にあり、通報手段の是非を論じる場ではないことも含めてほしい。また、温かいマニュアルとするために、冒頭に虐待を受けた人の気持ちや家族の受け止めなど具体的な事例を示せば、担当者の意識はかなり変わる。そのようなマニュアルにすることも検討してほしい。
1件目のまとめとして、総じて、和解を受けて公益通報者保護制度に関わる新しい問題の可能性があるのに、事業者や通報者から話を聞くことも、裁判記録すら見に行くこともしていない。全国的にも報道された事案がきっかけで明らかとなった問題との向き合いが、まだまだ全く足りていない。
まずは事業者に和解の経緯を事実確認し、乙第24号証の問題点を明らかにして、場合によっては虐待だけでなく公益通報者保護法違反となれば、職員の処分もしくは最悪認可取消しも考えざるを得ない事態になり得る。毅然とした対応をお願いしたい。