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ワクチン副反応救済制度の適正化の軌跡

ワクチン副反応救済制度の適正化

画像提供:イラストAC / イラストAC(複数素材を編集)

予防接種法に基づく健康被害救済制度は、ワクチン接種によって重い健康被害を受けた方を経済的に救済するための国の制度です。制度の窓口は市町村であり、被害者が申請に訪れた際には正しい案内がなされなければなりません。

しかし小平市では、救済制度を求めて窓口を訪れた市民に対し、関係のない「副反応疑い報告」の案内だけがなされ、さらに誤った説明や不要な個人情報の聞き取りが行われるという重大な不備がありました。安竹洋平は市民からの相談を受け、緊急質問と一般質問でこの問題を追及。庁内調査を経て、事務処理の改善を実現しました。


年月出来事
R2.12市民から「ワクチン副反応の救済申請を窓口で抑制されている」との相談。安竹が緊急質問「新型コロナワクチン副反応の救済申請を市が抑制している疑いについて」を実施
R2.12〜R3.1緊急質問を受け、市が庁内調査を実施。調査担当者は口頭で真摯に問題を認め、窓口対応の一定の改善がなされる
R2.12〜R3.2調査報告書が全議員に配付されるが、口頭説明と内容が乖離。議会では正式な報告が行われず
R4.3.4一般質問「市民のため、そして職員のためにも、自らを律する仕組みを」— 報告書の問題点を追及し、内部統制のあり方や議会への報告義務を問う
R4.8〜小平市が内部統制の試行運用を開始。本事案もリスク事案のひとつとして位置づけられる
〜現在救済制度の申請に関する窓口対応が改善。申請件数は40件を超える

副反応疑い報告制度と健康被害救済制度

Section titled “副反応疑い報告制度と健康被害救済制度”

この問題の根底には、目的も法的根拠も申請者も全く異なる2つの制度が混同されていたことがあります。

副反応疑い報告制度健康被害救済制度
目的ワクチンの安全性監視(情報収集)被害者の経済的救済(給付)
法的根拠薬機法(医薬品医療機器等法)予防接種法
報告/申請者医師・薬剤師等の医療従事者被害者本人(または遺族)
窓口PMDA(製造販売業者経由)市町村
給付なしあり(医療費、障害年金、死亡一時金等)

小平市の健康センターでは、健康被害救済制度を申請しに来た市民に対して、「副反応疑い報告」の案内だけをし、本来案内すべき救済制度の説明をまったく行っていませんでした。さらに「救済制度が申請できるのは副反応疑い報告がPMDAで承認されてから」という事実とは異なる説明まで行っていたのです。

両者は本来全く別の制度であり、副反応疑い報告の有無にかかわらず、救済制度はいつでも申請できます。


「健康被害救済制度」の誤った窓口対応

Section titled “「健康被害救済制度」の誤った窓口対応”

令和2年12月、新型コロナワクチン接種後に重い副反応が出た市民から安竹に相談が寄せられました。

その方は、健康被害救済制度の申請をしようと、相談窓口である小平市健康センターを訪れました。しかし窓口で行われた対応は以下のようなものでした。

窓口での主な問題行為:

  1. 「健康被害救済制度」の申請を求めてきた人に、関係のない「副反応疑い報告制度」の案内だけをしていた — 国が示すとおり、健康被害救済制度の案内をするべきでした

  2. 「健康被害救済制度が申請できるのは、副反応疑い報告がPMDAで承認されてから」という誤った説明をしていた — 両制度は独立しており、副反応疑い報告の承認は救済申請の前提条件ではありません

  3. 本人の病歴などの要配慮個人情報を、必要のないところで聞き取っていた — 聞き取りが必要な際は事前に了承を得るとしている個人情報保護法に違反する行為でした

  4. 副反応に関する電話相談が毎日多数かかって来ているのに、相談件数すらカウントしていなかった

  5. 個人番号(マイナンバー)の記入が必要ない書類について、記入不要という説明をせず、記入不要と記載された見本も渡していなかった

問題の重大さに気づいた相談者の方が担当課に誤りを指摘しましたが、改善に向けた動きは一切ありませんでした。市民からの声だけでは市は動かなかったのです。

相談を受けた安竹も情報を精査し、すぐに改善が必要な重大な問題だと認識。令和2年12月定例会で緊急質問を行いました。


緊急質問を受けて、市は庁内調査を実施しました。調査を担当した職員は真摯に対応し、口頭でのやり取りでは問題をよく理解していることが明らかでした。また、これを機に窓口対応の一定の改善も行われました

調査担当者は、相談者と安竹に対して口頭で調査結果の説明を行いました。安竹はこの対応を評価しつつも、最終的にまとめられた調査報告書の問題点に気づきました。

口頭での説明内容と、実際に配布された報告書との間には大きな乖離がありました。

口頭説明報告書の実態
調査担当者が誤りを明確に理解し説明何が問題だったかを示すタイトルもなく、全体がぼやけた構成
具体的な改善策について言及原因の深掘りや再発防止策の記載が不足
「副反応疑い報告制度」と「救済制度」が併記され区別が不明確(口頭で安竹が繰り返し指摘した点にもかかわらず)

安竹は一般質問の場で、**「もし私が報告書を書くなら、どんな問題が起きたのかをまず最初に明示する」**と述べ、以下のように問題点を明確化しました。

  1. 「健康被害救済制度」の申請を求めてきた人に、関係のない「副反応疑い報告制度」の案内をしていました
  2. 「健康被害救済制度が申請できるのは、副反応疑い報告がPMDAで承認されてから」という誤った説明をしていました
  3. 本人の病歴などの要配慮個人情報を、必要のないところで聞き取っていました
  4. 副反応に関する電話相談が毎日多数かかって来ているのに、相談件数すらカウントしていませんでした
  5. これらの誤った対応を、市民から指摘があっても調査することなく、議員から指摘されるまで続けてきました
  6. 個人番号の記入が必要のない書類について、記入不要だという説明をしっかり行っていませんでした

「間違いを明確にしない文化」への問題提起

Section titled “「間違いを明確にしない文化」への問題提起”

報告書から誤りがぼやかされた理由について、安竹は「間違いを認めるとその職員の責任になってしまうから認めず、抽象的な表現にしておこうとしたのでは」と指摘。**「本来は市長が『私が責任を取るから、正直ベースで報告してください』と、そういう文化が育たなくてはならない」**と訴えました。

さらに安竹はこうも述べています:

問題が起きた際に、組織の外部から指摘を受けることは、改善に向けて外部の協力が得られる絶好の機会だ。その際、情報が正しく伝わらなければ正しい協力は得られない。情報が正しく伝わらなければ、担当職員の真摯な取り組みも徒労に終わってしまう。


令和4年3月 一般質問 — 内部統制と議会報告

Section titled “令和4年3月 一般質問 — 内部統制と議会報告”

令和4年3月4日の一般質問では、本事案をきっかけに内部統制制度のあり方についても追及しました。

当時、小平市は令和3年5月の「第1期小平市経営方針推進プログラム」に基づき、地方自治法上の内部統制制度の試行導入に向けた検討を進めていました。この制度は「職員に間違いを起こさせない、万一不正が起こっても最小限に食い止めるための仕組みづくり」です。

安竹の追及により、本事案も内部統制の検討におけるリスク事案のひとつとして位置づけられることが確認されました。

一方、安竹が大きな問題として指摘したのが、議会への報告の不備です。

総務省の『地方公共団体における内部統制制度の導入・実施ガイドライン』には、次のように明記されています。

「議会は、長から独立した立場で、内部統制の整備状況及び運用状況について監視を行うため、統制環境に一定の影響を与えることとなる。したがって、議会に対しても適切な報告を行うことが求められる」

しかし本事案では、議員に報告書を配付しただけで「一定の報告はした」とされ、議会の会議録に残る正式な報告は行われませんでした

安竹はこの姿勢を「試行に先立つ象徴的な事例なのに、いきなりつまずいた形になる。内部統制制度を進めようとしている姿勢に非常に疑問を感じる」と批判し、**「公開が原則」**という行政の基本姿勢を改めて訴えました。


成果時期
健康センター窓口での誤った対応(副反応疑い報告のみの案内、誤った説明、不要な個人情報収集)の改善R3.1〜
庁内調査により問題の全容を可視化し、市の認識を改めさせたR2.12〜R3.1
本事案が小平市の内部統制試行運用のリスク事案のひとつとして位置づけられたR4.8〜
健康被害救済制度の申請件数が40件を超え、市民の正当な権利行使が進んだ〜現在
副反応疑い報告制度と健康被害救済制度の違いの周知徹底R3.1〜
行政の対外的文書における「正直な報告」の重要性を議会で提起R4.3

  1. 市民の権利を守る最低限の責務 — 市町村は予防接種法に基づき、健康被害救済制度の申請窓口を担っています。正しい案内をしないことは、市民の法的権利を実質的に奪うことに等しい行為です。

  2. 「善意」が裏目に出る構造 — 担当課は相談者に利益があると思って副反応疑い報告の案内をしていたようですが、結果として救済申請を抑制する事態になっていました。「知らずに不適切な対応をしていた」ことを認め、改善する姿勢が組織には不可欠です。

  3. 内部統制の第一歩として — 小平市が内部統制制度の試行導入を進めるにあたり、本事案はまさに象徴的なケースです。ここでつまずけば、その後の制度構築全体に悪影響が及びます。

  4. 申請を諦めた方の存在 — 窓口で誤った対応を受けて、健康被害救済制度の申請を諦めてしまった方の人数は分かりません。この点は今なお課題として残っています。


  • 制度の継続的な周知 — 未だに健康被害救済制度の存在を知らない市民は少なくありません。市報やウェブサイトでの積極的な周知が求められます
  • 窓口対応の定期的な監査 — 同じ過ちを繰り返さないために、定期的な監査と職員研修の継続が必要です
  • 申請を諦めた方への遡及的対応 — 問題発覚前に不適切な対応で申請を諦めた方がいた場合の救済策の検討
  • 内部統制の実効性確保 — 試行から本格運用への移行にあたり、議会報告の適正化や透明性の確保が不可欠です
  • 個人情報保護の徹底 — 窓口での不必要な要配慮個人情報の聞き取り防止のための手続き整備


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