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自閉症・情緒障害特別支援学級(情緒固定級)の軌跡

文部科学省の調査では、知的発達に遅れはないものの学習面や行動面で著しい困難を示す児童生徒は約6.5%にのぼります。しかし東京都内の「自閉症・情緒障害特別支援学級(情緒固定級)」の在籍率はわずか0.1%(令和2年度・全国最下位)でした。この大きなギャップを埋めるため、安竹洋平は保護者有志の会「まんまる会」と連携し、令和3年9月に請願を提出。359名の署名とともに賛成多数で採択され、市民と議会の力で教育委員会を動かし、令和5年度に小平市初の情緒固定級を小平第四小学校に開設しました。


年月出来事
R1〜R2保護者有志の会「まんまる会」との連携を開始。西東京市など先行自治体の視察・情報収集
R3.3多摩26市・東京23区の自閉症・情緒障害特別支援学級の設置状況を独自調査・公開
R3.6一般質問「行き場のない子どもたちを見過ごすな」で、情緒固定級の早期設置を訴える。市は「特別支援教室の全校実施の状況を踏まえつつ、他自治体の実践例等の研究を進める」と答弁
R3.9.30請願提出・採択 — 安竹が筆頭紹介議員を務め、359名分の署名とともに請願(第8号)を提出。賛成多数で可決
R3.10市教育委員会定例会でも早期設置を求める意見が相次ぐ
R3.12一般質問「学ぶ機会の喪失をできる限り減らすために」 — 請願採択後の進捗を確認、西東京市の情緒固定級を視察した成果を報告
R4.6.6開設準備委員会が正式に発足(構成員: 学校関係者、教育委員会事務局職員、学識経験者)
R4.6.28まんまる会(利用検討中の保護者25名で構成)からスクールバス運行の要望書が教育委員会へ提出される
R4.8.16小平第四小学校への情緒固定級設置を庁内で正式意思決定
R4.9一般質問「第四小学校に設置する自閉症・情緒障害特別支援学級に関して、特に全学年で通学バスを」 — スクールバスの必要性、説明会の在り方について質問。国分寺市を参考に全学年スクールバスを提案
R4.12小平第四小学校の保護者向け説明会を実施。安竹が「特別支援学級の通学に既存タクシーの利用提案」を作成し、市内タクシー事業者との連携事業を提案
R5.2〜3羽村市教育委員会への詳細調査(電話・メール)を実施。安竹とまんまる会が連名で「羽村市のタクシー通学に関する調査報告とご提案」を小平市教育委員会に提出
R5年度小平市初の情緒固定級、小平第四小学校に開設。2学級16人程度で開始。複数の公共施設で市内全域の保護者に説明会
R5.6請願第1号「特別支援学級でのタクシー通学事業実施や通学バスの環境改善」を提出(安竹が筆頭紹介議員)。最終署名数493名
R5.8.22生活文教委員会で審査 — 市教委が情緒固定級の開級と同時に通学バスを運行する方針を表明。委員会では可否同数、委員長裁定により「採択すべきもの」
R5.9.5本会議で採決 — 不採決となるも、市教委の大方針転換により請願事項の大部分が実現(通学バス定員12名×2台を補正予算に計上)
R6年度情緒固定級の通学バス運行開始。継続的な改善を求めて活動中

背景 — 東京都が全国最下位であるという現実

Section titled “背景 — 東京都が全国最下位であるという現実”

安竹は令和3年3月、多摩26市と東京23区の全自治体を対象に、自閉症・情緒障害特別支援学級の設置状況を独自調査しました。

  • 学級数の割合: 東京都は全国最下位の0.5%(全国平均は約5%以上、9%超の自治体も11ある)
  • 児童数の割合: 東京都は0.1%で全国最下位(トップの岡山県は4.1%)
  • 通級への偏重: 東京都だけ極端に「通級(特別支援教室)」に偏っており、これは平成22年の『東京都特別支援教育推進計画・第三次実施計画』で「原則として通級指導によって対応する」という方針が示されたことに起因

東京都教育委員会は、自閉症・情緒障害特別支援学級の対象は知的障害のない自閉症等の児童・生徒としています。

自閉症・情緒障害特別支援学級の教育課程の在り方についてその1

  • 多摩26市: 7割超の19市がすでに固定級を設置。未設置は小平市を含む7市のみ(令和3年時点)
  • 東京23区: 4割の9区のみが導入

詳細なデータと分析は発達関連のまとめをご覧ください。


令和3年9月30日、安竹洋平が筆頭紹介議員となり、「自閉症・情緒障害特別支援学級(情緒固定級)の設置を求める請願(第8号)」を359名分の署名とともに小平市議会に提出。賛成多数により採択されました。

請願のポイント:

  • 文部科学省の調査では約6.5%の児童生徒が学習面・行動面で著しい困難を示す中、都内の在籍率はわずか0.1%という現状の是正
  • すべての隣接市がすでに小・中学校のどちらか、もしくは両方に情緒固定級を設けている中、小平市だけが未設置であることの改善
  • 多摩26市での約7割の自治体が設置済みというデータを根拠に、小平市でも早期設置を求める

その後、市教育委員会の定例会でも早期設置を求める意見が相次ぎ、具体的な検討が加速しました。


開設準備委員会(令和4年6月6日発足)

Section titled “開設準備委員会(令和4年6月6日発足)”

検討事項:

  1. 学級の施設設備に関すること
  2. 学級への就学及び転学の基準に関すること
  3. 学級における教育内容及び方法に関すること
  4. 学級の広報活動に関すること
  5. その他、学級の開設に関すること

構成員: 学校関係者、教育委員会事務局職員(学識経験者が助言者として出席)

設置校の決定(令和4年8月16日)

Section titled “設置校の決定(令和4年8月16日)”

設置校は、以下の要件を踏まえ小平第四小学校に決定されました:

  1. 令和5年度以降、転用を含め、少なくとも普通教室の3教室分以上に相当する設置スペースを確保できる見込みがあること
  2. 極力、市の中心部で、最寄駅から徒歩10分程度に位置しており、市内全域からの通学の負担が少ないこと
  • 2学級16人程度での開始を想定(1学級8人、希望者数で変動)
  • 3教室分を充て、1教室を半分にし最大6部屋を確保
  • 教材保管やクールダウン用のスペースも柔軟に対応
  • 教員数は「学級数+1名」で、2学級なら3名

設置に先立ち、令和4年5月に立川市と東村山市の小学校を視察し、報告文書をもとに関係課と情報共有が行われました。


通学支援の改善 — タクシー通学の提案から通学バス運行の実現まで

Section titled “通学支援の改善 — タクシー通学の提案から通学バス運行の実現まで”

情緒固定級の開設が決まった後、最も大きな課題となったのが通学手段でした。小平第四小学校は市内中心部とはいえ、最寄りの一橋学園駅から約1km。小平市は東西に長く、市内全域から通う児童にとって大きな負担となることが予想されました。

安竹は「まんまる会」(利用検討中の保護者25名で構成)と連携し、開設当初から通学支援の充実に向けて活動を展開。特に羽村市が平成16年から実施している「タクシー通学事業」に着目し、詳細な調査と小平市への提案を積み重ねました。

羽村市のタクシー通学事業 — 小平市の3分の1以下のコスト

Section titled “羽村市のタクシー通学事業 — 小平市の3分の1以下のコスト”

安竹は令和5年2月〜3月、羽村市教育委員会に対して電話とメールで詳細な調査を実施。羽村市の小学校特別支援学級では、平成16年からタクシー通学事業が行われており、次のような実績がありました。

項目羽村市(タクシー通学)小平市(通学バス・当時)
利用人数30数名39名
年間予算840万円約3,500万円
1人当たり年間費用約28万円約90万円
利用対象小学1〜6年(距離要件あり)原則1〜3年
運行形態自宅前乗降、学校ごとに配車バス5台、自宅前乗降

羽村市のタクシー通学は、小平市の通学バスの3分の1未満のコストで、より広い学年の児童に通学支援を提供していました。

タクシー通学のメリット(調査報告より)

Section titled “タクシー通学のメリット(調査報告より)”

安竹とまんまる会が連名で小平市教育委員会に提出した調査報告書では、次の4つのメリットを挙げています。

  1. 費用が現行通学バスの3分の1未満 — タクシーは常時営業しているため固定費が抑えられる
  2. 長時間乗車がないため児童の疲労が軽減 — 1回当たり10〜20分程度(最長でも40分)
  3. 座席に余裕があるため心理的ストレスが軽減 — 荷物もトランクに収納可能
  4. 利用者数の増減に柔軟に対応 — バスのように定員や固定費の制約がない

また、保護者から寄せられた「低学年が一人で乗れるか」「情緒面で不安定な場合」といった不安に対しても、走行体験の実施や教員の迎え対応など具体的な対応策を示しました。

市内タクシー事業者との連携提案(令和4年12月)

Section titled “市内タクシー事業者との連携提案(令和4年12月)”

安竹は令和4年12月、「市内タクシー事業者との特別支援学級通学に関する連携事業の提案」を作成。現行の通学バス(5台、年間約3,500万円、39名利用)の代替として、以下のような試算を示しました。

  • 通学バスの1人当たり費用は片道約2,250円
  • 小平市のタクシー運賃なら約10km移動可能(初乗り500円/1.2km、以降257mごと100円)
  • 小平市の端から端まで最長9km程度のため、1台で2〜3名のピックアップが十分可能
  • 仮に全利用者を3名乗車にできれば、年間約2,300万円で済む(約1,200万円の削減)

請願第1号「特別支援学級でのタクシー通学事業実施や通学バスの環境改善」(令和5年6月)

Section titled “請願第1号「特別支援学級でのタクシー通学事業実施や通学バスの環境改善」(令和5年6月)”

令和5年6月、安竹を筆頭紹介議員として請願第1号を提出。最終的に493名の署名が集まりました。

請願事項:

  1. 羽村市や清瀬市、国分寺市など他市の低コストな実例を参考に、試行運用も含めたタクシー通学事業の検討及び実施
  2. 通学バスのバス停を自宅前以外にも設けるなど柔軟な運用
  3. 通学支援に係る予算の拡充
  4. 検討内容について課題も含めた詳細の公表(市と市民の共通理解を深めるため)
  5. 情緒固定級での通学バスやタクシー実施までの間の、それ以外の通学支援

生活文教委員会(令和5年8月22日) — 教育委員会の大方針転換

Section titled “生活文教委員会(令和5年8月22日) — 教育委員会の大方針転換”

委員会前日、教育委員会は情緒固定級でも開級と同時に通学バスを走らせるという大方針転換を表明。9月補正予算に経費を計上する運びとなりました。

委員会での教育委員会の主な説明:

  • 情緒固定級の通学バス運行のための補正予算を9月定例会に計上
  • タクシー通学については「教職員への負担増大」などを理由に慎重な判断
  • 通学バスは定員12名×2台を予定
  • 対象学年は原則小学1〜3年生(4年生以上も障害の状況に応じて乗車可能)

委員会での採決は可否同数となり、委員長裁定により**「採択すべきもの」**と決しました。

本会議(令和5年9月5日) — 請願は不採択も、実質的な成果

Section titled “本会議(令和5年9月5日) — 請願は不採択も、実質的な成果”

本会議では共産党と生活者ネットワークが反対し、賛成が過半数に満たず不採択となりました。しかし、教育委員会の大方針転換により請願事項の大部分が実現しました。

  • 情緒固定級の開級と同時に通学バス運行開始
  • 定員12名のバス2台
  • 通学区域は市内全域
  • 自宅前乗降を基本としつつ、状況に応じて柔軟に対応

安竹は、5年間で筆頭紹介議員を務めた請願4件のうち3件を採択に導いてきましたが、本請願は不採択となりました。しかし、請願の圧力により市教委が動いたことで、実質的な成果を得ています。

安竹は教育委員会の対応を評価しつつも、「通学が困難なすべての子どもに対して通学支援があることは当然のこと」として、以下の点について継続的に改善を求めています。

  • 知的固定級を含めた通学バス事業全体のコスト見直しと効率化
  • 通学時間の短縮(特に市の端から通う児童の負担軽減)
  • タクシー通学の試行運用の再提案
  • 保護者との継続的な意見交換の場の確保

情緒固定級に関する法的根拠、自閉症と情緒障害の医学的な違い、全国・都内の詳細なデータ分析については、以下のページをご覧ください。

→ 発達関連のまとめ:自閉症・情緒障害特別支援学級(情緒固定級)とは


小平市教育委員会は「1校設置で終わりではなく、小学校、中学校と増やしていく」としています。実際、他自治体では開設後、希望する児童・生徒が増える傾向にあり、小平市でも2校目、3校目の設置が検討されています。

情緒固定級の開設はゴールではなくスタートです。安竹洋平は引き続き、スクールバスや通学タクシーなどの通学支援、教員の質の確保、そして中学校への設置拡大に向けて取り組んでいきます。


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