議案第12号 小平市介護保険条例の一部を改正する条例

厚生委員会付託

📄会議録(初日委員会最終日

ポイント

  • 第8期介護保険事業計画策定に伴う、介護保険料値上げ、段階追加等を行う条例改正
  • 同時に、税制改正に対応する10万円控除の設定等も行う
  • 介護保険料の値上げは、基準額で月額500円
  • 所得段階の追加は、合計所得1,000万円以上の区分を3段階追加するもの
  • 保険給付費が上昇しているため、基金を取崩しによる保険料の上昇抑制は、第8期(令和5年度まで)で終了する見込み
  • 都と国には、被保険者の範囲拡大、低所得者対策、財政調整交付金5%の確実な支給、を要請している

⭕️ 私(安竹洋平)の判断:賛成

保険料を上げることには反対ですが、現在の保険の仕組みとして、小平市にはどうしようもないことですので賛成しました。

「ちゃんと介護従事者の処遇改善に使われているか」、「事業者が単に潤うだけで終わっていないか」、検証も必要と思います。

提案理由の説明

(小林正則市長)

本案は、第8期介護保険事業計画の策定に伴い、第1号被保険者の介護保険料に関する規定について改正を行うとともに、介護保険法施行令等の一部改正に伴う所要の改正を行うものです。

改正の内容ですが、令和3年度からの介護保険料につきまして、基準月額を現行の5千300円から500円引き上げ、5千800円とすることにより、各所得段階の保険料率を改定するものです。また、所得に応じた保険料設定とするため、所得の高い方が対象となる第15段階を細分化し、3段階増やして全体で18段階といたします。

このほか、介護保険法施行令等の-部改正に伴い、第7段階から第9段階における合計所得金額の範囲を改めるほか、合計所得を算定する際に、低未利用土地等の長期譲渡所得にかかる特別控除額を控除するとともに、税制改正による負担増の影響が生じないよう給与所得、または公的年金等にかかる所得の合計額から、10万円を控除する改正を行うものです。

施行期日につきましては、本年4月1日を予定いたしております。

概要

  1. 改正の理由
    • 介護保険法第129条の規定により、第1号被保険者の介護保険料は、同法第117条の規定により3年ごとに策定する介護保険事業計画で見込む介護サービス事業量等保険給付に要する費用額を算出し、保険料必要額を定めることとされている。
    • 令和3年度から第8期介護保険事業計画を開始するため、また、介護保険法施行令等の改正に伴い、小平市介護保険条例について所要の改正を行う。
  2. 改正の内容
    1. 保険料基準額について、現行の月額5,300円(年額63,600円)から5,800円(年額69,600円)に改定する。(第4条関係)
    2. 応能負担の観点に基づき、一定以上の所得層への所得段階の細分化を図り、現行の第15段階から第18段階へ3段階新設する。(第4条第1項第15号、第16号及び第17号関係)
    3. 介護保険法施行令等の改正にあわせて所要の改正を行う。
      1. 第7段階から第9段階について対象となる合計所得金額の範囲を改正する。(第4条第1項第6号、第7号及び第8号関係)
      2. 合計所得金額から、租税特別措置法に規定される長期譲渡所得に係る特別控除額を控除して算定するよう改正する。(第4条第1項第5号ア関係)
      3. 給与所得又は公的年金等に係る所得の合計額から、10万円を控除して算定するよう改正する。(附則第9条関係)
  3. 施行期日
    • 令和3年4月1日
  4. 予算措置
    • 令和3年度予算は、改正後の保険料額により編成している。

主な質疑

これは要約ですので、正確な質疑内容は会議録をご参照ください。なお、質問の意図を分かりやすく簡潔にするため、議員の質問に関しては、ほとんどの部分で大幅に手を加えています。また、簡略化のため、市民、議員、理事者側(市役所側)の発言から、敬語表現の多くを省いています。実際は、特に理事者側のすべての答弁は、市民に対する敬語表現でなされています。

保険料500円アップで被保険者にとってどんなプラスがあるか

保険料が現行の5,300円から500円アップで5,800円になる。被保険者にとってどんなプラスがあるか。

介護保険事業は、保険料、国や都、市の負担割合が決まっており、社会全体で支えていこうというのが保険事業。 まず、支援が必要な方にサービスが安定して提供できるというところが一番大きい。

一方で、要介護、要支援の認定を受けていない方は保険料を払っても恩恵がないという声もある。フレイル予防の推進委員、認知症地域支援推進委員の増員もしており、総合事業の中で、介護予防、認知症予防に取り組んでいきたい。

この議案は厚生委員会に付託されました。主な質疑を記します。
厚生委員会には、一人会派の会から、私(安竹洋平議員)が委員として参加しました。

値上げが要介護者等に及ぼす影響をどう確認するか

値上げは低所得者にとっても負担増になるところがある。

要介護者等にどのような影響を及ぼすか、確認する手段はあるか。

基準月額だと年間6,000円増、それぞれの段階で約9.4%増であり、市民の方に重い負担がかかる。

低所得の方には、第7期に引き続き、公費投入で保険料軽減を図っており、ある程度、ほかの方よりも軽減される。

要介護者は、保険料以外にも介護サービス利用で1割負担があるので、利用控えが出るかもしれない。

利用料は要介護度別に利用できる限度額が決まっている。たとえば令和元年度は、限度額に対しての利用料で:

  • 要支援1の方:約3割
  • 要支援2の方:約2割
  • 要介護5の方:約7割

の利用があった。(こういった利用率も見ながら)利用控え等についても今後検証していく。

この負担増で、実際に働いている人たちの処遇が改善するのか、確認は

この負担増により、「介護職の方々等の処遇改善につながる」という話もあった。しかし、事業者が潤い、実際に働いている方々の処遇が改善されない事態も想定される。

負担増の分が、働いている方々の処遇改善につながっていることの確認は行う予定か。

今回、介護報酬改定で、国から0.7%増とされた。これが介護従事者に反映しているかを確認するすべは、市として持っていない。

国の審議会等の調査結果などから確認する。

処遇改善加算などは市に提出してもらっているので、そういった資料からも確認できると捉えている。

その方法が唯一か。それ以外にも把握する方法はあるか。

要介護認定を受けている、受けていないにかかわらず、保険料が納められないような場合は、丁寧に事情を確認し、たとえばコロナ禍によるようなことがあった場合、減免の対応をしているので、そういうことで対応していきたい。

介護保険料が上昇する原因を市はどう捉えているか

介護保険料が年々上昇していく原因を市はどう捉えているか。

介護保険料は、どうしても支え合いということで、必要となる「保険給付費」を「第1号被保険者の人数」で割り、算出している。すると、要介護者が増え、介護サービスを利用する方が増えると、保険給付費が増えることは、ある程度仕方がないものと捉えている。

介護保険料が年々上昇していく背景には、少子高齢化や核家族化の問題があると思う。そういう対応も含めた、市全体の動きの中で、連携して、解決や改善をしていく、そういう大きな動きが必要なのではと思う。

子どもを増やす動きや、核家族化が本当によいのかなど、そういったことを全体の政策の中で考えていく必要があると思う。

介護保険料を今後どうしていくかとかという話が、市全体の話につながっていくような動きというのは、小平市としてあるか。

介護保険は、国が制度設計している。かかる費用は、半分が40歳以上の方からの保険料、残りの半分が公費で、国、東京都、市が負担をする仕組み。平成12年に制度が創設され20年経過している。

その中で、40歳以上の方の保険料で賄っている半分も、40歳から64歳の第2号被保険者と65歳以上の第1号被保険者の人数により、3年ごとに国でその負担率が変わってきている。

現在は、平成30年度から、第2号被保険者については27%で、第1号被保険者の方については23%とされているが、そういったことも人口の比率に基づき、国において定めている。

市として、保険料を値上げをしないための取組は、元気な方に引き続き元気でいただくよう、たとえば来年度からは介護予防ボランティアポイント事業などを、健康推進課などと一緒に連携をして取り組んでいくなど、他課との連携などにも引き続き取り組んでいきたい。

「国が決めているから」で終わるのではなく、「市で何ができるか」の視点を

国のほうで決まっている制度とはいえ、介護保険や全体の問題は、一つ一つの地方公共団体の働きが影響を及ぼしている。

少子高齢化に伴い、「なかなか家族だけでは介護できない状況になってくるから、みんなで支えましょう」という仕組みが介護保険。そういったところで介護保険の負担がどんどん増えていくのであれば、少子高齢化の状況や核家族化についても、ひとつテーマとして取り上げていく。

改善というか、状況を変えていく取組等ができないかといったところで、国を助けるような形になると思うが、そういった動きがそれぞれの地方公共団体に必要だと考える。

市の全体の施策の中で、そういったこともひとつ考えていかなければいけないのではないかと私は思っている。

介護保険料が上昇する要因を改善する市の取組は

介護保険料が年々上昇する要因を、市として変えていく、改善していく取組は。

市としては、第7期から、

  • 特別養護老人ホーム
  • 認知症高齢者グループホーム

などの整備を進めている。

それ以外にも、新たに

など、医療的ニーズに対応する施設もできてきている。

そういったものが整備をされることにより、介護を利用する方が安定的、継続的にサービスを受給できようになるのはメリット。

介護を利用されない方に負担が生じるということについて、重く受け止めているが、2025年の地域包括ケアシステム構築に向け、介護予防や健康づくりの取組などを引き続き取り組んでいきたい。

第7段階から第9段階の、合計所得の上限と下限が10万円ほど変更されている理由は

第7段階から第9段階の合計所得金額の上限値と下限値が10万円ほど変更になっている理由は。

基本的には厚生労働大臣が定める額。第6段階と第7段階、第7段階と第8段階、第8段階と第9段階の第1号被保険者数の「見込数の割合の均等」が図られることを勘案して定められている。今回定められた額がこの額であった。

新設された段階の分で見込む増収は

新設された第16段階から第18段階で、年間どれぐらいの増収を見込んでいるか。

約900万円。

保険料の基準が第5段階の区分に設定されている理由は

保険料の基準は、第5段階の「本人が市民税非課税で世帯内に課税者がいる場合で、合計所得金額プラス公的年金等の収入金額が80万円超え」に設定されている。この第5段階が保険料の基準にされている理由は。全国的に一番人数が多いなどの理由があるのか。

基準が第5段階なのは、介護保険法で定められたもの。

🕵 どうやら人数が多いところを基準にしているようです

介護保険料の基準額が次のように決まっていることは分かります。

介護保険給付にかかる費用×65歳以上の方の負担分(23%)÷65歳以上の方の人数

しかし、なぜ「本人が市民税非課税で世帯内に課税者がいる場合で、合計所得金額プラス公的年金等の収入金額が80万円超え」の人が基準額を払うことになっているのか分からなかったため、質問しました。

次の資料P14をみると、やはり「人数が多いところ」を基準にしている可能性があります。しかし確定的なことは分かりませんでした。機会をみつけて調べてみます。

公的介護保険制度の現状と今後の役割(平成27年度)

10万円控除はどういう理由か

「給与所得または公的年金等に係る所得の合計額から10万円を控除して算定するよう改正する」とあるのは、どういうことか。

税制改正において、給与所得控除および公的年金等の控除が10万円引き下げられた。介護保険は合計所得で計算しているので影響を受ける。その分の10万円を控除することで元の所得に戻すことになり、影響がない形になる。

🕵 税制改正に絡んだ10万円控除について

こちらに詳しい解説がありました。

平成30年度税制改正に伴う介護保険制度における所得指標の見直しについて

国庫負担の引き上げなど、都や国への要望状況は

介護保険が始まってから20年間値上がり続けている。利用者負担も1割から3割に。国庫負担の引き上げをするなど、国への要望状況は。

東京都市長会を通じ、東京都および国に要望している。

要望の内容は、「介護保険制度に係る市町村への支援策の充実」ということで、制度運営に関する事項として、次のようなこと。

  • 被保険者の範囲の拡大
  • 障害施策の統合については、今後も保険者の意見も聞き、十分に反映するよう積極的に働きかけること
  • 低所得者対策として、利用者負担の軽減措置を充実させるよう、低所得者対策の抜本的な検討と見直しを国の責任において実施すること

また、制度上、財政調整交付金が5%市に交付されることになっているが、実際には5%が交付されない事態が都市部を中心にある。その不足分は保険料で賄っているため、結果的に市民持ち出しが増えている。

毎年、「国の法定負担分は確実に交付し、市町村の介護保険料の不均衡解消に努めるよう積極的に働きかけてほしい」と東京都を通じて要望しており、引き続き取り組んでいきたい。

🕵 財政調整交付金について

次の資料が参考になります。小平市は5%交付されることになっていると市は答弁していますが、どういう理由で5%交付されていないのかは不明です。今後確認します。

調整交付金の仕組み

介護給付等準備基金はどう積み立てているか

介護給付費等準備基金は、どう積み立てているか。

保険料の余った額を積む。

毎年の積立額は、

  • 平成24年度:約1億3,000万円
  • 平成25年度:約1億3,000万円
  • 平成27年度:約1億5,000万円
  • 平成28年度:約1億5,000万円
  • 平成29年度:約1億5,000万円
  • 平成30年度:約7,200万円
  • 令和元年度:▲約5,100万円

今後は保険給付費の伸びにより、積むよりは取り崩すこととなり、基金が減っていくと考えている。

第8期(令和3年度~令和5年度)は約7億円の取崩しを予定。

介護給付等準備基金が足りなくなったらどうするか

積立が足りなくなったらどうするか。

基金は現在9億円あるので、積極的に使い、保険料の上昇を抑える。万一、急激に保険給付費が伸びた場合に対応するため、約2億5,000万円程度を残している。

保険料の余りを積む以外に基金を増やす方法は。

第9期には保険料が7,000円程度に

たとえば一般会計から繰出しをして基金に積むことは制度上認められていない。第9期には保険料が7,000円程度になると見立てを立てている。

給付費の伸びをどう推定しているか

給付費の伸びをどう推定しているか。

それぞれ対前年比で、次のように推定。

  • 令和3年度:4.3%増
  • 令和4年度:2.3%増
  • 令和5年度:3.0%増

付託委員会での取り扱い

採決

全委員が賛成⭕️

本会議での主なやり取り

討論

なし

採決

全議員が賛成⭕️

賛否一覧

賛否一覧はこちらをご覧ください。