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議案第57号 令和2年度小平市国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算の認定について
*議案第57号、第58号、第59号、第60号、は同種のものなので一括議題
特別会計・下水道事業会計決算特別委員会付託
提案理由の説明
(小林洋子市長)
国民健康保険につきましては、後期高齢者医療制度への移行に伴い、被保険者数の減少は続くものの、被用者保険からの加入者が増えていることから減少幅は鈍化しております。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による受診控えの影響を受け、1人当たりの医療費は減少しましたが、加入者に占める低所得者や高齢者の割合が高いといった構造的な課題もあり、一般会計からの多額の繰入れにより財政運営を維持している状況でございます。
決算の概況でございますが、歳入総額は167億2,187万円、歳出総額は165億705万9,000円で、実質収支は2億1,481万1,000円となりました。
歳入につきましては、その根幹となる国民健康保険税は、税率改定を行ったほか、徴収率も向上したことにより、保険税全体では前年度に比べ、8,588万4,000円、2.4%の増となりました。
一般会計繰入金につきましては、前年度に比べ、1億5,000万円減の19億1,000万円の繰入れを行いました。
歳出につきましては、歳出総額の6割を占める保険給付費は、前年度に比べ、4億3,896万3,000円、4.0%の減となりました。
また、保健事業費では、前年度に引き続き集団健診を実施したほか、第二期データヘルス計画事業として、ジェネリック医薬品差額通知や糖尿病性腎症重症化予防事業などを実施いたしました。
以上が決算の概要でございます。
資料
主な質疑
これは要約ですので、正確な質疑内容は会議録をご参照ください。なお、質問の意図を分かりやすく簡潔にするため、議員の質問に関しては、ほとんどの部分で大幅に手を加えています。また、簡略化のため、市民、議員、理事者側(市役所側)の発言から、敬語表現の多くを省いています。実際は、特に理事者側のすべての答弁は、市民に対する敬語表現でなされています。
主な質疑の目次
- なし
- 均等割が平成13年から令和2年まででほぼ倍になっていることをどう考えているか
- 歳出減の要因はコロナ禍による医療控えか
- 出産一時金の増額についてはどうなっているか
- 歳入と歳出のバランスが崩れた場合、財源の確保はどうするか
- 1年ごとに保険税を改定する可能性もあるのか
- 療養給付費以外にどんな変化があったか
- インセンティブについて
- 国保税の値上げに頼ることのないよう、国や都へどのような働きかけをしたか
- 減免制度の申請数、承認数、金額、減免の割合は
- 延滞金、不能欠損、執行停止について
- 雑入約4,300万円の主な内容は
- レセプト点検した際に、不正受給等は市内で何件見つかったか
- 糖尿病の人工透析人数の推移は
- 支払いの決済手数料は市と市民でどう負担しているか
* は『一人会派の会』議員の質問です。
なし
この議案は特別会計・下水道事業会計決算特別委員会に付託されました。主な質疑を記します。一人会派の会からは、橋本久雄議員が委員として参加しました。
均等割が平成13年から令和2年まででほぼ倍になっていることをどう考えているか
均等割はやめてほしい。1人当たり2万5,700円、家族の構成が多くなるほど、均等割の額は増える。
均等割の割合が平成13年から令和2年まで書いてあるが、平成13年は1万3,500円だったのが、令和2年では2万5,700円になっている。ほぼ倍になっていることについてどういうふうに考えているか。
そもそも国民健康保険税においては、平成30年度の都道府県化の前までは、応能割と応益割ということで50%ずつを目指すことになっていた。
均等割が上昇すると、子育て世代、1人世帯員が増えると上昇することとなるが、国民健康保険財政を支える上で、均等割で増やせない分を所得割に寄せるかどうか含めて、今後も東京都から示される標準保険料率の乖離率を注視しながら検討していきたい。
歳出減の要因はコロナ禍による医療控えか
歳出が前年度比で2.8%減。要因のひとつとして療養給付費の減とあるが、コロナ禍による療養控えか。
歳出の6割を占める保険給付費だが、新型コロナウイルス感染症の影響は大きく受けている。受診控え、または感染対策を各自がされたことで、医療機関へかかる患者数が減っていると考えている。
出産一時金の増額についてはどうなっているか
出産育児一時金の増額について、令和元年度決算の答弁で「今後も引き続き課長会をとおして要望していく。けっして、このままでよいという考えは持っておりません」とあったが、令和2年度に進展があったか。
課長会等でも令和2年度においても要望は上げている。大きい国の動きの中では、令和2年12月2日の社会保障審議会の医療保険部会で42万円の出産育児一時金についての増額は見送ることになっている。自由診療の場合、価格設定方法がさまざまで、まず費用の把握が最優先という動きがあり、早期に引き上げるべきという声より、費用の把握が最優先という形となった。
市としても引き続き要望していきたい。
都の動きとしては、予算要望を市から上げているものを検討していると捉えるとともに、令和3年1月1日から令和3年3月31日までの間に出産した方等への東京都出産応援事業という10万円のポイント交換ギフトが始まった。
また、産科医療補償制度の掛金の引下げがあった。産科医療補償制度を利用できる病院での出産ではなかった場合、かかっていない方には支給していない市区町村もあるが、小平市の場合は一律に42万円支給している。
産科医療補償制度を申請して、出産された方は、掛金が1万6,000円だったものが1万2,000円になるので、4,000円分は出産費のほうに加算される。
結果的に、小平市では当初から42万円の支給という方法で取り組んでいる。他市との調整は、課長が課長会で連携を取っている。
歳入と歳出のバランスが崩れた場合、財源の確保はどうするか
歳入と歳出のバランスが崩れた場合、財源の確保というところでどのような方法を考えているか。
保険給付費にかかる費用については、平成30年度からの都道府県化により、東京都から全額、普通交付金として支給があるので、かかった費用について足りなくなるという心配はなくなった。
ただし、財源の確保ということでは、保険給付費によって、事業費納付金として支払う金額も変わってくる。
- 国民健康保険税の徴収率を上げていくこと
- 事業の費用対効果を見ていくこと
- 医療費適正化の取組を進めること
により、被保険者の医療費が増大にならないような対策を打っていくことが必要と考えている。
1年ごとに保険税を改定する可能性もあるのか
状況に応じては、1年ごとにも改定する可能性があるという理解でよいか。法定外繰入れは増やさず、税率を変えることでバランスを保っていくという理解でよいのか。
納付金を払うために金額を確保していかなければいけないが、もちろん税率改定だけではなく、
- インセンティブの獲得
- 公費の拡充の要望
- 徴収率の向上
- 医療費の適正化
も併せて鑑みながら、対応していく。
1年ごとに税率改定ということは、今のところ考えていない。
療養給付費以外にどんな変化があったか
保険給付費は前年度比4.0%減、療養給付費以外は前年度とどんな変化があったのか。
療養給付費以外の療養費等だが、
- 現金給付と言われる療養費はマイナス5.8%
- 高額療養費はマイナス0.3%
高額療養費については、件数も増えており、
- 必要な方に必要な医療が届いている
- 医療の高度化の影響等も受けている
と考えている。
🔍 療養の給付費と療養費の違い
療養の給付とは、保険証を持って医療機関等にかかった際に、現物給付(窓口負担分以外のお金を窓口で支払わなくても医療を受けられる)を受けることを言います。
療養費とは、被保険者が保険証を持たずに医療機関等にかかった際に、窓口で療養にかかった医療費の全額をお支払いいただいた場合に、後日、申請に基づき、保険給付として認めた費用額から一部負担金の金額を除いた金額を、療養費として現金給付することを言います。
インセンティブについて
令和2年度の、インセンティブの金額は
令和元年度は6,600万円だったインセンティブは、令和2年度はどれくらいついたか。
令和2年度は次のとおり。
- 国から:7,100万円の歳入
- 都から:5,600万円の歳入
インセンティブの最大額は
インセンティブを最大限もらった場合、いくらになるか。
仮に満点であれば、あと8,000万円ぐらい得られた。
今回、令和2年度から具体的な解消年次数を掲げた赤字計画書を提出したことから、ゼロ点になり、マイナス30点の査定はなくなった。
国保税の値上げに頼ることのないよう、国や都へどのような働きかけをしたか
国民健康保険の加入者は低所得者や高齢者の割合が高く、またコロナ禍による経済の落ち込みから、さらに加入者の家計は厳しくなっていると推察される。
法定外繰入れについて、国民健康保険税の値上げによる解消に頼ることなく、国や都への働きかけが必要だと考えるが、令和2年度にどのような働きかけをしたのか。
国民健康保険税の値上げだけに頼らず、国、都に公費の拡充を引き続き要望している。
減免制度の申請数、承認数、金額、減免の割合は
令和2年における新型コロナウイルス感染症の影響による国民健康保険税の減免制度の申請数、実際に対象となった数、金額、減免割合は。
申請件数は約1,000件で、そのうち、承認が約800件で、金額は約7,700万円。減免の割合としては、10分の10が約600件。
延滞金、不能欠損、執行停止について
不納欠損の背景は
不納欠損額が前年度よりも増え、理由のひとつとして、資力欠如が84人増えているが、背景は。出国が例年100人前後いるが、令和2年度で何か対策や対応をしたか。
推定だが、コロナ禍の影響で収入が減った方が納められないことで欠損となるケースがある。
あと、出国。国民健康保険税では、外国人の滞納の方の割合も比較的高く、我々も苦慮している。
令和2年度から対策として、出入国在留管理局に協力要請という形で、在留期間更新の際に必ず納付して、未納がない証明を取ってもらうよう、個別に令和2年度は70件ほど要請し、約180万円の収納実績が上がっている。始めたばかりなので、今後拡充していく。
延滞金約4,200万円は何件分か
一般被保険者延滞金が約4,300万円計上されているが、これは何人分か。
令和2年度は1万3,350件。
延滞金は、
滞納額 × 延滞日数 × 延滞金の割合 ÷ 365
で計算し、その結果が千円に満たない場合はもらわない。
延滞金と不能欠損の関係は
延滞金を払えないと不納欠損になるのか。
不納欠損は、
- 滞納処分の執行停止が3年間継続した場合
- 財産の調査等の結果、明らかに納付の見込みがない方
等のいずれかに該当する場合に、債権を消滅させる会計上の処理。延滞金との関連は特にない。
執行停止とは
執行停止の場合、国民健康保険が使えなくなるのか。
執行停止で保険証が使えなくなることはない。執行停止とは、滞納者に一定の事由があると認められた場合、職権で強制徴収の手続を停止するもの、つまり強制徴収しないと決める処理。
たとえば次のようなときに、強制徴収せず、執行停止という処理をするもの。
- 滞納者に滞納処分することのできる財産がない
- 滞納処分することで生活を著しく窮迫させる
- 滞納者の所在もしくは滞納処分できる財産がともに不明
どれくらいの期間払わないと延滞金を支払う必要が出てくるか
延滞金は、どれくらいの期間滞納していると支払う必要が出てくるのか。
およその計算だが、たとえば税額が1万円の方について、延滞金が1,000円に達する日数は約400日以上。
延滞金が発生するのも外国人の割合が多いか
不納欠損は外国人が結構多いという指摘があったが、延滞金も同様か。
日本人、外国人という区別はしていないので、この数字については捉えていない。
雑入約4,300万円の主な内容は
雑入約4,300万円の主な内容は。
過年度の事業費納付金の退職被保険者分で精算があり、返納された4,247万5,000円が一番大きい。そのほか、診療報酬の退職分の返金、納税通知書の広告収入も雑入に入っている。
レセプト点検した際に、不正受給等は市内で何件見つかったか
レセプト点検した際に、不正受給等は市内で何件見つかったか。
国民健康保険証を持っていた後に社会保険などに入った方で、国民健康保険証をそのまま医療機関に提出して使ってしまった場合は、不当利得として、本来小平市の国民健康保険が負担するべきではなかった日付のものについて返してもらうため、請求している。
令和2年度の不当利得件数は、現年度分が37件、過年度分で32件。
それ以外に不当なレセプトがあったか、気になります。
糖尿病の人工透析人数の推移は
糖尿病の人工透析人数の推移は。
- 平成30年度:136人
- 令和元年度:122人
- 令和2年度:118人
- 令和3年1月:140人
いきなりここで22人近く増えている状況なので、社会保険の離脱、もしくは転入等で、新規に加入された方が多かったのではと捉えている。
年齢的には、60代、70代が多い。
🩺 保険料のうちかなりの額を占める人工透析について慎重に検討が必要
議会でも何度か指摘しましたが、人工透析にかかる金額は大きいため、よく考える必要があります。
人工透析は一人当たり年間で約400万円から600万円かかると言われています。小平市で、糖尿病に起因して人工透析を受けている方が140人ですから、中間の500万円かかると考えても、それだけで7億円になります。
日本は、諸外国と比べても人工透析の比率が大きいようです。諸外国で進んでいる腎臓移植の取組が、日本ではほとんど進んでいません。
しかし、どうもここは利権が絡むからなのか、大きなタブーがあるようです。慎重に検討する必要があります。
支払いの決済手数料は市と市民でどう負担しているか
支払いの決済手数料は市と市民でどう負担しているか。
決済手数料の負担は次のとおり。
- コンビニ収納 市の負担:55円、市民の負担:なし
- キャッシュレス決済 市の負担:55円、市民の負担:なし
- クレジット決済 市の負担:50円、市民の負担:50円+1万円を超えるごとに100円
国から、コンビニ支払いやキャッシュレス決済等と市の負担が著しく変わらないようにという通知が来ているため、クレジット決済は、市民に一部御負担してもらっている。
付託委員会での取り扱い
採決
会派名 | ⭕️賛成/❌反対/🪑退席 |
---|---|
一人会派の会 | ❌ |
政和会 | ⭕️ |
公明党 | ⭕️ |
フォーラム小平 | ⭕️ |
共産党小平市議団 | ❌ |
生活者ネットワーク | ⭕️ |
まちづくり市民こだいら | ❌ |
本会議での主なやり取り
討論
会派名 | ⭕️賛成討論/❌反対討論/🪑討論なし |
---|---|
一人会派の会 | ❌ |
政和会 | ⭕️ |
公明党 | ⭕️ |
フォーラム小平 | ⭕️ |
共産党小平市議団 | ❌ |
生活者ネットワーク | ⭕️ |
まちづくり市民こだいら | ❌ |
一人会派の会の反対討論
当一人会派の会からは橋本久雄議員が反対討論を行いました。橋本議員の個人的な見解も含まれています。
(橋本久雄)
議案第57号、令和2年度小平市国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算の認定について、一人会派の会として反対をいたします。
令和2年3月定例会で可決された令和2年度小平市国民健康保険事業特別会計予算の執行状況について、会派として評価した結果、可とするにはあまりにも問題があることから反対するものです。
国民健康保険は、平成30年度から都道府県が財政運営主体になりました。国民健康保険の都道府県化は、国民皆保険の将来にわたる維持を目的に東京都が示した保険料率を段階的に引き上げることによって、自治体の法定外繰入金を保険料に転嫁することになりました。
この年も税率改定、値上げをしました。コロナ禍で被保険者が厳しい状況に置かれているときに値上げをすべきではありませんでした。この時点で約12億7,000万円の赤字があり、一般会計からの多額の繰入れをしていることから、15年かけて税額の増額改定を行いゼロにするために、この年で3.27%の増額を改定したわけです。
被保険者の多くは、自営業者や高齢者など所得の低い方が多いことから、赤字分を被保険者の保険料額の増額改定で解消することには無理があります。市が一定の負担をすべきであると指摘してきました。
こうした立場から、令和2年度の国民健康保険税の執行状況を見たとき、多くの問題が浮かび上がってきます。
まず制度の問題です。均等割は1人当たり2万5,700円です。平成13年度は1万3,500円でした。倍になりました。家族が多いほど負担が増える、まるで少子化を奨励しているようです。均等割を廃止してください。資産割は復活していただきたい。
国民健康保険税試算対比表があります。7割、5割、2割の減免がありますが、年度ごとにこの範囲が変わっています。令和2年度の場合、所得100万円では、令和2年度では1人世帯で11万5,200円、2人世帯は13万4,500円ですが、令和4年度になると11万3,700円と10万5,300円と逆転現象が起きます。2人世帯は2割減免が5割減免に変わった結果です。こういったことが起こらないような制度設計をお願いします。
被保険者の状況は、所得300万円以下の世帯数は75%です。所得300万円は、年収換算でおおよそ450万円です。日本の労働者の平均年収ですね。4人世帯の生活保護基準と同額です。所得100万円の4人世帯で、保険料額5割減免で15万2,500円は高過ぎませんか。どうやって生活をしていけるのでしょうか。
全体のフレームの見直しが必要だということを述べ、議案第57号、令和2年度小平市国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算の認定について、一人会派の会として反対をいたします。
それ以外の会派の討論はこちらをご参照ください。
採決
議員名(会派名) | ⭕️賛成/❌反対/🪑退場・欠席 |
---|---|
安竹洋平(一人会派の会) | ❌ |
伊藤央(一人会派の会) | ❌ |
橋本久雄(一人会派の会) | ❌ |
(政和会) | ⭕️ |
(公明党) | ⭕️ |
(フォーラム小平) | ⭕️ |
(共産党小平市議団) | ❌ |
(生活者ネットワーク) | ⭕️ |
(まちづくり市民こだいら) | ❌ |
賛成多数で可決しました。