議案第47号 小平市印鑑条例の一部を改正する条例

*議案第47号第50号は同種のものなので一括議題

総務委員会付託

📄会議録(初日委員会最終日

ポイント

  • 来年2月から個人番号カードを利用してコンビニで各種証明書が交付可能になり、また、同年9月末で証明書自動交付機での証明書交付が終了することに伴う条例改正
  • 個人番号カードをもつ人は多機能端末機で印鑑登録証明の交付が可能、と定める
  • 証明書自動交付機の利用に係る規定を削る
  • なお、印鑑証明書だけが自治体の事務で、それ以外の証明書等は国の法令での対応
  • 賛成多数で可決しました

⭕️ 私(安竹洋平)の判断:賛成

次に示す大きな問題があるため非常に悩みましたが、個人番号カードをつくるかつくらないかについては「個人の選択の自由が残されている」ことから、この議案第47号には賛成しました。

  • マイナンバー制度では、多くの個人情報が一元管理されるため、いったん情報漏洩が起きたり、政府が暴走したりすれば、国民の人権が、容易に、危機的状況に陥る
  • コンビニエンスストアでの交付が使えない視覚障害の方などがいる
  • 大手コンビニなど、多機能端末機が設置可能な店舗だけが利益を得られる
  • 「個人番号カードが普及すれば全国的に手続きの効率化が行われることになり国民の福祉が向上する」という意見もある

なお、議案第50号は、別の理由から反対しました(詳しくはこちらです)。

提案理由の説明

(小林洋子市長)

本案は、来年2月から、個人番号カードを利用して、コンビニエンスストア等に設置されている多機能端末機により印鑑登録証明書の交付を開始するとともに、同年9月末で証明書自動交付機での印鑑登録証明書の交付を終了することに伴い、改正するものです。

改正の主な内容ですが、第1条では、個人番号カードを有する者は、多機能端末機を使用して印鑑登録証明書の交付を申請することができる規定を定め、第2条では、証明書自動交付機の利用にかかる部分を削るものです。

施行期日につきましては、第1条は、来年2月1日、第2条は、同年10月1日を予定いたしております。

資料

主な質疑

これは要約ですので、正確な質疑内容は会議録をご参照ください。なお、質問の意図を分かりやすく簡潔にするため、議員の質問に関しては、ほとんどの部分で大幅に手を加えています。また、簡略化のため、市民、議員、理事者側(市役所側)の発言から、敬語表現の多くを省いています。実際は、特に理事者側のすべての答弁は、市民に対する敬語表現でなされています。

小平市のマイナンバーカード交付率は

なぜこんなにマイナンバーに誘導するのか。マイナンバーカードを持っていないと、窓口での申請しかできなくなる。

全国のマイナンバーカード取得率はだいたい30%だが、小平市の取得率は。

7月末現在で約74,000枚交付し、交付率は37.9%。

100%の達成は無理。なぜこんなに進めるのか疑問だ。

1通当たりの発行コストは

窓口、自動交付機、コンビニでの1通当たりコストは。

各種証明書全体の平均コストとして、

  • 窓口:手元に数字がない
  • 自動交付機:1枚当たり303円(令和2年度実績)
  • コンビニ交付:1,542円(仮に本年度行った場合の想定。実際は令和4年度2月から開始予定)

発行コストが5倍も高いのに手数料を窓口より安く設定する理由は

個人の情報が統合されていくことは、たしかに恐ろしいところがある。

それとは関係のないところで、今回の改正で、発行手数料が窓口より安くなっている。利便性が上がるのであれば応益負担で手数料を上げてもよいのではないか。なぜ窓口の手数料より安く設定されているか。

  • コンビニ交付を先行実施している多摩24市の手数料額との均衡
  • 市の証明書自動交付機から移行する
  • コンビニ交付とマイナンバーカードの普及促進

これの観点から総合的に勘案し、現行の自動交付機と同額にした。

国から市にメリットが提供されているのか

現状、自動交付機は7台。コンビニ発行できることになれば利便性はずいぶん上がる。発行コストも現状5倍近く違う。であるのに、窓口の手数料より安く設定されていることがとても不思議。

国から交付税など市にメリットを提供する仕組みがあるのか。

現在のところはない。

コンビニでの発行が進むとコストはどれだけ下がるのか

コンビニ発行が進めば、発行のコスト1,542円が303円のレベルに近づいていく見通しがあるのか。

現行の証明書自動交付機を使っている方が、すべてマイナンバーカードを取得し、全員がコンビニ交付を利用した場合の想定は、1枚当たり300円台前半になる試算をしている。

この議案は総務委員会に付託されました。主な質疑を記します。

一人会派の会から総務委員に参加している議員はいません。

コンビニエンスストア等の「等」とは

コンビニエンスストア等の「等」とは。

ドラッグストアや、多機能端末機を設置している自治体も含まれるため、等と入っている。

これまでかかった費用の総額は

これまでかかったコスト総額は。

合計で約4,800万円。

  • 新住民情報システムに係る費用:約2,900万円
  • ランニングコスト:約2,000万円(件数による)
    • システム使用量
    • J-LIS(手数料、サーバー運営等)自治体負担金
    • コンビニの手数料:証明書1件あたり約117円

メリットとデメリットは

メリットとデメリットは。

メリットは、

  • 全国のコンビニどこでも利用できる
  • 利用時間が午前6時半から23時までと延びる

デメリットは、

  • 機械に不慣れな方がいる
  • マイナンバーカードがないとコンビニで利用できない

コンビニ交付をしている自治体の数と、多摩26市中の数は

コンビニ交付をしている自治体の数と、多摩26市中の数は。

全国で861団体、多摩24市。

自動交付機で交付していた証明書等と種類が変わるのか

これまで自動交付機で交付可能だった証明書の種類が変わるのか。

これまでの自動交付機で交付していた

  • 住民票
  • 印鑑証明書
  • 戸籍の証明書

に加えて、コンビニ等交付では次が新たに加わる。

  • 課税・非課税証明書
  • 納税証明書

自動交付機での証明書発行数の総数は。

令和2年度は、合計で約8万9,929枚。

  • 印鑑登録証明:4万4,852件
  • 住民票の写し:4万1,414件
  • 戸籍:7,316件

窓口の業務量は減るのか

これで窓口の業務量が減るのか。

現在、証明書自動交付機で全体の証明書の半数近くを交付している。これが終了するため、その分が最初のころは窓口に増える。すぐに窓口業務委託の業務量が減るという見込みは立てづらい。

🕵 自動交付機の終了により、窓口の業務量が膨大に

令和2年度の自動交付機での交付枚数が合計で89,929枚(約9万枚)となると、仮にそのころまでにマイナンバーカードが50%くらい普及していたとしても、約45,000枚が窓口での交付になります。日曜祝日は大体70日なので、年間290日くらい窓口が開いているとして、1日当たりで約160枚くらい増える計算になります。本庁舎、東部・西部出張所、動く市役所で合計4ヵ所で交付できるため、単純平均で1ヵ所40枚。現在、証明書作成業務は1枚当たり16分から21分かかっており、件数が増えると時間が増えると思われますので、1枚当たりの必要な時間を20分だとして、1ヵ所当たり約800分。1ヵ所あたりの業務量が13時間分ほど増えることになります。実際はほとんど本庁舎に偏ると思われるので、たとえば本庁舎の利用率が7割くらいなら、本庁舎では1日当たり約110枚くらいで、約2,200分、37時間分が増えることになります。

窓口を5つくらい増やさないと対応できないのではないでしょうか。

マイナンバーカードの交付率目標は

マイナンバーカード交付率の目標は。

令和5年度末に92.1%。

証明書自動交付機の利用期間を延長できないか

証明書自動交付機の利用期間を延長できないか。

令和4年9月末で、システム保守の運営がどうしても難しいという話があった。機械自体の製造もしておらず、部品の確保も難しいということ。

複数ある証明書のうち印鑑証明条例だけが改正される理由は

今回、住民票や戸籍は条例改正がなく、印鑑証明書だけが条例改正の理由は。

住民票などは国の法令で、証明書の交付を発行するという規定があり、市の方で特に条例を定めていない。

印鑑条例は、国の実施要領に基づき、市が条例を定めて行う事務として行っているため。

付託委員会での取り扱い

採決

  • 政和会:賛成⭕️
  • 公明党:賛成⭕️
  • フォーラム小平:賛成⭕️
  • 生活者ネット:反対❌
  • 共産党小平市議団:反対❌

賛成多数により、委員会では可決すべきものと決しました。

本会議での主なやり取り

討論

会派名第47号第50号
一人会派の会⭕️賛成討論❌反対討論
政和会⭕️賛成討論⭕️賛成討論
公明党⭕️賛成討論⭕️賛成討論
まちづくり市民こだいら❌反対討論❌反対討論
フォーラム小平⭕️賛成討論⭕️賛成討論
共産党小平市議団❌反対討論❌反対討論
生活者ネットワーク❌反対討論❌反対討論

一人会派の会の賛成(第47号)・反対(第50号)討論(安竹洋平議員)

(安竹洋平)

一人会派の会を代表し、議案第47号、小平市印鑑条例の一部を改正する条例には賛成し、議案第50号、小平市手数料条例の一部を改正する条例には反対ということで討論します。

まず、議案第47号についてです。マイナンバー制度の下では、個人情報の多くがサーバーに保管され、政府に一元管理されることになります。そのため、いったん情報漏えいが起きたり、政府が暴走したりすれば、私たち国民の人権は容易に危機的状況になるという明らかなリスクがあります。

一方、全国的に手続の効率化が行われることにより、福祉が向上するというベネフィットの側面もひとつあります。私もそういう観点で、マイナンバー制度については反対する部分と賛成する部分があります。当会派でも、マイナンバー制度に対する態度はまちまちで、リスクを重く見てこの条例に反対する議員もいます。

本議案に関してひとつ重要な点は、「選択の自由が残されている」というところにあると思います。つまり、個人番号カードをつくっていない人は、コンビニエンスストア等で各種証明書を発行することはできないものの、依然として窓口で発行することは可能なわけです。各種証明書を発行するうえで、個人番号カードをつくる・つくらないの選択の自由は残されていると言えます。

考えてみると、これは新型コロナウイルスワクチンの接種と同じ構図です。「新型コロナウイルスワクチンは人にうつさないために接種するもの」という誤った情報が、一部議員からもまことしやかに喧伝されていますが、感染防止効果には根拠がありません。一方で、重症化を抑える効果については、最近は懐疑的なデータも出てきているものの、短期的にはあるかもしれません。つまり、自分が重症化しないというベネフィットはあるかもしれません。一方で、リスクとして、副反応で苦しんだり、後遺症が起きたり、最悪の場合は死に至るといったものが考えられます。このリスクとベネフィットを天秤にかけて、個人の判断で、ワクチン接種をするかしないかを選ぶことができます。

マイナンバー制度も、これと構図はまったく同じです。先ほど述べた個人番号カードを発行することによるリスクとベネフィットを勘案し、サービスを使いたい人は使えばよく、使いたくない人は使わないという選択ができます。

ちなみに、接種されている方は御存じかもしれませんが、新型コロナウイルスワクチンの接種を行うと、個人番号カードを持っていない人でも、国のワクチン接種記録システム・ワクチネーションレコードシステム(VRS)にマイナンバーが自動的に登録されます。つまり、マイナンバー制度に反対の人であっても、ワクチンを接種すれば自動的にマイナンバーが利用されることになります。しかし、そこでもワクチン接種をしないという選択をすれば、マイナンバーはVRSに登録されず、利用されないわけで、選択の自由はここでもまだぎりぎり残されているとも言えます。

これまで、我が一人会派の会の議員全員が、市民に対するリスクがあることを知りながら市のワクチン接種関連事業に賛成してきたのは、「個人の選択の自由が確保されている」ということがひとつ大きな理由です。この条例に関しても、市民に対するリスクがあることは知っているものの、個人の選択の自由は確保されているということが大きな理由のひとつとして、賛成をするものです。

なお、コンビニエンスストアでの交付事業については、もうひとつ別の問題があります。先ほども指摘されていた、視覚障害の方々がなかなか使えない、使いにくいといった問題とはまた別の問題があります。

それは、大手のコンビニエンスストアなど多機能端末機が設置可能な店舗だけが、この事業で利益を得られるという仕組みだということです。多機能端末機の設置には数百万円のコストがかかり、設置できない市内の小規模事業者には利益が入りません。このように、私は「市外の強い者がその立場を利用してより強くなること」に関しては、市が力を貸すべきではないと考えています。

しかし、先ほど述べた市民へのベネフィットの側面もありますし、また、国の制度がそうつくられているため、市としてはどうしようもないことでもあります。市外の強い者、強者に委託する事業については、市は手数料を適正なレベルに上げることなどにより、応益者負担の原則を守って、市税の適正な配分をすべきであると考えます。しかし、それは議案第50号で問うべきものです。

以上の理由により、議案第47号に関しては賛成します。ただし、会派内には、先ほど述べたように、反対する議員もいます。

議案第47号については、マイナンバー制度に関するリスクとベネフィットについて述べたが、リスクとベネフィットを天秤にかけ、個人番号カードをつくる・つくらないということは個人の選択の自由であると述べました。しかし、議案第50号の条例改正案で規定する料金設定だと、個人番号カードを利用する市民の利便性を向上させるためのコストを、利用しない市民にも負わせていることになります。これは、要は、最近はあまり聞きませんが、市が以前よく言っていた「応益負担」の概念から大きく逸脱するものと考えます。

また、議案第47号の先ほどの討論で述べたように、この料金設定では、市が大手コンビニエンスストアなど多機能端末機を設置可能な、いわゆる「強い立場にある店舗に補助金を支払っている構図」になります。この料金設定は、市の在り方として、市税の使い道として、非常に不適切であると考えています。実際は、利便性を享受する側が、その分のコストをすべて支払うべきです。つまり、本来であれば、個人番号カードを利用する人が、発行コストの全額に相当する手数料、現状では1通当たり約1,500円分を支払うべきであると考えます。

個人番号カードの交付率を上げるために手数料を下げているといった御答弁がありましたが、それには問題があります。なぜなら、マイナンバー制度推進に係る費用というのは、国が進めている制度なので、国が全額負担すべきものと考えるからです。市はそのコストをいったん負担してもよいですが、その後、交付税などの措置によって、国からすべて返還してもらうべきであると考えます。

しかし、本会議での私の質問への答弁にあったとおり、発行に係る費用と手数料の差額に関して、国から交付税などの措置も何もないということですので、以上の理由により、手数料を不当に安く設定することには反対であるため、(議案第50号の)本条例案には反対するものです。

それ以外の会派の賛成討論はこちらをご参照ください

採決

会派名議員名第47号第50号
一人会派の会安竹洋平⭕️賛成❌反対
一人会派の会伊藤央⭕️賛成❌反対
一人会派の会橋本久雄❌反対❌反対
政和会全員⭕️賛成⭕️賛成
公明党全員⭕️賛成⭕️賛成
フォーラム小平全員⭕️賛成⭕️賛成
共産党小平市議団全員❌反対❌反対
生活者ネットワーク全員❌反対❌反対
まちづくり市民こだいら全員❌反対❌反対

賛成多数で可決しました。

賛否一覧

賛否一覧はこちらをご覧ください。