市長の所信表明
📄会議録(本会議)
新市長の小林洋子氏より、所信表明がなされました。
次のとおりです。
去る4月4日の小平市長選挙で、第6代小平市長として当選を果たすことができました小林洋子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
初めに、議員各位におかれましては、小平市の発展と市民の幸せのため、日夜御尽力されていることに対し、心から敬意を表するものでございます。
私は、このたび、市民の信任を得て、市政執行に当たる機会を与えていただきました。女性や子育て世代の方々をはじめ、多くの市民の皆様から、これまでの小林正則市政の継続とさらなる発展に向けた期待の声をいただきました。
市民の皆様の声や職員をはじめとする周囲の意見に真摯に耳を傾け、市民の代表として選ばれた議員各位や様々な立場の方々と一丸となってまちづくりを進めてまいりたいと考えております。
さて、本日は、市議会の御同意をいただきまして、私の4年間の市政運営に当たりましての所信を表明する機会をいただきましたことに感謝を申し上げます。
まず、小平市を取り巻く情勢でございますが、本市は、平成24年に市制施行50年という大きな節目を迎え、今後、市制施行100年を見据え、持続可能な自治体として歩んでいかなくてはなりません。
公共施設の老朽化に伴う更新ピークの到来や人口減少・人口構成の変化、暮らしや働き方を変えるSociety5.0時代への対応など、課題は山積しております。
そのような中、令和元年度に発生した新型コロナウイルス感染症は、瞬く間に世界中へと広がり、現在も収束のめどは立っていません。
本年1月7日に出された2回目の緊急事態宣言は、3月21日、首都圏を含め、全国的に解除されました。しかし、感染拡大の懸念や変異株の広がりを受け、緊急事態宣言に準じた対策が可能となるまん延防止等重点措置を、東京23区と多摩地域の一部を対象に4月12日から5月11日まで適用することが決められました。
小平市は対象区域ではありませんが、市内新規感染者数は、1月が280人、2月が78人、3月が120人と依然として減少には至らず、引き続き注意が必要です。
経済活動の自粛による地域経済への影響は大きく、また市民生活においては、新しい生活様式ということで3密を避けることや手洗い、換気の実践など、社会全体が大きく変化してまいりました。
ウィズコロナ、ポストコロナの時代においては、生活様式等の変化に合わせて、市民の利便性向上を目指しながら、様々な課題を解決しつつ、将来世代へ引き継ぐことのできる、安定した持続可能な地域づくりをしていくために、発想の転換やより柔軟な対応が求められます。
それでは、今後の方針を述べさせていただきます。
初めに、新型コロナウイルス感染症対策でございますが、新型コロナウイルス感染症の再度の拡大、変異株の増加など、市民の皆様におかれましては多くの不安を抱いているのではないかと思います。今後とも市民の命と暮らしを守る、徹底した新型コロナウイルス感染症対策を国や東京都と連携しながら積極的に行ってまいります。
そして、新型コロナウイルスワクチン接種の取組に対し、全庁的な職員の応援態勢を取り、市を挙げて対応してまいります。
ワクチン接種につきましては、今後順次スタートしていきますが、混乱のないよう情報提供に努め、また接種していない方や罹患者への差別が起こらないよう啓発してまいります。
このたびの選挙に当たり、市民の皆様から託していただきました87の政策につきましては、今後、私の任期4年間をかけて取り組んでまいります。これらは、私の確認団体であります笑顔咲く小平が中心となってつくった政策であり、現在、市の計画にあるものとないものなどが混在しておりますが、これを託していただいた市民の皆様の意を酌んで、その目指すべきところや思いが形になるよう取り組んでまいります。その際には、必ずしも内容をそのとおりに実現するということではなく、柔軟に対応してまいりたいと考えております。一つ一つの政策につきましては、今後、予算編成等を行う中で具体化に向けて検討してまいります。
続きまして、小平市第四次長期総合計画への取組でございますが、本年度から本計画に基づく新たな12年間のまちづくりがスタートいたします。本計画に掲げられた、つながり、共に創るまちこだいらを目指す将来像として、持続可能な地域社会をつくるため、基本目標に沿って取り組んでまいります。
初めに、基本目標1、ひとづくり、人が育ち、学び、新たな価値を創造するまちの取組といたしましては、子どもを中心に位置づけ、学校、家庭、地域が一体となり、市民や地域が連携して子どもの健やかな成長を見守っていくため、妊娠・出産期から切れ目ない支援体制をつくっていく必要がございます。
家庭は、子どもが親や家族との愛情による絆を形成し、人に対する基本的な信頼感や倫理観、自立心などを身につけていく大事な場です。しかし、核家族化が進み、乳幼児を抱えた若い夫婦が周囲から適切な支援を受けられず、特に母親が育児に対して孤立感や疲労感を抱いた場合には、産後鬱や児童虐待などの望ましくない結果を引き起こすこともあり得ます。
子育てをめぐる環境の大きな変化を踏まえ、地域社会においては、新たな支え合いや連携による子育て支援の体制の構築として、地域における妊娠期からの孤立化防止等、妊産婦やその家族を支える取組が求められます。
さらに、新型コロナウイルス感染症が流行する中で、婚姻件数、妊娠届出数は減少傾向にあると言われており、新型コロナウイルス感染症が結婚・子育て世代に与える影響を注視し、不安に寄り添いながら、安心して妊娠・出産や子育てができる環境整備に取り組んでまいります。
また、人生100年時代を見据え、生涯にわたる学びの機会の充実も行ってまいります。公民館は、学習施設としてだけでなく、地域のコミュニティーづくりの役割を担う市民協働の拠点としての機能が求められており、学習成果を地域へ還元することにつなげる取組を推進してまいります。
歴史・文化・芸術の継承と発展につきましては、特に本年、国指定史跡となった鈴木遺跡の保存と活用を図るとともに、小平市文化振興財団との連携をはじめとする取組を通して、地域における芸術の創造や情報発信を支援してまいります。
次に、基本目標2、くらしづくり、多様性を認めあい、つながり、共生するまちの取組といたしましては、お互いに尊重し、活躍できる社会の実現に向けて、男女共同参画を進め、また障害者の自立に向けた支援の充実に取り組んでまいります。
特に、男女共同参画につきましては、小平市初の女性市長ということで大きく期待されているものと捉えております。社会制度や慣行が男女のどちらか一方に不利に働くような状況や、固定的な性別役割分担意識、偏見等、また過去の差別や経緯に起因して生じた男女の置かれた社会的状況の格差の解消に取り組んでいかなくてはなりません。
市では、小平市特定事業主行動計画、HAPPYこだいらが策定されており、この策定に当たりましては、全職員のアンケートや公募の職員等による研究部会等での検討を行ってきました。このHAPPYこだいらをしっかりと進めていくためには、職員全員の意識改革が必要です。市民から大いに期待されていることを自覚し、男女共同参画を小平市役所から発信していくという気概を持って取り組んでまいります。
また、現在、第四次小平市男女共同参画推進計画の策定に取り組んでおり、この策定において、市の男女共同参画の推進のための課題の把握とその解決に向けた取組を、市民の参加をいただきながら検討してまいります。
障害者施策につきましては、本年度からスタートする小平市障がい者福祉計画等に基づき体系的に推進し、障害の有無によって分け隔てられることなく、人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目指します。ライフステージに応じた多様で一貫した支援の実現を目指し、関係機関と連携を図り、当事者の御意見も伺いながら、具体的な施策の展開を図ってまいります。
介護や生活支援の分野においては、地域の絆で支え合うため、相談支援の充実や地域包括ケアシステムの推進を図ってまいります。
自ら相談に来ることができないなど、社会から孤立した方を早期の支援につなげるため、こだいら生活相談支援センターにコミュニティソーシャルワーカーを兼ねる支援員を配置し、積極的な情報把握に努め、制度のはざまにある課題や8050問題等の地域における生活課題に対して、地域や関係団体と連携し、支え合いの活動の仕組みづくり等に取り組んでまいります。
また、高齢化が進む日本においては、家族や地域の医療機関、介護人材、地域住民等が連携し、状況に合ったサポートをすることは必須であり、介護予防ボランティアポイント事業の充実や多様な主体による見守りの輪を広げ、地域全体で高齢者を見守る仕組みづくりを進めます。
さらに、自治基本条例が目指す参加や協働を通じた市民自治を一層推進し、小平の市民活動の裾野を広げるとともに、多様な担い手が協働して自主的・主体的にまちづくりに関わるきっかけとなるような仕組みづくりに取り組んでまいります。
基本目標3、まちづくり、自然と調和した、美しく快適で、魅力あるまちの取組といたしましては、本年度からスタートする小平市第三次みどりの基本計画を本市のみどりのグランドデザインとして、プチ田舎小平の魅力である小平グリーンロードを骨格とした水や緑の憩いの空間を適切に保存してまいります。
公園については、大規模な整備が予定されており、それらについては、民間事業者のノウハウの活用なども含めた多様な整備・維持管理手法を検討してまいります。
また、同じく本年度からスタートする小平市第三次環境基本計画に基づき、環境に優しい地域社会の形成、循環型社会の形成に取り組んでまいります。
気候変動問題は、これまで主として国や企業の問題として語られてきましたが、社会システムの転換を図っていく過程においては、市民一人一人が自覚を持って、自分に何ができるかを考える必要があり、個人、家庭、地域レベルでの意識改革が重要となってまいります。地球温暖化の原因となる温室効果ガス排出を実質ゼロにする脱炭素社会の構築を目指し、地球温暖化防止のための緩和策や気候変動への適応策など、家庭や事業所で行うことのできる取組の普及に努めます。
また、ごみの減量化や再資源化を図ってまいります。
あわせて、安全で快適な市街地整備の推進として、小平市都市計画マスタープランに沿ったまちづくりを進めてまいります。
駅周辺の利便性も兼ね備えた、暮らしやすく魅力と活気にあふれたまちづくりを目指し、特に小川駅西口地区市街地再開発事業については、引き続き市街地再開発組合を支援するとともに、公共床や地下自転車駐車場等の整備を推進してまいります。また、鷹の台駅前広場の整備やたかの台本通りの無電柱化を推進いたします。
また、コロナ禍において影響を受けた地域経済の活性化を図るため、商店街や市内事業者の支援に取り組みます。
農のあるまちづくりの推進といたしましては、農地・農家の減少を防ぐため、農業後継者の育成や援農ボランティア、体験農園への支援に取り組むとともに、市役所前での農家マルシェの開催や農産加工品等の講習会などを通して、市民の農業理解を促進してまいります。
自治体経営方針の取組といたしましては、小平市第四次長期総合計画を着実に実施していくため、自治の拡大・深化、持続可能な行財政運営、ICT社会への対応、職員の力を引き出す市役所という4つが重視する視点となります。
こうした視点の下、現在策定を進めております経営方針推進プログラムに基づきまして、総合的に行財政改革に取り組んでまいります。特に自治体DX、デジタルトランスフォーメーションについては、国や東京都と連携を取りながら、市としても積極的に推進し、その中でもテレワークの実証実験、RPA等の活用による事務の効率化などの取組を早急に進めてまいります。
基本目標横断プロジェクトの1、自助・共助・公助により、防災・減災を強化しますの取組でございますが、防災・減災は、私が市議会議員時代よりずっと取り組んできたテーマでございます。
これから整備を進める大規模公園における防災機能の検討など、ハード面での取組を進めるとともに、海や山がない小平においては、市民の防災・減災への意識をどのように高めていくかが課題であり、自主防災組織の結成促進や活動の支援、また避難所開設準備委員会を早期に全ての小・中学校で立ち上げられるよう支援を強化するなど、意識の引上げに努めます。
そして、基本目標横断プロジェクト2、新たな地域拠点とコミュニティの創出に取り組みますの取組でございますが、これからの地域における様々な課題解決には、行政だけでなく、地域コミュニティーやNPO団体、事業者など、多様な主体が連携・協働することが欠かせず、公共空間を支える担い手をいかに育て、ネットワーク化していくかが課題になります。
また、地域の課題解決に当たっては、企業や大学、アクティブシニアなど、多様な地域資源から専門知識やノウハウの提供を受け、連携をしながら取り組む必要があり、住民に身近な基礎自治体である市が、当事者意識の醸成や立ち上げ支援などに関わっていくことが重要であると考えます。
このような背景を踏まえ、市では引き続き、地域における多様な担い手の育成や支援を行うとともに、公共施設マネジメントの視点も踏まえながら、地域における多様な担い手が世代を超えて集まり、交流してネットワークを形成し、活発に活動することのできる新たな拠点づくりを推進するなど、市民の皆様とともに豊かな地域コミュニティーの創出に取り組んでまいります。
終わりに、このたびの新型コロナウイルス感染症を契機として、新しい生活様式の導入など、これまで私たちが当たり前として考えてきた価値観や生活観にも変化が生じております。
こうした社会が大きく変化しつつある時代において、私は、市政運営を担う責任者として、大好きな生まれ育ったまち小平をさらに発展させ、未来に引き継いでいく責任がございます。今やらなければならないことはもとより、中・長期的な課題にも真摯に向き合い、10年先、また50年先の市制施行100周年を見据えた持続可能なまちづくりに、先頭に立って取り組んでまいります。
議員各位をはじめ、市民の皆様の御理解と御協力をいただくとともに、国や東京都など関係機関との連携を深め、応援もいただきながら、市民に寄り添った施策を職員とともに全力で推進してまいります。
議員各位におかれましては、御指導とお力添えをいただきますよう心からお願い申し上げまして、私の所信表明とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。