議員提出議案第29号 小平市廃棄物の減量及び処理に関する条例の一部を改正する条例制定について

環境建設委員会付託

📄会議録(初日委員会6月定例会初日・撤回

ポイント

  • ごみの手数料を、燃やすごみと燃やさないごみは1リットル2円から1円にし、プラスチック製容器包装は無料とするもの
  • コロナ禍でごみ量が増え、市民の負担が増えていることから、負担を減らすため
  • 当会派も賛成しており、幹事長の伊藤央議員が提出者に入っています
  • 継続審査となり、6月定例会初日に撤回(取り下げ)されました

⭕️ 私(安竹洋平)の判断:賛成

私はそもそも「ごみ袋の有料化は不要」という立場のため、賛成です。

ごみの収集は本来税金に含まれているものなので、有料ごみ袋は税金の二重徴収になります。その分税金を減らすなら分かりますが、していないため、実質的な増税です。「ごみを減らす」という美辞麗句の裏で、そういうインチキをすることは信用なりません。

また、昔と違い、焼却炉の性能が向上している現代では、「燃やせるものは燃やした方が環境にもよく、社会全体の総コストが下がる」という意見もあります。リサイクルするためには、新たにエネルギーを投入したり、人的資源も必要です。人の手による分別は、雇用を生み出すというよい面もありますが、実際の残渣は焼却されます。プラスチックのリサイクルも、サーマルリサイクルといって結局は燃やされている部分が大半です。焼却炉の設計や性能によりますが「ごみを細かく分別する必要性」について再点検する必要があると考えています。新設備も、そういった観点にも一部対応できると思われる能力があるようです。焼却しても問題のないものを焼却するようにすれば、処理できるごみの総量も増えるはずです。環境のためにも、市民の負担を減らすという意味でも、ごみ処理施設については、既存の設備計画の範疇でよいので、洗い直した方がよいと考えています。

なお、これまで調べてきたことから判断すると、ごみ焼却施設には「過大」な投資が行われ、市民の福祉を悪化させていると考えています。

ごみ処理のことは改善の余地が大きいと思っていますので、機会をみてまとめたいと思います。

参考:プラスチックを取り巻く国内外の状況

提出者代表議員の説明

比留間洋一(政和会)

このたび新型コロナウイルス感染症により、令和2年3月より市民生活が逼迫し、自宅での自粛生活を強いられる事態となりました。このため自宅から排出されるごみの量が令和2年4月から9月までと令和元年同月を比較すると、可燃ごみは1万3,250トンから1万4,323トンと約8.1%の増加、不燃ごみは650トンから941トンと約44%、プラスチック製容器包装では1,086トンから1,149トンと約5.8%の増加となりました。現在も収集ごみの排出量は、昨年よりも10%弱増加しております。

これは市の負担となりますが、市民の負担ともなっております。新型コロナウイルス感染症によりまだまだ自粛生活が続き、経済活動も制限され、市民の収入が減少し、外出自粛生活が続く中、今まさに市民生活を送ることに御苦労されている各家庭の負担を減らすことが、市政の役目ではないでしょうか。

そのために市民の暮らしを守り応援するために、可燃・不燃ごみの指定収集袋の価格を半額に、プラスチック製容器包装の指定収集袋の価格を無料にすることを提案しまして、議員提出議案第29号、小平市廃棄物の減量及び処理に関する条例の一部を改正する条例制定についてを提案いたします。

議案

小平市廃棄物の減量及び処理に関する条例の一部を改正する条例制定について

小平市廃棄物の減量及び処理に関する条例の一部を・改正する条例を別紙のとおり制定するものとする。

令和3年2月19日提出

提出者 小平市議会議員 比留間洋一
小平市議会議員 伊藤央
小平市議会議員 細谷正

小平市廃棄物の減量及び処理に関する条例の一部を改正する条例

小平市廃棄物の減量及び処理に関する条例(平成4年条例第25号)の一部を次のように改正する。

別表家庭廃棄物(第32条の2第1項の規定により排出するものに限る。)の項手数料の欄を次のように改める。

燃やすごみ及び燃やさないごみ

1リットルにつき1円

附則

この条例は、公布の日から施行する。

主な質疑

これは要約ですので、正確な質疑内容は会議録をご参照ください。なお、質問の意図を分かりやすく簡潔にするため、議員の質問に関しては、ほとんどの部分で大幅に手を加えています。また、簡略化のため、市民、議員、理事者側(市役所側)の発言から、敬語表現の多くを省いています。実際は、特に理事者側のすべての答弁は、市民に対する敬語表現でなされています。

なし

総務委員会には、一人会派の会から、橋本久雄議員が総務委員として参加しました。私の質問も託しています。

同僚議員からは、趣旨とは関係のない、イヤミな質問が多い印象でした。詳細は会議録をご覧ください。

有料化して2年で減額し生活困窮などに対応しようとする理由は

コロナ禍での経済対策や困窮対策として、まだ有料化して2年も経たない手数料・指定収集袋の減額で、生活困窮などに対応しようとする理由は。

政和会は、コロナ対策に関する補正予算に対して、異議を唱え、いろいろ手を打つように提案してきたが、その案が全部否決されている。そのためひとつでも通る意見を出そうかということで、市民のためになることを考えて、早急に行うことを考え、今回出した。

補正予算で、ごみの指定収集袋の無料化は提案していたか。

していない。

他市の例は

他市の例として、たとえばごみ袋を配るとか、ごみ袋の無料引換券を配布するところがあったかと思うが。認識は。

調布市、立川市、武蔵野市などでは、プラスチック回収袋は無料。小平市でも可能だと考える。

記載漏れがあるなら取り下げるべきでは

この条例に記載するべきだったことを記載漏れだったという答弁があった。そうであれば、提出としては不完全で、取下げの意思があるか。

取り下げの考えはない。

コロナで昨年より家庭ごみが増加傾向。家庭ごみ有料化・戸別収集に移行してようやく2年、市民にも定着してきた。

このような状況で、家庭ごみの廃棄物手数料を減じること等は、さまざまな観点から影響が大きい。6点ある。

理事者が示す、廃棄物手数料を減らした際の課題

1. 広域支援で、受託拒否されるかも

1点目は広域支援の点。

小平・村山・大和(小村大)衛生組合の3号炉の解体更新工事に伴い、近隣へのごみ処理支援の委託が本年4月から開始される。このような状況下で委託する立場の小平市が、ごみ量増加の懸念のある施策を打ち出すことは、委託先の自治体およびその住民にも影響を及ぼすことになり、理解を得ることは非常に困難。このことで、受託拒否等の判断がなされた場合、小平市および東大和市、武蔵村山市のごみ処理が滞ることも考えられる。

2. 事業者に大きな影響が出るなど、相当時間がかかる

2点目は、制度移行や条例等の改正には、多くの時間が必要という点。

今回提案された条例改正を行うには、ほかの条文や規則の改正も必要。市民への周知も必要で、大きな混乱を招くおそれがあるほか、購入済みの指定収集袋の活用方法も示す必要がある。

指定収集袋を製造している事業者、販売している各事業者、受注を委託している小平商工会にも事前に説明し、了解を得る必要がある。

指定収集袋の販売利益が主な収入源となっている事業者に対しては、多大な影響を及ぼす。これらのことから、制度移行には相当な時間が必要であると考える。

🕵 ごみ袋有料化が、本来の目的から逸脱している?

販売利益が主な収入源となっている事業者とはどういう事業者を指すのか分かりませんでしたが、もしそのような事業者が存在する仕組みを前提に有料化を決めたのであれば、それはそのときに制度設計をした市の過失です。政策判断で変わる可能性が高いことなのに、永続的に続くことを前提に制度設計をしてしまっているからです。

また、仮に、「ごみ袋の販売利益を事業者の収入源にしてもらうこと」が、ごみ袋有料化の理由のひとつであれば、それも問題です。市民全体が、一部の事業者に対して「助成金を払っている」構図になります。助成金というのは、「災害等のやむを得ない事情で一時的に困窮する事業者」や「創業して間もない事業者」などに対し、セーフティネットとして支給するものであり、特に理由がない事業者においそれと出してよいものではありません。

ここは問題があるように思います。機会をみつけて追及します。

3. 今後の更新工事で混乱を招く恐れがある

3点目は、小村大和衛生組合における新焼却施設の更新に影響を与える点。

現在工事中の新焼却施設、焼却炉の規模は、整備に莫大な費用がかかることから、できるだけ小さい規模での建設が求められており、全体の2分の1以上の搬入量を占める小平市の家庭ごみ有料化による削減効果を見込んで決定した。このため、ごみ量が増加する懸念がある施策を、構成市の十分な理解がない中で進めることは、今後の更新工事において混乱を招くおそれがある。

これも、分別方法、焼却するもの等の見直しですぐに解決する可能性があります。

4. 市民意見徴収や現状分析のプロセスを経てない

4点目は、市民意見聴取や現状分析といったプロセスを経ていない点。

令和5年度を始まりとする次期『一般廃棄物処理基本計画』の策定に向け、小平市廃棄物減量等推進審議会にて協議していくが、その中でごみ処理手数料については、ごみ組成分析による分別状況の検討や、減量持続効果等を分析したうえで検討することになると考えている。

当審議会は、日ごろからごみ減量に対して意識の高い市民公募委員が審議会委員の半数以上おり、このほか学識経験者や市内事業者で構成され、そこでの審議を踏まえたうえで検討していく必要があると考えている。

5. 分別の徹底が不十分

5点目は、分別の徹底がまだ十分ではないという点。

プラスチック製容器包装の分別不適正の割合は、最新の組成分析では20%以上。

分別が大幅に改善したとは言い難く、無料とすることで、さらに分別の徹底が難しくなると考える。

また、不適物が増加した場合、搬入先のスリーハーモニーにおいて、手作業による分別作業が増加し、コスト増にもつながる。

このため、小平市だけでなく、東大和市、武蔵村山市にも影響を与えることに留意する必要がある。

6. 歳入が減少する

6点目として、歳入が減少する点。

燃やすごみ、燃やせないごみを半額、プラスチック製容器包装を無償とした場合、市に与える影響額は、令和元年度決算からの推計では約3億円程度の減となる。

そのほか、ごみ量が増加した場合には、翌々年度以降の小村大衛生組合および他の広域資源循環組合の分担金の増加が見込まれる。このため、今後の市全体の政策にも大きな影響を及ぼすおそれがある。

なお、他の広域資源循環組合の分担金については、令和元年度の家庭ごみ有料化に伴うごみ減量などの理由により、令和3年度は前年度に比べおおよそ8,900万円ほどの減額となったところで、これが再び増額となる可能性もある。

以上のことなどから、今回提出された条例案を実施する場合、小平市のみならず、広域支援をお願いする各市、小村大衛生組合を構成する東大和市および武蔵村山市にも大きな影響と混乱を与えることになると考える。さらには、市民や関連事業者などにも大きな影響と混乱を及ぼすことが考えられる。

受託拒否の例はあるか

受託拒否の例はあるか。

小金井市の例等ある。

時間はどれくらいかかるか

時間がかかると言ったが、どれくらいかかるか。

現段階ではなんとも言えないが、導入に2年ほどかけたので同程度の時間かと。

プラスチック製容器包装が有料の理由は

プラスチック製容器包装が有料の理由は。

近年、生活様式の変更によって、ごみとして出される量が増えてきた。資源化しても売却金額が少なく、その割には収集、運搬にかかる費用が増えてくる。

減らしていく施策が何か必要であるということは、日本全国的にもそのような状況のため、あえてほかの資源と区別をつけて、金額をいただくことで、ごみの量を減らすような施策を取っていこうということで有料としている。

燃やせるものは、燃やせばよいのでは。

リットル当たり2円の妥当性は

リットル当たり2円は妥当と思うか。

何とも言えないが、リットル当たり3円としている市もある。小平市より少ない金額としているところもある。東京都は、物価等、他地域と比べられないような部分もあるので、多摩地域の中で比べるのが妥当と考えている。今は燃やすごみ、燃やさないごみをリットル当たり2円、プラスチック製容器包装を1円にするところが主流。

ごみ袋の値下げを検討する条件は

ごみ袋の値下げを検討する条件は。

分別の徹底と安定したごみの減少。一般廃棄物処理基本計画の中でごみの数値目標がある。そこをクリアして、安定的にそれが継続できるようになれば、値下げに対しても前向きに考えてもよいと考えている。

このやり方には以前から非常に違和感があります

税金でごみ処理すべきでは

法律では市町村の廃棄物の運搬処理は行政事務。税金で家庭ごみを処理するのが義務とされている。見解は。

地方自治法第227条第1項で、普通地方公共団体は、当該普通地方公共団体の事務で特定の者のためにするものについては、手数料が徴収できることになっている。家庭ごみ有料化については問題ないと考えている。

付託委員会での取り扱い

継続審査の申し出があり、次の結果により「継続審査」となりました。

  • 政和会:採決
  • 公明党:継続
  • フォーラム小平:継続
  • 生活者ネット:継続

本会議での主なやり取り

継続審査となったため、本会議での討論・採決はありませんでした。

賛否一覧

継続審査となったため、賛否はありません。

可決が見込めないことなどから、6月定例会初日に撤回(取り下げ)がなされています。

そのほかの議案に対する賛否一覧はこちらをご覧ください。