議案第19号 訴えの提起について

即決

📄会議録(初日

ポイント

  • 学童クラブ指定管理料の過払い分について、事業者に不当利得返還請求の訴えをするもの
  • 市の過誤で過払いしていた消費税増税分を事業者が返還に応じないことから訴えに発展

⭕️ 私(安竹洋平)の判断:賛成

この件については昨年12月にワーカーズコープの方々からお話を伺い、レポートにまとめました。市の対応について次の懸念や問題点はあるものの、市の税金を守る立場の一議員としては「すぐにでもお金を返していただきたい」と判断しているため、賛成しました。

  • 収支計画書や決算報告書といった書類の確認や事前説明がしっかりなされていない
  • 事業者に誠意ある対応をしてきたかが怪しい
  • そもそも人的リソースが足りていないために起きている問題ではないのか

* 賛成理由(⭕️)、反対理由(❌)、疑義・現実対応等(⚠️)などから総合的に判断しています。

提案理由の説明

(小林正則市長)

本案は、特定非営利活動法人ワーカーズコープを相手方として、東京地方裁判所立川支部に不当利得返還請求の訴えを提起するものです。

事件の内容ですが、市が支払った平成26年度分から平成29年度分までの学童クラブの指定管理料について、消費税、及び地方消費税にかかる過払い分の返還を求めるものです。

訴訟関係手続につきましては、訴訟代理人として弁護士に委任し、対応してまいりたいと存じます。

概要

令和2年12月定例会の議案第95号から第97号「小平市立学童クラブの指定管理者の指定について」で、ワーカーズコープの方からご相談を受けたことで、「市が消費税過払いをしており、その返還が進んでいない」事実が明らかになりました。その件について、今回、市が訴訟を起こすというものです。

私は、ワーカーズコープの方に伺った話をレポートをまとめ、令和2年12月定例会での審議前に各委員に配りました。そのほか希望した議員にも渡しています。このレポートから下にまとめを抜粋します(私の個人的見解です)。

私としては、小平市の過失自体やその後の対応に問題はあるものの、ワーカーズコープの方が税務署へ修正申告をしていただければ、すぐに返してもらえるはずのお金であることから、小平市の一議員として、当然のことながら、「大切な市民のお金をすぐにでも返してください」という考えでいます。小平市が抱える問題は、別途追求していく必要があります。


【小平市の問題】

  • 第二種社会福祉事業である学童クラブの指定管理委託にかかる経費について、非課税であるという基本的事項を知らなかったこと、収支計画書に消費税を記載させて事業者に提出させていたこと、さらにその収支計画書にしたがって指定管理料を支払っていたことは、大きな過失である。条文は分かりにくい(消費税法第十六条?)など理由はあったかもしれず、ほかの自治体でも同様な例があるとはいえ、事業執行上最も基本的な事項であり、事前に国税庁等に問い合わせるべきものである。市税を預かる者の態度として、極めて問題である。
  • また、毎年の決算報告書を見れば、支払った消費税が事業に使われていることは分かる。数年に渡りこれを指摘してこなかったことも大きな問題である。会計のチェックがなされていなかったと言わざるを得ない。
  • 小平市は、ほかの3事業者にも同様な過払いをしていたとしている。学童クラブ指定管理委託以外にも、(社会福祉法第二条に規定されている事業に関し)同様の過失が起きていたのではないか。確認が必要である。
  • 自らのミスが原因で過払いしたにもかかわらず、一度、事業者に遅延利息を内容証明で要求している。返還要求を通知するより前に、事業者への謝罪等はあったのか。事業者に対して、誠意は足りていたのか。無用な軋轢を生んでいないか。
  • 平成23年度から25年度分と平成26年度から27年度分の消費税増分3%?については(協定書に消費税の記載がないため)、法廷に持ち込んだとしてもワーカーズコープには返還の義務がないと判断される可能性があり、その分は損失となる。また、弁護士費用もかかる。これらの損失に対し、市民や議員に対し、どう説明を行っていくか。

【ワーカーズコープの問題】

  • ワーカーズコープは、非課税事業であることを知りながら、収支計画書に消費税を記載する際や、指定管理料を受け取る際に、小平市にその点を指摘しなかったようだ。大きな金額の契約であり、齟齬がないように確認等を行うべきであった。ただしこれはほかの3事業者も同様であり、指摘できる状況ではなかった可能性もある。
  • 平成26年度以降、ワーカーズコープは収支計画書で消費税を分けて記載しており、小平市からはその消費税分も加えられた満額が指定管理料として支給されている。そのため、ワーカーズコープは「消費税分も支給されている」と認識していたはずである。であるならば、まず、消費税分も含めて支給されていることはおかしいと考え、市に確認するべきであった。
  • 一方、(状況から客観的には考えにくいものの)もしワーカーズコープがその消費税分を「消費税として支給されたのではなく、事業費として支給されていた」と考えていたのであれば、「事業費が特に何の理由もなく増額されて支給された」ことになる。普通に考えれば、その時点でおかしいと感じ、少なくとも増額の理由を小平市に確認すべきであった。そういった確認がなかった以上「消費税分であることを知りながら事業に使用した」とみなされても仕方がないところがある。また、仮に「増額分は、計画していた以上のサービスを提供するために使用した」としても、その増額分が何に使われたかを決算報告書から見ると([3. 収支計画書について]の表に示したとおり)、人件費等ではなく(むしろ人件費は計画書から減額となっている年が多い)、主に「その他の支出」に充てられている。「その他の支出」として主なものは、間接経費等(本部管理費)と実質収益である。実質収益の平成26年度から29年度までの合計は約1,296万円あり、また、間接経費等(本部管理費)の同期間の合計は約2,168万円ある。つまり、もし、「増額分は計画していた以上のサービスを提供するために使用した」ということだとしても、実質収益の部分はサービスの提供に使用していないことになるし、間接経費等の内容についても、事前に小平市が想定していた内容ではない可能性があり、少なくともその内訳は知らせる必要があると考える。

【現時点での、安竹の判断(令和2年12月5日)】

  • 消費税問題については、以上の理由から、小平市に大きな過失はあるものの、客観的に判断すれば、それをもってワーカーズコープが消費税分を返還しない理由にはならないと判断する。小平市が消費税の全額返還を要求することは(誠意の問題はあるものの)、市として正しい行為と判断する。
  • また、小平市の一議員として、市民からお預かりしている大切な税金は守らなければならないという立場であることからも、市の過払い分は回収する必要があると考える。
  • また、ワーカーズコープが仮に「消費税の過払い分は、事業に使用する分として支給されていた」と考えていたとしても、その消費税分がどこに使用されたかの内訳をみると疑問を感じるところがある。小平市在住の職員に追加の給料が払われるといったことであるならまだしも、人件費は計画より削減されており、主に間接経費・本部管理費として市外に流出する(と思われる)分に使われている。市の資産を守る立場として、これは看過できない点となる。
  • なお、消費税を事業費と合わせて確定申告していたとしても、消費税を分けた会計にし、修正申告することで、支払消費税の分は戻ってくると思われる。

主な質疑

これは要約ですので、正確な質疑内容は会議録をご参照ください。なお、質問の意図を分かりやすく簡潔にするため、議員の質問に関しては、ほとんどの部分で大幅に手を加えています。また、簡略化のため、市民、議員、理事者側(市役所側)の発言から、敬語表現の多くを省いています。実際は、特に理事者側のすべての答弁は、市民に対する敬語表現でなされています。

小平市の責任でもある。再発防止策は

これは小平市の責任もある。チェックできていなかった。どうしたら今後こういうことが起きなくなるか。

市としてもこの問題を重くとらえている。全庁的に、ほかの社会福祉事業ということで、全庁で注意喚起をして調べた。

相手方に返還をお願いしてから3年が経過し、訴えの提起ということになった。そこに至るまでは弁護士等と相談し、改めて詳細な調査をし、弁護士の助言を受け、専門的な観点から証拠資料の収集等をしている。そこであらためて分かったこと、気付いたことがある、今後全庁で共有し、再発防止に取り組みたい。

ほかの部署・事業でも過払い事例があったか

ほかの事業でも第二種福祉事業が課税事業かを全庁的に調べたと言ったが、過払いはあったか。

ほかに3事業の4事業者で同様な事案があった。これらは、すでに平成29年度と30年度に返還してもらい、決算に計上している。

  1. 学童クラブ事業
    今回返還を請求している相手方ではない事業者。
    平成26年度から29年度分で約860万円
  2. 児童館事業
    平成25年度から29年度分で約430万円
  3. 病児・病後児保育事業
    2事業者と業務委託契約を締結している。
    平成27年度から29年度分で約730万円

以上はすべて返還していただいている。平成29年度、30年度の決算に計上し、決算書の雑入で、返還金として計上している。

問題を把握した平成29年度のところで、その分を、当該年度分の協定額や委託金額を変更し、減額させてもらったりという対応をしているので、市の歳入に入る処理となっている。

過払い分の回収費用はどう扱うか

返還のコスト、回収費用はどう扱われるか。

事業者の側に、納税した分を返してもらう手数として、税理士に依頼などはあると思うが、市の方では回収にかかった費用はない。

再発防止策が整った時点でちゃんと説明があるか

今後全庁的に共有していくと言ったが、その時点で議員に説明があるか。

人間誰しも間違えはある。もし責任を問うなら市長。再発しないようにすることが必要で、再発防止策も、議員が確認するプロセスが必要。訴訟の後でもよいが、そのプロセスは考えられているか。

再発防止に関し、議員の方々には話せないこともあるが、判決が出た後は報告し、説明する。

職員はいろいろなことに精通しなければならない。担当業務、法令、それ以外の契約等を間違いなく執行するには、所管管理部門の支援を受ける必要もある。

細かなところではなく、大きな仕組みとして、どういったことが必要かを全庁で考えていかなければいけない。

訴訟費用の額と、どこの負担になるか

訴訟費用はどれくらいで、どこの負担になるか。その分が市民の損失になるが。

訴訟遂行の方針として、訴訟費用は相手方の負担とする。

裁判例では、訴訟費用には弁護士の委任費用は含まず、裁判の手数料としての印紙代といったところなので、弁護士の費用は市が負担する。

着手金としてだいたい100万円弱。成功報酬として、得られた額の10%ほど。 市は、いま考えられる最大限の額で請求する。利息は本日までの利息なので、支払ってもらえることになったとき、支払期日までの利息として積み上げられるため、変動はあると考えている。そのため、成功報酬がどれくらいになるかは見えない。

国家賠償法の1条に規定があるように、地方公共団体がその責任を負うことになっている。 故意または重過失であればまた変わってくるが、それは裁判所で認定となるので、詳細については言及できない。

🕵 職員による損害は、重過失でなければ、国や自治体が責任をもつ

答弁のとおり、国家賠償法に、次のように定められています。

国家賠償法 第一条

1 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。

2 前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。

情報提供が遅い。速やかにすれば再発防止にもつながるが、どうか

この事件にかかわらず、いろいろなことで情報提供が遅い。悪く見れば、隠ぺい体質と感じられる。情報提供は速やかにするべきで、再発防止にもつながると考える。どうか。

当初平成29年度末ごろ問題を把握した。ほかの事業者は比較的速やかに返してもらえた。

一事業者で、折り合わない、主張が根本から食い違うというところで2年間話し合いを続けてきた。できれば話し合いで解決したいと。(当該事業者は)ほかにも事業展開をしていて、同じような問題を抱えているのではないかという予測もあり、(当該)事業者への配慮、そうったものをこちらとしては重くとらえていた状況もあった。3年間経過したことは申し訳ないと思っていた。

訴訟になる前に弁護士どうしの話し合いをすべきでは

訴訟に至る前に、相手方と弁護士どうしの話し合いの場を設けることはできなかったか。

事業者側からそういう話もあったが、相手側と市とで目指す解決策が折り合わない。

相手方は、示談に近いような、「双方妥協する金額で」という話だった。市としては妥協する話ではなく、どちらのどの主張が正しく、どの金額がきちんとした根拠のある金額かを定めなければ、税金なので妥協できない。法務の担当部署からも弁護士どうしの話し合いはできないという見解をもらっている。市の主張としては、不当利得と言っている。

このまま話し合いでの解決ができないと、法的措置に移行せざるを得ないということを、何度となく伝えてきた。相手方は、当初から返還する意思はないと主張しており、幹部からも裁判所に決めてもらうのがよいと申し出を受けたこともある。訴訟に関しては相手方も見据えていたと考える。

顧問弁護士はどう選ばれたか

顧問弁護士はどういうプロセスで選定されたか。

顧問弁護士は現在2名に依頼している。市の行政等の事務にある程度精通された方ということで選んでいる。

本会議での主なやり取り

討論

なし

採決

全議員が賛成⭕️

賛否一覧

賛否一覧はこちらをご覧ください。