議案第56号 令和2年度小平市一般会計歳入歳出決算の認定について

一般会計決算特別委員会付託

📄会議録(最終日委員会(別記)|12月定例会初日
委員会1

ポイント

  • 令和2年度一般会計決算の認定
  • 一般会計が予算どおりに執行されたか等について、3日間をかけて審議
  • 予算どおり執行されていたとしても、事業に問題があれば反対します
  • なお、この決算が否決されたとしても、市民の福祉に及ぶ悪影響は特にありません
  • 一人会派の会、政和会、まちづくり市民こだいらが反対しましたが、それ以外の会派議員が賛成したため、賛成多数で可決しました

❌ 私(安竹洋平)の判断:反対

主に次の理由から反対しました。

  • ギャンブル性を有するキャッシュレスポイント事業の穴埋めのために、教育費として確保していた8,000万円を流用した(9月一般質問でも追求しました
  • オリンピック・パラリンピック子ども夢・未来基金に、貴重な資金を固定した
  • コロナ禍に対応する施策が乏しく、将来に向けたストックへの投資がほぼなかった
  • 人員配置の適正化が進まなかった

提案理由の説明

(小林洋子市長)

ただいま上程されました議案第56号につきまして説明を申し上げます。

昨年は、急速に拡大した新型コロナウイルス感染症の影響を受け続けた1年であったと言えます。私たちの命を脅かす新型コロナウイルス感染症は世界的に蔓延し、当たり前の日常を奪い、経済活動にも大きな打撃を与えております。

小平市におきましても、市立小・中学校の臨時休業や公共施設の臨時休館、また、小平市民まつりなどの催しの中止など、市民生活にも様々な影響が及ぶこととなりました。このような中、緊急に対応する必要が出てきた事業につきましては、当初予算後に10回の補正予算を組み、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐとともに、市民生活や市内の事業活動の支援などに取り組んでまいりました。

また、来るべき新たな時代を見据えながら、小平市が目指す12年後の町の姿を定めた小平市第四次長期総合計画を市民の皆様と共に策定いたしました。

それでは、決算の概要につきまして説明を申し上げます。

初めに、歳入でございますが、市の財政の根幹をなす市税につきましては、個人市民税や固定資産税は増となりましたが、法人市民税が大きく減となり、4年ぶりに前年度を下回る結果となりました。

次に、歳出でございますが、昨年度に実施いたしました事業の内容につきまして、小平市第三次長期総合計画の五つの体系に沿って、以下説明を申し上げます。

最初に、安全・安心で、いきいきとしたまちをめざしてでは、安全・安心の分野として、小平市地域防災計画の修正に着手するとともに、ブロック塀撤去費用の補助、災害時の被災者用備蓄の整備、防災行政無線のデジタル化改修などを引き続き計画的に進めたほか、防犯対策の充実として、自治会の防犯カメラ設置に対する補助や、特殊詐欺等の被害防止対策を実施いたしました。

文化施策といたしましては、市民文化会館の利用環境を向上させるための設備改修を行ったほか、旧石器時代の貴重な遺跡である鈴木遺跡の国指定史跡化を達成し、その記念展示や周知事業を実施いたしました。

次に、快適で、ほんわかとするまちをめざしてでは、小平市第三次環境基本計画、小平市第三次みどりの基本計画の策定を行ったほか、特別緑地保全地区用地の取得や、鎌倉公園、鷹の台公園、武蔵公園の整備に向けた取組など、積極的に町の緑の維持・保全を図るとともに、地下水の活用による流水再生に向けた用水路の整備に着手いたしました。

また、地球環境に配慮した取組として、省エネルギー・創エネルギーを推進するとともに、ESCO事業を活用した小・中学校の照明のLED化や、食物資源の資源化推進事業の拡充を実施いたしました。

次に、健康で、はつらつとしたまちをめざしてでは、次世代育成の分野として、保育園の待機児童の解消を図るため、私立認可保育園を1園開設したほか、新たに令和3年度の1園の新設に向けて補助を行うなど、定員の拡充を図りました。

学童クラブにつきましては、令和3年度の4クラブの新規開設に向けて新設工事を進めるとともに、多様なニーズへの対応策として、民設民営の学童クラブに対する補助制度を創設したほか、子ども広場につきましては開設日を拡充いたしました。

また、健康センターに子育て世代包括支援センターを開設し、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援に努めたほか、独り親家庭及び生活困窮者家庭の子どもを対象に、デジタル教材を導入した学習支援を行い、困難を抱える子どもへの支援の充実に努めました。

健康づくりの分野では、こだいら健康ポイント事業により、生活習慣の改善や健康維持のサポートを進めました。

また、地域密着型介護サービス事業所の開設準備経費の補助のほか、令和4年度の児童発達支援センター開設に向けて、たいよう福祉センターの改修及び増築工事の設計を進めるとともに、障害者グループホームの増設により、高齢者や障害者が身近な地域で安心して暮らせる施策を充実いたしました。

教育及び生涯学習の分野では、小・中学校におけるGIGAスクール構想の実現に向けた1人1台の端末や電源キャビネットの整備、ネットワークの構築のほか、学校における働き方改革の取組として、副校長の業務を補佐する職員や中学校部活動指導員の配置の拡充を進めました。

より安全で良好な教育環境の整備として、小学校の増築工事や大規模改造工事等の施設整備を進めるとともに、令和3年度の供用開始に向けて、花小金井南中学校地域開放型体育館を建設いたしました。

また、地域と学校の連携・協働の取組として、引き続きコミュニティスクール導入校を拡充したほか、特別支援教育の充実に向けて、小平市特別支援教育総合推進計画の改定を行うとともに、令和3年度の市内全中学校での特別支援教室の開始に向けた整備を進めてまいりました。

次に、住みやすく、希望のあるまちをめざしてでは、駅前の利便性、安全性の向上やにぎわいの創出など、将来を見据えた都市基盤整備として、小川駅・小平駅における駅前再開発事業、鷹の台駅前広場用地整備、都市計画道路整備などを進めるとともに、市の南西部地域におけるコミュニティタクシーの実証実験運行などに取り組みました。

産業の分野では、果樹農家の生産基盤の強化、農地の防災機能の強化、農地の創出、市内で5か所目となる体験農園の開設準備のほか、商業振興、観光まちづくりの取組などを支援してまいりました。

終わりに、健全で、進化するまちをめざしてでは、令和3年度以降のまちづくりの指針となる小平市第四次長期総合計画を、様々な形で市民の皆様の声を集め、意見をいただきながら策定し、計画を広く周知するためにシンポジウムを開催いたしました。

また、課税事務の一部にRPA、AI-OCRを導入するとともに、住民情報システムの自治体クラウド化による再構築を進めたほか、公共施設マネジメントの取組を推進してまいりました。

以上が主要な事業の取組概要でございますが、新型コロナウイルス感染症対策として取組を行ってまいりました内容につきまして、主なものを御説明いたします。

生活支援といたしましては、特別定額給付金給付事業、子育て世帯への臨時特別給付金事業、ひとり親世帯臨時特別給付金事業、住居確保給付金の増額、育児パッケージの追加配布、児童養護施設等退所者支援給付金などを実施してまいりました。

経営支援といたしましては、事業者向け感染防止徹底協力金や家賃支援のほか、キャッシュレス購入へのポイント付与、小平商工会による歳末・年始キャンペーンへの補助、こだいら観光まちづくり協会による市内飲食店等支援事業への補助などの市内店舗等への支援に努めました。

また、介護事業所、障害事業所、民間保育園、幼稚園等の市内福祉事業者や市内清掃事業者のほか、公立昭和病院、市民総合体育館指定管理者、多摩六都科学館、コミュニティバス、コミュニティタクシー、小・中学校給食食材補償などへの支援も行ってまいりました。

新しい生活様式への対応といたしましては、証明書のコンビニ交付サービス導入に向けたシステム構築、都市計画・建築行政・道路管理に係る地図情報のインターネット公開、小学校移動教室でのバスの増配置などの3密対策や、避難所の衛生環境を保つための災害時備蓄品の整備、PCR検査センターの設置補助などのほか、公共施設における感染拡大防止対策に取り組んでまいりました。

このほか、新型コロナウイルスワクチン接種に向けた準備を進めてまいりました。

次に、決算の概況でございますが、歳入総額は933億673万5,000円、歳出総額は898億5,262万9,000円で、翌年度へ繰り越すべき財源を差し引いた実質収支は31億5,407万7,000円となりました。

財政指標に沿って申し上げますと、財政力の強さを示す財政力指数は、単年度では0.960と前年度より0.012ポイント下落しております。3年度平均では0.968と前年度に比べ0.005ポイント下落しており、11年連続で普通交付税の交付団体となっております。

財政構造の弾力性を示す経常収支比率は91.0%で、前年度に比べ2.7ポイント改善しております。

財政健全化判断比率の一つである実質公債費比率につきましては、2.0%で、前年度に比べ0.3ポイント上昇しております。

また、地方債の現在高は257億1,958万8,000円となり、前年度末と比較して1億5,761万2,000円増加しております。

基金の残高は、総額で114億7,047万1,000円となり、前年度末と比較して2億6,596万9,000円増加しております。

このように、各種財政指標におきましては、一部に改善傾向も見られますが、市税収入が4年ぶりに前年度を下回るとともに、地方債現在高が16年ぶりに前年度を上回るなど、非常に厳しい財政運営が続いております。このような状況の中で、市民の暮らしを支えるため、真に必要とされる事業をしっかりと進めるために、今後も財政調整基金残高の確保に努めるとともに、選択と集中の取組を推進し、持続可能な財政運営に努めてまいります。

以上が、令和2年度の一般会計歳入歳出決算の概要でございますが、詳細につきましては、決算書及び決算附属書類を御参照いただきたいと存じます。

また、本案をはじめ各会計につきましては、既に監査委員の審査を受けておりますので、監査委員の意見書を添えまして提案するものでございます。

資料

主な質疑

これは要約ですので、正確な質疑内容は会議録をご参照ください。なお、質問の意図を分かりやすく簡潔にするため、議員の質問に関しては、ほとんどの部分で大幅に手を加えています。また、簡略化のため、市民、議員、理事者側(市役所側)の発言から、敬語表現の多くを省いています。実際は、特に理事者側のすべての答弁は、市民に対する敬語表現でなされています。

主な質疑の目次

1. 本会議での主な質疑

  • なし

2. 付託委員会での主な質疑

* は『一人会派の会』議員の質問です。

なし

この議案は一般会計決算特別委員会に付託されました。一人会派の会からは、私(安竹洋平議員)と伊藤央雄議員が委員として参加しました。

内容が多岐にわたるため、予算・決算委員会の主な質疑のまとめは(当面)省略します。次の会議録をご参照ください。

会議録

付託委員会での取り扱い

採決

❌反対の会派

  • 一人会派の会
  • 政和会

⭕️賛成の会派

  • 公明党
  • フォーラム小平
  • 日本共産党小平市議団
  • 生活者ネットワーク

賛成多数により、可決すべきものと決しました。

本会議での主なやり取り

討論

会派名⭕️:賛成討論
❌:反対討論
🪑:討論なし
一人会派の会
政和会
公明党⭕️
フォーラム小平⭕️
共産党小平市議団⭕️
生活者ネットワーク⭕️
まちづくり市民こだいら

一人会派の会の反対討論

代表して伊藤央雄議員が反対討論を行いました。私の主張も託しました。

議案第56号、令和2年度小平市一般会計歳入歳出決算の認定について、一人会派の会を代表して、反対の立場から討論をいたします。

理由を申し上げれば切りがないんですけれども、6点に絞って主な反対理由を述べたいと思います。

1点目は、これは毎度申し上げていることですが、計画性のない保育園の増設であります。小平市においては、待機児童がいる限り保育園を増設するという方針を取ってきました。しかし、その結果、待機児童数は都内ワースト3になるなど、対策、方針の誤りは明らかと言えます。PDCAサイクルは、ちっとも回っておりません。これについては何度も指摘しているにもかかわらず、方針についての検証は行われず同じことを繰り返してきております。

保育園増設のみにこだわることなく、様々な形態の子育て支援策を打ち出すべきだと、こう考えます。このことが市の経常収支比率を押し上げ、財政の柔軟性を損ない、ひいては市民の福祉向上に資する市独自の施策の乏しさの一因となっていると考えます。

2点目は、新型コロナウイルス感染症対策の乏しさであります。新型コロナウイルス感染症対策として打ち出された自粛政策や営業活動の制限等により、疲弊する市民や市内事業者への対策は知恵に乏しく、挙げ句、補正予算第4号では、本庁舎エレベーター改修、健康センターエレベーター改修、ルネこだいら空調設備改修、自動ドア化、公共施設予約システム利用施設拡大のための経費、小平元気村おがわ東空調設備改修、障害者福祉施設あおぞらトイレ手洗い自動水栓化などに臨時交付金を充てました。これらは、新型コロナウイルス感染症があってもなくてもやっておくべき事業をこれまで先延ばししてきたものでありまして、臨時交付金をこれらに充当するということは、本来の今回の臨時交付金の趣旨にそぐわないものである、こう考えます。市民や事業者を救うための知恵を出し、また議員からの様々な提案に対しても真摯に向き合い、生かしていくべきでありました。

また、QRコードを利用したキャッシュレス決済は、当会派の安竹議員も具体的に指摘しておりますように、効果が曖昧な一方で、社会的弱者を排除したり小規模事業者を淘汰して、大規模店舗に有利な働きがあったり、税金的な側面を持つ決済手段であります。

また、ポイント上限到達時点でポイント付与の停止ができない、このためギャンブル性も有しているなど、自治体の事業として推進してはならない禁断の果実である。市は、そういった考察を行うこともなく、東京都や国が推進しているからと安易にこれを採用しました。そのため、主体的に事業を行う意識が欠落し、巨費を投じながらも効果測定や検証は行われず、経済波及効果の意味すら履き違えている。その結果として、ギャンブル性に起因して約1.4億円の予算超過が発生。その穴埋めのために、教育費として用意されていた約8,000万円を使わざるを得ない状況になりました。この8,000万円は、流用されなければ教育費として活用できていたものであります。

一方で、本年の予算においては、教育費も一律6%のシーリングの対象にするという意味不明な市政運営を行ってきたことに驚くばかりです。市は、機能不全を呈している東京都や国の方針に安易に乗ることはやめ、市民の福祉向上に意識を集中すべきであります。

3点目、投資的経費の少なさです。多摩26市の中でも投資的経費の少なさが際立っています。市民一人当たりの投資的経費は、多摩26市の平均より約1万3,000円も少なく、断トツの最下位です。将来に対する展望に乏しく、場当たり的、先送りの姿勢が今後も続けば、将来に大きな負の遺産を押しつけることになります。

4点目、オリンピック・パラリンピック子ども夢・未来基金についてです。小平市東京オリンピック・パラリンピック子ども夢・未来基金の問題、これは当初より必要性がなく、単なるパフォーマンスにすぎない上に、特定目的基金であるにもかかわらず使途が明確にされないなど、行政運営上も財政運営上も問題点があるということを、議会からも再三にわたり指摘をされてきました。

コロナ騒動が起きてからも、この基金を廃止し、苦しむ市民、事業者のための対策に柔軟に使うべきと主張してまいりましたが、聞き入れられることはありませんでした。結果、観戦事業は中止となり、貴重な財源をただただ塩漬けにした、この罪は非常に大きいものだと考えます。

5点目、進まぬ人員配置の適正化です。これも先ほど来、他会派もおっしゃっていますけれども、再三の指摘を受けているにもかかわらず、時間外労働が減っていかないと、これはひとえに業務の洗い出しであったり、適正な人員配置、職員配置が行われていないということが原因であり、見直しが急務です。

6点目、小平駅南口有料自転車駐車場の方向性の欠如。これまでの市長の発言、公共施設マネジメント課、道路課の答弁がばらばらです。方針が全く分からない。

以上のような理由で、一人会派の会として、議案第56号、令和2年度小平市一般会計歳入歳出決算の認定について、反対の立場を表明いたします。

それ以外の会派の討論はこちらをご参照ください

採決

議員名(会派名)⭕️:賛成
❌:反対
🪑:退場・欠席
安竹洋平(一人会派の会)
伊藤央(一人会派の会)
橋本久雄(一人会派の会)
(政和会)
(公明党)⭕️
(フォーラム小平)⭕️
(共産党小平市議団)⭕️
(生活者ネットワーク)⭕️
(まちづくり市民こだいら)

賛成多数で可決しました。

賛否一覧

賛否一覧はこちらをご覧ください。